津次郎

映画の感想+ブログ

梨泰院クラスキム・ダミの出世作 The Witch/魔女 (2018年製作の映画)

3.6
設定も無敵の少女もなんとなくどこかにあるような物語なのだが、抜け出してくる迫力があった。
韓国映画には、なんというか、ここまでのことはしないでしょ──を、してくる底力がある。と、同時に、俳優にこんなことはさせられない──を、させてくる魅力もある。たとえばこの映画の女優は初見だが、第一印象は、変哲のない、おっとりした少女に見える。むしろ普通すぎて、ゆるめのヒロインをやるんだろうと想像させる。

ところが、特殊能力が覚醒すると、印象がガラリと変わる。たとえば日本の映画では、無敵の少女は作り出せても、俳優のスターダムを慮っていない汚れや非倫理や反社会や過剰は、やらせない。過激を身上にしているクリエイターさえ、その不文律を守っている。そこを韓国映画は越えてくる感じがある。

長さでダレるところもあり、編集でもっとタイトになりそうな感じはあった。追手も組織側もジャユンに比べたら、やたら脆弱なのに、自信満々なところもキャラクタライズにひと工夫が欲しかった。
ただ、彼女が能力覚醒したときのダイナミズムがすさまじい。おっとり少女が、想像を裏切るギラつきと瞬発力を見せる。親友とまみえるところでは再びもとのおっとり少女に戻る。ラストではそれまでの純情がうそのように狡猾な表情も見せた。すなわち、変哲のない少女を、別人のごとく変幻させて瞠目たらしめる手腕があった。
見てからしばらく経つのだがPartが付いていたので続編が気になっている。