津次郎

映画の感想+ブログ

リトル・シングス(2021年製作の映画)

リトル・シングス

2.8
The Blind Side(2009年、邦題:しあわせの隠れ場所)やThe Founder(2016)やWalt Disney's Promise(2013)のJohn Lee Hancockが監督。
デンゼル、ラミマレック、ジャレットレト──キャストも渋いので見た。

映画内の役をつうじてデンゼルワシントンを知っているけれど、普段の人となりを知らない。──にもかかわらずデンゼルワシントンには大きな人間性をかんじる。かんじませんか。
なんていうか──外見声音抑揚態度仕草あらゆる部位から──にじみ出てくる美質が立派な人だと確信させる因子をもっている。

米大学における著名人の卒業祝辞──といえば定番の人気動画だが、デンゼルのも、胸に響くものがあった。
(こじんてきにさらにDenzel Washington impressionで動画検索すると小一時間はたのしい。)

(デンゼルは)白人女優とベッドシーンはもちろんキスもしないと声明していて、けっきょく人種平等といえども、映画内表現は、様様な謬見を引き連れてくる──わけであって、そのスタンスは賢明だと思っている。

本作での役どころは、どことなく哀しげな老保安官。腹も出ている。ヒロイックな役回りはおそらくイコライザーまでで、今後は初老な配役にシフトしていく──ような気がした。

ラミマレックといえばボヘミアン~で、すっかり代名詞だが、演じたフレディマーキュリーは特殊なじんぶつだったので、あまりに象徴的な役は、俳優にとって一長一短なばあいもある。
──というのも映画内でふつうの人を演じるラミレマックにボヘミアン~のフレディを重ねてしまうと、じっさいの資質がわからなくなってしまうから。
本作では、若手の有能な刑事役。悪くないが、別のことが気になった。

別のこと──とは口まわり。ボクシングでマウスピースをして口を閉じた顔──というのがあるが、ラミマレックはまさにあの顔をする。もっと言うと、ハロウィーンかなにかの仮装で(おもちゃの)ドラキュラの牙をつけて・・・そんな気配値のある口まわりが(やたら)気になった。
鑑みればフレディの口髭は上顎前突を隠すためだったとか。マレックにとってボヘミアン~はつくづく運命的な配役だった──わけである。

ジャレットレトはいつもどおり歪んだ人を演じていた。w。

内容は長すぎ。そして話をひねりすぎ。
終局はほとんど「エッ!そんなことになっちゃうの!」みたいな感じ。違和感が残った。

導入も、撮影も、役者もいい。だが、しだいに倦んでいき、やがて「なんでそうなるの」になる。The Little Thingsのタイトルも反映されていたとは思えなかった。

こじんてきな意見だがデンゼルならば勧善懲悪でも大丈夫。たとえばイコライザーでデンゼルが演じたRobert McCallは、かんぜんなる善で、圧倒的に強かった。
ふつう、善で強い役回りは、うさんくさくなるもの──なのにデンゼルが演るとはまる。
演じる役としてもデンゼルはたんじゅんなほうがむしろはまる──本作を見ていてそんなことを思った。