津次郎

映画の感想+ブログ

Just Like Heaven 恋人はゴースト (2005年製作の映画)

3.0
キュアはポストパンクから出発した(1978~)ミニマルなロックバンドだったが80年代に独自なポップ展開をして人気をあつめた。(2022現在も)現役である。

ジョンカーニー監督のシングストリートでコナー君たちが演奏する楽曲は、いずれも彼が誰から影響を受けているのか、よくわかる楽曲だった。

In Between Daysが流れた後の埠頭のシーンが、もろキュアな曲だった。
バンドメンバーは顔をドーランでメイクしていて、コナー君はロバートスミスの髪型を模していた。

キュアは80年代すでにメロディやギターリフだけで「なんかキュアっぽい」が成り立つほどの象徴的なバンドになっていた。

おそらくキュアのもっともキャッチーな曲はFriday I'm In Loveか、この映画の原題Just Like Heavenだろう。

映画では、さいしょから(ケイティ・メルアのカバーバージョンの)Just Like Heavenが流れてきた。(エンドクレジットでオリジナルがかかる。)

邦題では「ゴースト」を使いたかったのだろう。と思った。
(多分かつてゴースト/ニューヨークの幻or3人のゴーストorゴーストバスターズ・・・などのヒット作があったから──およそ邦題の成り立ちなんて、そんなところだろう。)

ずっと後年になって韓国映画の「ワン・デイ/悲しみが消えるまで」(2017)を見たときこの映画を思い出した。
昏睡状態にある人が体を抜け出す。限られた人だけに見える。ゴーストというより幽体離脱という感じ。あんがい珍しいのかもしれない。

リースウェザースプーンは憎たらしいがコメディをやると愛嬌がでる。そうは言ってもIvana Milicevic演じる淫奔な隣人に惹かれたのは仕方がない。と思う。

じぶんは男なので明確には解らないがマークラファロは母性をくすぐるのではなかろうか。寂しげにしていると子犬のような気配さえある。

原作はフランスの小説で、それを翻案しキュアの名曲Just like Heavenと絡ませたのはスピルバーグのプロダクションDream Worksとミーンガールズ等の監督マークウォーターズだった。サクっと軽く後味がいいラブコメになっていると思う。

タイトルのJust like Heaven=「まるで天国のようだ」は造園技師のデイヴィッド(マークラファロ)がつくった庭園のことを言っていて、天国のようにきれいな庭園がふたりの運命を引き合わせた。──という話になっている。

が、顧みるとタイトルやテーマソングがJust like Heavenでなくてもよかった。気がする。
厖大な音楽ファンが愛し、多数のミュージシャンがトリビュートしてきたJust like Heavenがこの映画だけに特有されるのはなんとなく勿体ない。