津次郎

映画の感想+ブログ

静かな少女 コット、はじまりの夏 (2022年製作の映画)

4.0 親に褒められるのがなんとなく照れくさくて嫌だった──というのがある。「おまえはできる子なんだから」と言われても、だいたい「そう言ってくれているんだな」ということが解るし、そもそもじぶんはできる子ではなかった。だから心の中で「いや父さん(…

王室スキャンダル:BBC記者の追及 グレート・スクープ (2024年製作の映画)

3.2 エプスタインの顧客だったアンドルー王子を追い詰めていくBBC記者の話。アンドルー王子のインタビューはBBC史上最高視聴率を獲得し多数の賞を受賞したそうだ。 アンドルー王子はエプスタインの別荘で未成年を買い乱交パーティーにも参加した一顧客だった…

女囚系映画と洋画劇場 ロサンゼルス女子刑務所 (2014年製作の映画)

2.0 昔は(今もあるのかもしれないが)21時からはじまる洋画劇場があり映画館へ行って映画を見るのが稀な者にとって映画といえばそれらのことだった。そして映画評論家といえばそこに解説者として出てくる淀川長治や水野晴郎のことだった。たいてい誰もがそ…

若者向けの美容ルーティンとは ダムゼル/運命を拓きし者 (2024年製作の映画)

2.8 ネットにしばしばElizabeth PerkinsとMillie Bobby Brownの顔が並んでいる。パーキンスのはBig(1988)辺りの若い頃で並べられると確かに両者は双生児とみまがうほど似ている。ただ思い出すかぎりパーキンスはクールな役が多かった。対してミリーボビー…

問題抱える家族の人間ドラマ 波紋 (2023年製作の映画)

0.0 くそみそにしているのでこの映画がお好きな方は読まないでください。「現代社会の闇や不安、女性の苦悩を淡々とソリッドに描いた絶望エンターテイメント」だそうです。ウィキペディアにも『東日本大震災、老老介護、新興宗教、障害者差別といった現代社…

降霊実演と破滅 TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー (2022年製作の映画)

3.6 ヘイリーとジョスが主催するパーティは酒も薬もないかわりに過激な降霊実演をやってSNSで人気があった。冥府と現世を仲介するのは防腐処理をした屍体の手。それは生前悪魔崇拝に耽溺していた者の手だと言われ握手すると黄泉への扉が開きI let you inと言…

脱北者の苦悩 ロ・ギワン (2024年製作の映画)

3.0 ソン・ジュンギといえば私のオオカミ少年(2012)が思い出される端正な顔立ちの韓国人俳優だが、来歴によると、少年時代はショートトラックスピードスケート選手で全国大会への出場経験があり、名門の成均館大学校を最終学歴とし、イケメン俳優なのにし…

不敵な笑み マダム・ウェブ (2024年製作の映画)

2.0 imdb3.8、Rotten Tomatoes12%と57%。 本作は批評家から『恥ずかしい混乱』や『史上最悪のコミック映画』などと酷評されている。海外の批評家は嘲弄的でアイロニカルな物言いが上手だがRottenTomatoesはさながらそれのコンペティションのような活況でほ…

リンジーローハンの恋愛コメディ アイリッシュ・ウィッシュ (2024年製作の映画)

2.6 2022年のFalling for Christmasに続くリンジーローハン復帰二作目という位置づけで監督やスタッフに共有がある。ベタな恋愛コメディになっていて、批評家のコンセンサスも『リンジー・ローハンが主演しているため『アイリッシュ・ウィッシュ』がロマコメ…

おっさんと少女の友情を描く マイ・ファースト・ミスター (2001年製作の 映画)

3.7 この映画のWikipediaの「See also」にLost in Translationがあるのは年配男性と若い女性の友情を非性的に描いているからだろう。 たとえば日本のコンテンツではおっさんとJKがいたらそこにセクハラがおこるのは必至、というのも世間において年齢や性別は…

アメリカの祝日 サンクスギビング (2023年製作の映画)

3.4 感謝祭とはイギリスからアメリカに渡ってきたピルグリムと呼ばれる人たちが新しい土地での初めての収穫を神に感謝をしたことが起源です。その食べ物の栽培方法を教えてくれた先住民であるネイティブアメリカンを招き一緒に祝いました。──とネットの拾い…

思春期の少女と宗教問題 神さま聞いてる?これが私の生きる道?! (2023年製作の映画)

4.3 原作小説はジュディブルームという人が1970年に書き、以来人々に愛読され、少女が神に呼びかけるマーガレット独自の“儀式”がパロディとして使われるまでに大衆文化の中に溶け込んでいるそうです。 等身大のマーガレットが微笑ましくコミカルに描かれる一…

ピンとハネた アップグレード:どん底女子の幸せ探し (2024年製作の映画)

3.2 上京するたびJREポイントが貯まるのでアップグレードして新幹線のグリーン車に乗ることがあり、車内で知り合いに会ったことがある。 都心と新幹線でつながっている地方住まいの人はお解りいただけると思うが、新幹線ではあんがい見知った地元民に会いや…

内臓フェチ クライムズ・オブ・ザ・フューチャー (2022年製作の映画)

2.9 臓器登録局のところから状況を説明している台詞が続々出てくる。ここはこんな世界なんです、わたしはこういうもんなんです、というのが台詞になっているのは滑稽だった。(クローネンバーグの)頭の中にある饒舌さに、映像が追いついていないことと、登…

介護と学園 サンコースト (2024年製作の映画)

3.6 映画Suncoastは監督Laura Chinnのデビュー作で監督自身の実体験──10代のとき弟が脳腫瘍になりフロリダのサンコーストというホスピスで最期を迎えるまで6年間介護にあたったこと──にもとづいて書かれている。 折しもサンコーストは当時メディアの渦中にあ…