津次郎

映画の感想+ブログ

サムワン・インサイド(2021年製作の映画)

サムワン・インサイド

2.5
13金やスクリームやフィアストリートのシリーズあるいはハッピーデスデイやザスイッチ──(アメグラやジョンヒューズ的)学園とシリアルキラーの組み合わせは定石。でもつくられる。わりと見たくなる。ふしぎに惹かれる組み合わせ──だと思う。
Mark DuplassのPOVクリープ(1と2)を監督したPatrick Briceのネットフリックス映画。imdbは伸びてなかった。が、個人的には感心した。とりわけ導入はとても掴んでくる。

ほかの学園ものと同様にじんぶつ描写にダイバーシティ(人種・LGBTqの多様)があり、bullyとbulliedがいる。得物は刀剣で、殺傷は容赦ない。それぞれの負い目(秘密)につけ込んでくる殺人鬼。どれを挙げても定石だが、ぎゃくに言えば、定石をもちいて見応えがある。

同一性難ある子がいい感じ。クレジットにJesse LaTouretteとあった。ボーイッシュという陳套な形容があるが、それが男でも女でも中性でも、ボーイッシュな人ってよくないですか。Victoria Ruesga、Piper Collins、Sammy Copley、Jesse LaTourette。
ハーフリムウェリントンをかけているのもいい。日本だとメガネ似合っているわけでもないひとがブランディングで眼鏡女子を標榜することあるけれど、あっちの人らってレベちでメガネ似合うのな。

スラッシャーにアメグラのコンビネーション、ネットフリックスで資本提供されて、おさまるところへおさまってしまうのがなによりすごい。映画のできは及第──にしても、お決まりの題材を渡されて、96分間いやみなく楽しめる──とうてい日本映画にはむりな芸当だよね。

映画感想で「なにも残らない」って使われることがある。たぶん下げに使われるのだろうけれど「なにも残らない」って、ほめことばだと思いませんか。重いものを見る気分じゃない晩に、むしろ積極的に「なにも残らない」映画を探して見る。で、そんな晩のほうがずっと多いわけで。