津次郎

映画の感想+ブログ

500ページの夢の束(2017年製作の映画)

3.5
個人的にはどちらかといえばダコタだが出演作目白押しなエルにくらべるとあまりない。
Brimstoneは加虐趣味な狂人と復讐をあつかっている。理不尽で重くダコタファニングの起用は意外だった。
ワンスアポンにもクレジットされていたので、どこに出てくるか探していた。ピッピーたちの里親みたいな汚れ役だった。漠然とした想像のなかでタランティーノとダコタファニングは繋がらない人脈だった。

若い女優だが、子役から数えるとき、既に20年超の大ベテランなわけである。可憐な役とはちがう方向性を模索してもふしぎはない。

Please Stand Byは相応しい役だった。ウェンディはおそらくアスペルガー症候群だと思う。スタートレックのことは知らないがスポックが地球人の感情を理解することと、彼女自身の立場が交叉している。

脚本をうしなったウェンディがじぶんなりに解決策を導き出そうとして「Captain, there is only one logical direction in which to go : Forward.」と言うところがいい。これは彼女が自作したスポックの台詞である。

日本語で「船長、論理的な行き先は一つ、前方です」と言ってしまえば、なんとなく狭義的だが、英語だと、前進するしかありません──みたいな教訓が加味される。

原題の待機して下さいは、恐慌の発作におちいったとき、自分自身に言い聞かせる言葉である。いわば「おちつけわたし」という意味だ。邦題は500ページの夢の束となっているが、脚本のコンペティションは主題ではないし、心因性の癪を持っている人の話にキラキラした夢見女子なタイトルを付けてしまうのは不誠実である。いつもながら。

警官役のパットンオズワルトが異星語で説諭する場面が白眉だった。人を理解するとき、無用な知識が役に立つことがある。
ところでプロモーションスチールの手はVulcan Saluteと言うそうだが、どうしても右手ができなかった。