津次郎

映画の感想+ブログ

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

2.7
サタデーナイトライブの動画等でクリスティンウィグが演じる、やりすぎな人物像を、見る。楽しい。
この映画内のバーバラ=クリスティンウィグを見ると、あれを、いくらかソフトにやると、リアルな人物像になることが、よくわかる。

初段階の、おどおどした、冴えないキャラクターも、ウィグが得意とする形態模写なので、しっかりはまる。

が、水晶に願掛けして、一夜明けると、あら不思議。イケている女に変貌する。
風貌そのままで、ロングスカートを脱いでレギンスにしただけ。
態度が自信に満ち、しゃべりも軽やかになって、ふつうにいい女になる。

見た目の助けなしで、演技で、ブサ女といい女の両極を演じてしまっている──わけだが、考えてみて、それができる女優となると、そうそういない。

そっちょくに言って、はんぶんは、ガルガドットを差し置いて、クリスティンウィグの多芸と、変貌行程をたのしむ映画になっている。

じっさい、悪が生まれる行程をえがく半ばまで、ガドットは脇に回っている感じ。

ただし、それが出し惜しみにもなっていて「よっ!待ってました!」の遅延効果にもなっていた。気がする。

個人的には低い声におどろいた。ガルガドットを初めて見たわけじゃないが、あまり見ないひとなので、こんなに低かったっけ感があった。クリスティンウィグはもちろんペドロパスカルよりクリスパインより低い。アルトを抜けて男性声域の聞こえ。

ひさびさにガドットを見たが、エキゾチックなひとだった。
カメラが寄るほど、魅惑の何人?感があった。
人種のことはさっぱり知らないが、種の遺伝子の、素晴らしいブレンドの結果が、顔にあらわれている──ような気がした。

そんな展開、および発見で、半ばまで、映画は楽しかった。
が、半ばからバランスを崩して、エモーション過多になる。
センチメンタルポルノとまでは言わないが、感動演出がかなりうるさかった。個人的には。

また守備半径が広大すぎる。人類滅亡とか、でなく、もっと界隈にしたほうが、とらえどころがあった。

また、ワンダーウーマンについての予備知識がなく、もっと有機的な理屈があって1984年なのだろう──と推察していたが、ノスタルジー以外のものを提供していなかった。

むろんお金をかけ、テクノロジーの粋を集めた映画なので、体裁に瑕疵はない。
ただ、情へ流す演出は、けっこうクサかった。