津次郎

映画の感想+ブログ

えせなジェンダー問題提起 彼らが本気で編むときは、 (2017年製作の映画)


1.0
映画のなかの世界は現実よりもリンコやLGBTに対して無理解です。
とうぜん、観衆のシンパシーを稼ぐためにそうなっているわけですが、それがあまり巧くないので白々しいです。

映画の世間には好ましい人たちと恐ろしい人たちがいて、勧善懲悪のように単純に構成されています。とりわけカイ君の母親(小池栄子:演)のキャラクターには唖然とします。戦隊ものにだって、これほどまでに単純化されたキャラクターは存在しません。
「違うの!」「普通じゃないの!」って・・・。
敵役として配置されたキャラクターなのは解ります。しかし、まるで人間味のない、書き割りのような人物像です。幼稚園児ですら彼女よりは倫理と常識をもっているはずです。また、なぜかカイ君も同性愛に悩んでいて構図がめちゃご都合主義です。さらに、カイ君、「普通って、何?」という、児童向け保健体育の啓蒙ビデオのような台詞を吐きます。ひょっとしたらキッズ向け映画なのかな?まして、この監督、わが国で代表的な女流とみなされているんですが・・・。

トモが好きだという食べ物は、シジミの醤油漬け、イカの塩辛、切り干し大根、だそうです。で、大人たちはその中年嗜好を揶揄するわけです。しかし、なぜ日毎コンビニのおにぎりを食べてきた被育児放棄の少女がそれらの玄人献立を知り得て、かつ、好きなのでしょう?これは、たんにウケ狙いの台詞ではないでしょうか。ウケ狙いゆえに、トモが背負っている現実的状況と矛盾が生じているのです。
いい加減に書いてるんだなあ、と思いました。

トモはリンコとマキオと一緒になってちんこのぬいぐるみを108体、手編みます。
いったい、どこの世界にちんこという俗語を持ち出して11歳の少女に男根をつくらせる大人がいるのでしょう。途上国であれ戦火の異境であれ、いかなる社会制度の国であれ、そんなおぞましい習俗はないはずです。なぜ少女の面前で下々に話が及ぶのかが、個人的には理解できませんでした。

LGBTを隠れ蓑にした、すげえがさつな映画だと思います。しっかし、この映画ってLGBTに無理解と思われたくないから、お追従でProsだらけになってるんですよね?
All these positive reviews:You gotta be kidding me! Here I really can't understand.