津次郎

映画の感想+ブログ

脚本の重要性が如実に トランス・ワールド (2011年製作の映画)

トランス・ワールド

3.5
インディな低予算映画で、国内の概説ではクリントイーストウッドの息子がでていて、ファンタスティックビーストおよびエイリアンなどのキャサリンウォーターストンがでている──となっている。

が、ごらんになれば解るとおり脚本がいい。脚本家のひとり、(本作はJason Dolanとの共著)Shawn Christensenはシドニーホールの失踪(2017)の監督。
わたしは前にShawn Christensenの長編デビュー映画Before I Disappear(2014)のレビューを書いた。(せんえつですがよろしければごらんくださいfilmarks.com/movies/60251/reviews/77399920)

本作の監督はどちらかと言えば抵等級映画のプロデューサーで、演出も予算も見劣りする──にもかかわらず、型破りな脚本がぐいぐい観衆を惹きつける。転じて、脚本が映画にとって、どれだけ重要なのかが、わかる映画になっている。

一般にシナリオ書きは地味なしごとだと捉えられている。日本の映画業界は田舎かつ旧弊で、そこに巣くっている村人のあいだでは監督が偉いことになっているので、シナリオを飛ばして監督になり、ラーメン店の主人のように腕を組んでいる巨匠たちで日本映画界は成り立っている。(憶測です。)

しかしシナリオは地味だろうか。
頭角を現すということばがある。
この映画のシナリオはぴかぴか光っている。
ショボい資本に、鋭才の脚本家が乗っていることによって、脚本の重要度を説明できる、価値のある映画になっていると思う。