津次郎

映画の感想+ブログ

騎乗、ダスターコートで平原を疾走する男たち ロング・ライダーズ (1980年製作の映画)

4.0
名手ロジャー・ディーキンスのwikiに彼の選んだベストテンが載っていて1位にワイルドバンチがあった。かるい衝撃だった。ほかも美徳を感じる骨太な選だった。

わたしはペキンパーがよく解っていなかった。むしろペキンパーの後継者と言われたウォルターヒルに惹かれた。
ヒルはペキンパーより器用でsophisticateされ商業的だった。チャールズブロンソンとジェームズコバーンのHard Timesを愛しているが、邦題がストリートファイターだった。きょうびストリートファイターでググったとして100頁めくっても1975年の映画「ストリートファイター」は出てこない。

この映画はジェシージェイムズのような西部の無法者の話。
強盗をしてギャンブルをして娼婦を抱いて恋愛もあるが鉄火肌の細君も出てくる。また、ほんとの兄弟=キャラダイン兄弟・キーチ兄弟・クエイド兄弟をつかっていた。
ただ、個人的に忘れられない理由はサントラがライクーダーだからである。

冒頭、平原にギターのイントロがかかる。スクリーンの端から騎乗のカウボーイがあらわれる。一人、二人、三人、、、七人。ロング丈のダスターコート。バンジョーが入ってブルーグラス風になる。この導入(だけ)を何度見たか知れない。

馬・群像・ロングコートのシルエット。映画の内容は記憶から出せないが、シルエットとライクーダーのテーマは直ぐにうかんでくる。

バイオレンス描写と言っても、この頃のバイオレンスと今のバイオレンスには温度差がある。ペキンパーやヒルが創ったのは映画的ダイナミズムのあるアクション。むかしは迫力のあるドンパチをバイオレンスと言った。今は、バイオレンスと言ったらもっと直截に、暴力的な人間や行為を指すだろう。

サントラに惹かれることは滅多にないがライクーダーだけは別だった。
キャストの次にクレジットされる特別な存在だった。
パリテキサスであの荒涼がぱっと目に浮かぶようにThe Long Ridersを聴くと平原を駆けるカウボーイがぱっと目に浮かぶのである。