津次郎

映画の感想+ブログ

アダム&アダム(2022年製作の映画)

アダム&アダム

3.3
タイムトラベルで過去のじぶんには会ってはいけない。──比較的よく知られているSFのルールだと思いますが、本作では会うどころか一緒に過去へ行ってたたかいます。邦題(アダム&アダム)は大人の大アダムと子供の小アダム──のふたりをあらわしていると思われます。

映画はタイムトラベルをつかって家族の愛を描いています。
ねらいどおりですが、ざっくりな印象をもちました。キーナーが演じたソリアンは知的労働者にしては短絡的な悪党でした。父や母に対する慕情をエモーショナルに描くには性急な気配もありました。

ただしそれらの瑕疵をおぎなってあまりあるのが小アダムを演じたWalker Scobellだったと思います。
くりくり目のブロンドの少年で、大資本を投じたハリウッド映画に魅力的な子役が出ているのは当たり前とはいえ、それにしてもよく見つけたなと思える感じのいい子供でした。

小アダムと大アダム(レイノルズ)が父や母について、意見交換するばめんがありました。子供のアダムは大人のアダムが父を憎んでいることに気づいていました。また大人のアダムは子供のアダムが母親の哀しみをわかっていないと思っていました。

が、この会話で子供のアダムのほうが父や母のきもちを理解していた──ということが解ります。
映画は、子供は親の気持ちがわかっている、むしろ大人よりも子供のほうが親の気持ちをよく理解している──ということを伝えていました。サラッと描かれていましたがそこは含蓄がありました。またWalker Scobellはそういった知性がとうぜんと思える賢い風貌をしていました。

小アダムの賢さがもっともよくあらわれていたのは、いじめっこにいじめられるばめんだったと思います。小アダムはぶんなぐられながら、その状況を客観視していました。12歳の子供がいじめられながらジョークをいえるでしょうか。

映画は掘り下げていませんが小アダムのキャラクターはとても魅力的でした。スピンオフがいけると思います。
全体としてアダム&アダムは、かれWalker Scobellに大人の役者たちが食われた感がありました。
NetFlixの広報サイト「Tudum」にWalker Scobellのオーディション動画があります。ブレイク間違いなしって感じのきらめきがありました。