津次郎

映画の感想+ブログ

いけいけ!バカオンナ~我が道を行け~(2020年製作の映画)

いけいけ! バカオンナ~我が道を行け~ [DVD]

3.0
真魚が見たくて見た。文音て人を検索したらすごい御両親でおどろいた。さいきん有名舞台演出家や天才漫画家の娘や息子の映画を見たが、にんげん、大人になると親の七光りも才能のひとつだということはわかる。むかしから、誰もが、誰かの娘や息子であって、それをずっと背負って生きてきたのは、あなたもわたしも知ってのとおりである。いつまでも生まれた星について悲観や羨望をするのは無意味かつ不健全──んなことは解りきった良識です。ただし、それでも「けっ」という感慨を免れないのは、その娘や息子がクリエイターのばあいである。率直に言って有りと思えなかったら「けっ」とならざるをえない。それに比べると、見た目というものは強力に親の七光りを払拭することができる。文音はそんなサラブレッドな見ばえをしていた。映画はベタだが天才系鬼才系の気取りがない分、和めた。庶民はこれ「で」いい、のではなく、庶民はこれ「が」いいのです。

ところでここに驚きの位相があった。ストリーミングサービスで見つけたこの映画をポチったのは真魚が出てたからである。知っての通り真魚はカメ止めで飛躍した、がんらい根無しの無名女優だった。よって映画は言うなれば輓馬と血統書付きが共演しているようなものだった。が、三番手くらいの出演頻度だったのは残念。カメ止めのことを振り返って考えたとき、プロットの楽しさもさることながら、映画に躍動を寄与していたのは真魚だった。彼女がいなければ、あんなに面白くなれなかった。とうぜん日本の業界でうまく使えるとは思わないが、なにかの偶然で、ちゃきちゃきな、まさに水を得た魚のような真魚をまた見ることができれば──と思う。