津次郎

映画の感想+ブログ

変容していくリンジーローハン アイ ノウ フー キルド ミー(原題) (2007年製作の映画)

I Know Who Killed Me [DVD]

2.0
むかしのリンジーローハンは純情に見えた。ミーンガールズがいまも人気があるのはその無垢な見ばえにあると思う。 鼻柱から肩口から腕から鳩尾からそばかすだらけで、笑うと天衣無縫のようだった。そのくせ夏が終わって再会してみると爆乳になっていたあのハリポタ・パロディのように、未通女な顔立ちをくつがえすcurvyなからだつきをしていた。また、音楽活動にはらしからぬグルーヴがあった。「Over」はPVも曲もよく見/聴いた。

華々しいアイドル的人気だったが、黄金期は短く、次第に薬や酒や乱関係で、身を持ち崩していった。入退院や逮捕や整形によってかつての面影も希薄になった。本作は、破綻の手前で撮られた映画だと思う。まだ外貌に「むかしのリンジーローハン」がある。

そんなローハンがやたらHarshな目に遭うホラー/サスペンス。
シリアルキラーの嗜好は四肢切断。主人公(ローハン)も捕まって片手足をちょん切られる。ヒロインなのに被害に遭ってしまう設定は珍しかった。が、映画はコケている。ローハンは二役なのだが、それが二重人格なのか妄想障害なのか二人いるのか、よくわからないまま進む。スクリプト自体が詰められていない。突貫で撮った感じのB級ホラーだった。(因みにimdb3.6/10。)

『2007年に「マキシム」誌が発表した「世界で最もホットな人物 TOP100」の1位に選ばれた。同年公開された『I Know Who Killed Me』が酷評され、ゴールデンラズベリー賞のワースト主演女優賞とワースト・スクリーン・カップル賞を受賞(作品自体も8冠を制した)。』
(ウィキペディア「リンジー・ローハン」より)

とはいえまがりなりにも清純を打ち出していたローハンがストリッパー役(二役の一方)で、Acrotomophiliaの餌食になるのは刺激的だった。
まじめで賢い学生役と素行不良のストリッパー役で、どっちが本当のリンジーローハンに近いのだろうか。──むろんゴールデンラズベリーはそこを揶揄したかったわけである。

ところで数年前おそろしく珍妙なクレジットの映画を見かけた。あのポールシュレイダー監督でリンジーローハン主演、竿師のJames Deenが共演。なんなんだ?──興味をそそられたものの未見のままだが、世評としては玉石のシュレイダーの石のほうだった。(The Canyons(2013)、「ザハリウッド」の邦題で輸入されている。imdb3.8/10だった。)

にしても、PVの「Over」。
当時あのSad Girlな設定のリンジーローハンに惚れなかった男がいただろうか。

後記:ローハン復帰作!