津次郎

映画の感想+ブログ

恋するスマホ ジェクシー! スマホを変えただけなのに (2019年製作の映画)

3.4わたしのような田舎の百姓が東京へ行っていちばんおどろくのは電車に乗ると全員がスマホを眺めていることだ。“全員”に誇張はまったくない。よってわたしも「満員電車に疲弊した都会人」──の顔をつくってスマホを眺める。うまく化けられているか解らないが…

初仕事 エノーラ・ホームズの事件簿2 (2022年製作の映画)

3.5実在した労働運動指導者をからめて、エノーラの八面六臂の活躍を描く。 2時間以上あったがエノーラがこっちへ話しかけたり、シームレスに回想へ飛んだり、パタパタと状況を切り替えたり──で飽きさせなかった。 貧しい女工たちのために権力と闘う構図が共…

泣かす気まんまん チョコレートドーナツ (2012年製作の映画)

3.0imdb7.4。Rotten Tomatoes79%と76%。日本の主要映画レビューサイト(Yahoo映画、映画com、Filmarks)はすべて4超えだった。 海外の評価もいいが、評点からみても日本ですごく受けたし、いかにも日本人受けそうな映画だった。(大受けの結果、2020年日本に…

非倫理 ねえ!キスしてよ (1964年製作の映画)

3.0女たらしだけど有名な歌手に自作曲を売り込むために代理妻をたてて夜伽をさせようという話。 ビリーワイルダーなのにびっくりするほど退屈ですw。(個人的には。) アパートの鍵貸しますなんか何度も見て何度も同じところで楽しくなってまた見たくなるの…

妙味 ラン・スイートハート・ラン (2019年製作の映画)

3.3専門家が専門外のことをするとき妙味があらわれます。たとえば和食職人がフレンチをつくるとおもむきのある滋味が加わったり──とか、クラシック奏者がポップを演奏すると妙に律儀だったり──とか・・・、──ニュアンスが伝わるかわかりませんが、とある分野…

恐ろしい 西部戦線異状なし (2022年製作の映画)

3.7連合国側の映画をみる機会はありましたが同盟国側の映画を見る機会はなかったように思います。 一青年の視点を通じて1917やThey Shall Not Grow Oldのような戦場がうんざりするリアリティで描かれていました。 原作はドイツの有名な小説で、アメリカで映…

殺人鬼がたらい回しに グッド・ナース (2022年製作の映画)

3.5人からどんな反応が得られるかを見たり感じたりするためだけに罪を犯すシリアルキラーがいる。愉快かどうかはともかく、愉快犯とも称される。 チャーリー(エディ・レッドメイン)は謂わば緊急蘇生(コードブルー)に偏執するシリアルキラー。(──なのだ…

老人が凶暴化 オールドピープル (2022年製作の映画)

2.0しぬ選択ができる未来があればいいなと思います。 今年(2022年)のカンヌ映画祭で早川千絵監督の「PLAN75」がカメラドール賞を獲得しました。未見なのですがPLAN75には75歳になると生死を選択できる未来社会が描かれているそうです。 海外のインタビュー…

視線の解剖 殺しのドレス (1980年製作の映画)

5.0当時50歳弱だったアンジー・ディキンソンのシャワーシーンではじまります。(ディキンソンは存命で現在(2022年)91歳です。) 不可解な絵でした。映画がはじまると、すでに若くない女が、思いっきり扇情的にシャワーを浴びているからです。 カメラがトッ…

錠剤1,000錠 峠 最後のサムライ (2020年製作の映画)

1.5演技者みんな力が入ってて言いにくいのですがあんぽんたんな映画でした。 河井継之助には先見性がありましたが、時代は幕末、開国派と攘夷派が対立していて、そのあいだにも佐幕やら尊王やら、みんながバラバラにこうすべきだああすべきだと言って譲らず…

卑怯者 ダウンレンジ (2017年製作の映画)

3.4監督は日本人ですがコンスタントに米資本にも乗せていて珍しいキャリアだと思います。上戸彩主演のあずみ(2003)やブラッドリークーパーのThe Midnight Meat Train(2008)が知られていますが、ハリウッドで名をなした監督であるわりには地味な印象があ…

圧倒的なきもさ わたし達はおとな (2022年製作の映画)

1.0VODの概説に『大人に成り切れない若者たちの姿を圧倒的なリアリティで描いた恋愛映画』とありましたがリアリティをかんちがいしていると感じました。 この映画の「リアリティ」の根拠は①セリフの日常性と②単焦点風カメラと③Awkward(気まずさ)だと思われ…

かしこいばかっぽさ 恋のスケッチ~応答せよ1988~ (2015年製作のドラマ)

5.0応答せよは1997と1994とこの1988があり年代が若いほどあとにつくられている。後発は社会現象をまきおこした1997にあやかってつくられているがクオリティに差がないのがすごい。ふつう柳の下の泥鰌をねらうとプロダクトとしての緊張バランスがガタガタにな…

寓話的 ハッチング―孵化― (2022年製作の映画)

3.7キラキラと幸福に見えるフィンランド一家ですが、実情はゆがんでいる──という家政夫のミタゾノみたいな構成で話が進みます。 娘はピュアな心をもっていてモンスターと分かり合うことができます。人物や景観や調度がきれいなのに反して怪鳥の姿はおぞまし…

インモラルな スターシップ・トゥルーパーズ (1997年製作の映画)

4.0ヨーロッパ人がアメリカで仕事をすると、うるおいが減り陽性化し軽くなる。不合理が合理化され、隠喩が直喩になり、レイトも汎化する。「Americanized」の言葉どおりの変化がおこる。このときどうしてもアメリカ化しきれなかった強い作家性が映画の妙味に…