津次郎

映画の感想+ブログ

2020-01-20から1日間の記事一覧

遠きにありて思ふもの 笑う故郷 (2016年製作の映画)

4.0ノーベル賞作家が40年ぶりに故郷の片田舎を訪れる話。招聘され、数日滞在し講演や街の行事をおこなう。むろんフィクションであり、コメディの体裁がある。成功者が辺鄙で酷い目に遭うスラップスティックなものを想像した。はたしてそんな感じで進むものの…

“西部劇”を刷新 スロウ・ウエスト (2015年製作の映画)

3.5簡単に死ぬのが西部の無情をあらわすのに貢献するとはいえ、やたら死ぬので、指名手配の意義が怪しい。いったい誰が訴え出て、誰に管理されているのだろうか。無法なのは解るが、狩人に狩人がいるなら同心円状に拡がるばかりで西部は無人である。映画にbr…

真夜中のモールで 恋の時給は4ドル44セント (1990年製作の映画)

4.0William Forsytheという俳優がいて、多く映画に出てくるが、脇役というより端役的なのが多い。強面で、ほぼ悪役でやってきた人である。エドワードジェームスオルモスのAmerican Me(1992)では目立っていた。ショーンコネリーのThe Rock(1996)でも多少…

まだストーカーという言葉は使われていなかった ストーカー (1979年製作の映画)

4.0ストーカーという用語が一般化した当初、タルコフスキーが脚光を浴びていると勘違いしたことがある。ストーカーの呼称が無かった時代──おそらく80年代の半ばまで、それは変質者とかしつこい奴とか変態などと呼ばれていた。もしその当時誰かがストーカーと…

教科書のような完成度 殺人の追憶 (2003年製作の映画)

5.080年代の韓国。よく知らないが、激動期であったと思う。不人情で、旧弊で、権柄づくで、澱んでいる。ペパーミントキャンディの空気感。陰気な時代の陰惨な事件。暗い。暗いけれど惹かれる。ぐいぐいからめ取られる。恐怖映画と言っていい。迫真だった。 …