津次郎

映画の感想+ブログ

軽さと重さの同居 明日 (2022年製作のドラマ)

明日

4.0
おおくの人々が日本のドラマよりも韓国のドラマのほうがすきだったり、おもしろいと思っているが、韓国の伝えるニュースは、韓国をいい社会だと言っていない。そっちょくに言ってひどい国だとニュースは言っている。
現実の韓国は、ドラマにあるようなたのしい所ではない。(かもしれない。)

よく見るのは不動産価格の高騰や新型コロナウィルスの蔓延や失業と就職難。学校/会社/スポーツ界/アイドル界などのいじめ問題。元大統領がみんなタイホされてしまう国。また、女性がその女性的魅力を押し出してくる韓国エンタメにたいして韓国社会はフェミと反フェミが凄まじい対立をしている。「82年生まれ、キム・ジヨン」などをきっかけとした女性の権利回復が過剰化し「20代男性10人のうち6人が「反フェミニズム的」」という調査結果さえあるそうだ。

生きづらい社会、畢竟それがもたらすのは自殺率の高さである。

『昨年(2020)韓国の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は23.5人で、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国・地域のうち1位を記録した。特に、10代と20代の自殺が大幅に増えたことが分かった。』(ライフコリアの記事より)

順位はリトアニア、スロベニア、ベルギー、日本とづづいており、日本とて褒められた社会とはいえないが、記事はさらに
『昨年韓国国内で一日平均36人が自殺したことになる。自殺は昨年の韓国人の死因のうち4.3%で、全体では5位だったが、年齢別に見ると、10代、20代、30代では死因1位だった。また、40代以上の自殺率は下がったが、10-30代の自殺率は高まっている。』
と伝えていた。

ひどい社会だけどドラマはおもしろい。
韓国映画の名作ペパーミントキャンディやはちどりやパラサイト・・・等々なんかを見るとひどい社会だからこそ映画が劇的でおもしろいのだ──とも言えなくない。韓国社会の不人情はとてもドラマチックだと思う。

キムヒソン出演の新作ネットフリックスドラマ「明日」は自殺がテーマ。だと思う。(まだ始まったばかりで二話しか見ていないため、どうなるかは不明。)
キムヒソン、あの見た目で44歳(2022)とのこと。なんかサイボーグみたいな冠女優だと思った。

死神/冥土/地獄などをモチーフにした軽いファンタジーコメディの皮相をもっているけれど、重い主題をかたっていて、ドラマが謂わばプリベントスーイサイドの意味を持っている。
ヒソンは服装が奇抜なこととピンクの髪&ラベンダーのアイシャドウが特長。まったく死神気配のない外観。ウェブ漫画を原作としているとのこと。

軽い笑いとずっしり重い命題が韓国らしい。マネできないお家芸だと思った。