津次郎

映画の感想+ブログ

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2021年製作の映画)

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ


2.7
裏窓オマージュだろうか、詳しいことはわからないが、裏窓(だと思われる)シーンが(かなり唐突に)挿入されていた。

裏窓を意識しているなら、建物と、主人公が覗く位置が、もっとわかりやすくてもいい。俯瞰がないので、どこからどこを覗いているのか、ポジションがつかめない。双方の建物ぜんたいの俯瞰が、その間の道路などの情報ふくめ、およそ一度も出てこなかった。

それゆえに裏窓にある、ひとさまの生活を覗く──愉しさがない。記憶ベースだが、裏窓では冒頭から建造物の俯瞰があり、ジミースチュアートが、いくつも開かれた窓窓での人間模様に、目を移していく──シーンがあった。老婦の窓もあれば、若い女が下着姿でダンスをしている窓もあった。──それが裏窓の醍醐味だった。

この映画は窓をプロットにしているものの、覗きのパラメーターが機能せず、心身が不安定な犯罪目撃者の話に終始していた。と思う。
また気の毒な境遇を狙っているものの、彼女が家族を失い、引きこもりに至った自動車事故は、けっこうまぬけなよそ見運転だった。

が、それらプロットの欠損をエイミーアダムスの演技が拾い上げ補っていた。にしても、展開にも犯人にも陳套感はあった。
ホラーorサスペンス等の終局で、女性が「窮鼠猫を噛む」になることが(とても)よくあるが、偶然に奸を排除できるにしても、それには工夫がほしい。と思う。

また、ガーデニングでつかう三本鍬のハンディタイプので、顔を思いっきりブスッと三本刺されて、病院で横になってガーゼを当てていて、ラストシーンは跡形もないのは、わりと腑に落ちなかった。

ぜんたいが暗い画で、すくなくとも監督はヒッチコッキアンではなかった。と思う。