津次郎

映画の感想+ブログ

日本映画

登場人物のさばき方 虹の女神 Rainbow Song (2006年製作の映画)

4.3 VOD(Unext)に入荷していたので見返した。 忘れられない映画。 なぜよかったのかというと、①大量の登場人物をさばいている。②筋が豊富。③雰囲気でもっていこうとしない。──の三点だと思う。 ①②物語の主軸は市原隼人と上野樹里だが、蒼井優や相田翔子や…

問題抱える家族の人間ドラマ 波紋 (2023年製作の映画)

0.0 くそみそにしているのでこの映画がお好きな方は読まないでください。「現代社会の闇や不安、女性の苦悩を淡々とソリッドに描いた絶望エンターテイメント」だそうです。ウィキペディアにも『東日本大震災、老老介護、新興宗教、障害者差別といった現代社…

怪物は誰だ? 怪物 (2023年製作の映画)

5.0 幼少期に好ましいと感じる同性がいたとしても、それは性指向じゃない。 幼い時分には、女の子のような男の子がいるのは普通であって、そういう子と仲良しになったからといって、それはぜんぜんLGBTQとかの話じゃない。まして柊木くんのようなくりくりし…

正真正銘くそえいが せかいのおきく (2023年製作の映画)

1.0 差別を誘発する弁解がましさというものがあります。汚穢屋は人糞処理をあつかう立派なしごとにちがいありません。が、汚いので毛嫌いされます。しかし下水道のない時代、糞尿汲取人がいなければ衛生を担保できず、堆肥も供給されません。人のいやがる仕…

福田組 今日から俺は!! 劇場版 (2020年製作の映画)

2.0 原作漫画の初版は1988年。映像化でリバイバルヒットしたらしい。賀来賢人や仲野太賀が楽しい。みんなのびのびやっているのに笑えるクオリティなのはさすが福田組だった。演者は学生よりも二回りor三回り年上で、それが全体のテンションをオフビート&リ…

いろんな世代の岐路 こんにちは、母さん (2023年製作の映画)

2.7 寅次郎の周りで起きるようなドタバタを経て、ひとまずの一件落着へもっていくが、いろいろと風変わりで共感できるところは少なかった。 概説によると『母べえ(2008)、母と暮せば(2015)に続く「母」三部作の集大成』──とのことだが、どちらかと言うと…

一種のコメディ LOVE LIFE (2022年製作の映画)

2.4 むしろそこに陥るほうが難しいと思える状況に陥らせて哀切や情感をつづっていくのが深田晃司監督だと思います。 これもわりとインポッシブルな話だと思います。よこがおはコメディだと思いましたがこれもコメディだと思います。連れ子が不慮の死を遂げる…

「生きろ」というコピーが使えそう ゴジラ-1.0 (2023年製作の映画)

お題「おすすめの感動系映画教えてください」 5.0 <ネタバレあり>

惨劇 福田村事件 (2023年製作の映画)

2.0 いまの世で言うリベラルとは日本叩きや自虐を身上とすることであり、マスコミはだいたいリベラルだと思います。リベラルは時には自らを加害者だと告発しますが、同時に弱者(被害者or犠牲者)に寄り添うポジションに陣取ります。寄り添いポジションをと…

忘年の交わり メタモルフォーゼの縁側 (2022年製作の映画)

4.0 どうせいつもの日本映画なんだろうと思って見た恋は雨上がりのように(2018)がよかった──のと同じで、このメタモルフォーゼの縁側も期待しないで見たがよかった。 ふたつともまんがを原作にしているので引き合いにした。 テレビ系の監督なので日本映画…

修羅場好きな人向け ほつれる (2023年製作の映画)

1.0 綿子(門脇麦)と文則(田村健太郎)は文則に連れ子がいるものの都市型のDINKsという感じ。夫婦仲は破綻しているが別れずにいる。綿子は木村(染谷将太)と定期的に不倫旅行をしているが、その最中に木村は交通事故で死ぬ。一緒にいたことがバレてはまず…

ふんぬか、ふんどか 君よ憤怒の河を渉れ (1976年製作の映画)

3.2 昔わが家にはじめてきたVHSビデオデッキはフロントローディングではなくアッパーマウントだった。それを使って東京12チャンネルで平日の14時からやっていたようなマイナー映画をいっぱい録画した。 VHSビデオレンタルの勃興期には、ビデオを借りることで…

いろいろ盛りだくさん クレイジークルーズ (2023年製作の映画)

3.4 クリスティ風の古典推理小説的舞台と素人がやむにやまれず即席の探偵業をやるプロットを現代的な風物にのせてコミカルに描いている。 坂元裕二を見ていると「日常生活で面白いと思った現象を全部書き留めているのではないか」という細部が幾つもあって感…

ノーコンテスト ナックルガール (2023年製作の映画)

2.9 おそらく漫画を和訳したものがそのままセリフになり、そのセリフに日本側監修が入っていない──という感じだった。 キャラクターもストーリーも世界観もノワールをAIがランダム抽出したかのように類型的かつ質感に欠け食玩のようにちゃちだった。 たとえ…

反英雄的英雄 永遠の0 (2013年製作の映画)

4.5 著作はこの作家の代名詞だが論壇のほうが目立つ人でさいきん(2023/10)は新党を立ち上げたことでふたたび界隈を賑わせている。 宮部久蔵(岡田准一)について孫の姉弟(三浦春馬と吹石一恵)が存命者に取材し体験が語られることで話が進んでいく。 老俳…

予定調和 湯道 (2023年製作の映画)

2.0 日本人にはコンテンツにたいする独特の“思いやり”(とでも言うべきもの)があり、じっさいには面白くないものを愛でることができる素養をもっている──と感じることがある。 たとえば萌えやかわいいや和み要素を脳内で“面白い”と変換してしまえる能力がわ…

がんばろう日本 ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと (2023年製作の映画)

1.0 ファンタジーをなぜメタにするのかというと①恥ずかしくないから②創作がめんどくさいから③もっていきたい場面にもっていけるから、であろうかと思われる。 ①の恥ずかしくないの意味は実直に物語を書いてしまうと知識レベルに応じて稚拙になりがちでハズし…

骨太な見応え さがす (2022年製作の映画)

5.0 韓国ノワールや李相日もどきが日本映画のトレンドになっているので猫も杓子もみんなそういうのをつくるからこれもそういうのだと思っていたが違った。はきだめな雰囲気と座間の事件からもってきたぽいサイコ野郎とスリリングなミステリー。佐藤二朗も伊…

良性メタ MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない (2022年製作の映画)

3.5 <ネタバレ> 面白い映画をつくろうという動機があるならカメ止めや「MONDAYSこのタイムループ上司に気づかせないと終わらない」のようなのがもっとあってもいい気がするが、こういう映画はあまりないような気がするのはなぜなんだろうか。こういう──と…

くさすぎ 天間荘の三姉妹 (2022年製作の映画)

1.0 『臨死状態の魂が天に昇るか、地上に戻るかを決めるまでの間を過ごす、天空と地上とを繋ぐ宿「天間荘」を舞台としている。』(「天間荘の三姉妹」ウィキより) 災害でなくなったはずの街とそこの人々が、天間荘のまわりでは続いている。──という話だが、…

居そうで有りそう 花束みたいな恋をした (2021年製作の映画)

3.7 有能なクリエイターがつくっていることが解るできだった。やっぱり映画ってまぐれや気合いでいいものができたりしない。技術習得や台詞推敲の積み重なりだと思った。 現場で研鑽をつむのでテレビからきた人のほうが映画も巧い。近年いいと思える映画はテ…

宮崎駿版夢 君たちはどう生きるか (2023年製作の映画)

3.0 ネタバレあり

ホラーじゃなかったら困る 死刑にいたる病 (2022年製作の映画)

2.3 犯罪者の発言を庶民が見たり聞いたり読んだりすることがある。 ドキュメンタリーや裁判記録や事件記事などに記されているのを見てしまうからだが、なぜ彼らの言い分を見聞きしなきゃならないのか──と思う。 庶民は世に意見を公表できるだろうか。誰かに…

リアルなのかな 決戦は日曜日 (2022年製作の映画)

3.4 刑事になった同級生が(踊る大捜査線の)湾岸署のようすを「じっさい署内ってあんな感じなんだよ」と言ったのを覚えています。 カリカチュアとはいえ、つくりものの映像作品がじっさいの仕事現場のようすを、当たらずとも遠からずなリアリティで描いてし…

ふしぎな津軽そば 津軽百年食堂 (2011年製作の映画)

3.3 そばといえばどこですか。 そばは食道楽にとって定義されやすい食べ物です。 そば通の数だけ一家言があるでしょう。 それゆえ見識を述べると「ちがうぞ、なに言ってやがるんだ」とおこられてしまうかもしれませんが、個人的な認識ではそばは戸隠だろうと…

つづくってよ キングダム2 遥かなる大地へ (2022年製作の映画)

2.0 登場人物の名前に中国史的見地から監修された情趣がない。三国志が好きな中学生がつけたような、当て字とそれっぽい響きの名前になっており、主役格はさらに呼びやすく簡素化されている。 三国志といっても吉川英治のではなくコーエーの三国志で、中学生…

等身大 少女は卒業しない (2023年製作の映画)

3.5 答辞を結びにしているが、それぞれの卒業模様を等価に描いていく。いずれも過不足のない共感しやすい話で、JKに必要以上の価値を与えていないのはよかった。(日本映画ではJKに必要以上の価値を与えてシンボライズしようとすることがよくある。少女や卒…

さわやか 浅田家! (2020年製作の映画)

3.8 湯を沸かす~をけなしたので恥ずかしいが良かった。じめじめしないし弁解がましくない。一貫して陽性で、その陽性ムードを二宮和也が下支えしていた。震災も涙腺素材として扱っていなかったし、愁嘆しても爽やかな二宮和也がどんよりへ落ちるのを跳ね返…

なんかありそうだけど ある男 (2022年製作の映画)

2.8 原作は読んでいないので映画としての印象になるが、石川慶とプロモーション用の装丁から愚行録や吉田修一や李相日のようなものを予測&期待して見た。が、登場人物が入り乱れ、追えなくなっていく。リアルなタッチだが話や人物はメルヘン。罪悪感と在日…

現実的 PLAN 75 (2022年製作の映画)

4.0 先日(2023/04/27)ネットに“日本人口50年後8700万人”というニュースがあがっていた。「将来推計人口」の試算によるものだそうだ。 外国人の入国者が増加し、2070年の平均寿命は、男性は85.89歳に、女性は91.94歳に伸び、高齢者の人口は38.7%に上昇する…