津次郎

映画の感想+ブログ

キューティ・ブロンド(2001年製作の映画)

4.0
身上や地位を打開するとき感動がある。落ちこぼれが難関大学に合格したり、ヤンキーが議員になったり、意外な仕事に就いている美女を「きれいすぎる~」と形容するのにも驚きと面白さがあるからだ。

意外性は売れる。人はそれを知っている。ハーフになりたかったキャスターもいた。聾を主張した作曲家もいた。風呂絵師になったひともいたしカイロ大卒がほしかったひともいる。

一時期アイドルだったジェシカシンプソンは、派手なティーンが意外なことをする映画をいくつか撮った。ワーキングブロンド(2007)とかミリタリーブロンド(2008)とか。タイトルだけで、だいたい想像できてしまうが、当たらずといえども遠からずである。

ジェシカシンプソンは日本ではあまり人気が出なかったが、むこうでは公私ともに話題が多かった。
ワーキングブロンドの英題は「Blonde Ambition」。
ブロンドに野望がある。
それで映画がつくれる。
意外性は売れる──のである。

キューティーブロンドもその地続きにある。
というより、ブロンドもの(そんな「もの」があるか知らないが)の発端をつくった功労作だと思う。
エル(リースウェザースプーン)は明るくておしゃれ好きの女子大生だが、彼氏にフラれたのをきっかけに一念発起しロースクール行きを決意。猛勉強して見事ハーバードに合格し、法律事務所の実習生になる。

弁護に立った法廷のアリバイくずしが面白い。
考え抜かれた楽しいコメディだった。

リースウェザースプーンというひとは何となく憎ったらしい。セールスポイントが生意気にあって柔和がない。
かつて海外では「あたしをだれだとおもってんの」と罵倒したというゴシップニュースがけっこう話題になり、一時消えていた。
だがThe Good Lie (2014)やWild(2014)を観ると印象が変わる。低迷から這い上がってくる映画人も意外性だと思う。