津次郎

映画の感想+ブログ

2019-11-23から1日間の記事一覧

わたしの心を揺らす 甘い人生 (2005年製作の映画)

5.0この映画はキムジウンの最高作でビョンホンの代表作だと思う。韓国ノワールにはヤクザの非情さと同時に、韓国社会が基調的にもっている不人情があらわれる。誰もが一匹狼。同情や依頼心が身を滅ぼす。それが映画に切実な緊張を与する。ラストスタンドが普…

長回しを目的や目標にしていない ヴィクトリア (2015年製作の映画)

4.0カットがない。見た限り暗転もない。140分ほぼ一発撮りの長回し。 映画で長回しといえばカット間が長いことを言う。タルコフスキーやアンゲロプロス。たいてい固定か、ゆっくり移動するレールカメラで、台詞も少ない、または無い。ところがこの映画のばあ…

壮大でアンサンブルでフェア ダンケルク (2017年製作の映画)

5.0海岸で帰還を待つ夥しい数の英兵。乗船に奔走する在英外国人。作戦ダイナモに参加した何隻もの民間船のなかの一隻。たった三機で制空を担うスピットファイア。海の彼方を見つめ、佇む指揮官。車両で桟橋を設営する残留部隊。それらが、無作為のように入れ…

スタンドバイミーのホラー版 IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017年製作の映画)

4.0子供たちの恐怖=ITとはメタファーだと思う。弟を失った、親に虐待された、いじめられたなど、子供時代に体験した逆境が、恐怖を形成している。夏休み、子供達はITをやっつけて=克服して、ひとまわり成長する。 恐怖=ITは、子供から見た禍々しい世の中…

見るより感じる アデル、ブルーは熱い色 (2013年製作の映画)

5.0レビューするのが陳腐に思える。解釈するより感じる映画。これまで持っていた映画の定義をくつがえす体験でした。 はじめから終わりまで近いカメラがアデルの表情を追う。が、演技の気配がない。いつしか自分も映画を見ていることを忘れアデルを追う。映…