津次郎

Filmarksアーカイブ+ブログ

スパイダーヘッド(2022年製作の映画)

スパイダーヘッド

2.5
離島の刑務所。
囚人にいろんな感情制御剤を投与して実験する話。
おとなしく協力していたけれど、なんかおかしいぞ──になって反旗をひるがえす被験者がマイルズ・テラー。
刑務所の形式を借りて違法な人体実験をするマッドサイエンティストがクリス・ヘムズワース。
最後はじぶんを赦しなさい──みたいな教訓へもっていく。

近未来設定で感情制御剤が見どころになっている。
なんでも美しくみえるラブアクチン。
ボキャ貧を矯正するボキャブラス。
なにもかもイヤになるダークフロックス。
など。

薬は液体で椎間板のあたりにインプラントされているボックス「モバイルパック」から体内へ自動注入される。

モバイルパックはさわったり揺らしたりすると誤動作して薬が過剰投与される。──との伏線が入る。

さっそく、寝るときどうすんの、とつっこみたくなった。仰向け寝したら就寝中に誤投与される・・・のでは。

あら探しはともかく。
装丁は手応えがあるし、テラーとヘムズワース、魁偉なふたりを使っているけれど、映画はモッサリ。

おそらく悪役のはずのヘムズワースに動機がみえないから──というよりヘムズワースがナイスガイすぎて、毒気がぼやけてしまっているからだろう。

あえて現実に置き換えると、ラブアクチンは人類にプラス作用すると思う。
よく言われる──世に犯罪や戦争やテロが絶え間なくおこるのは男がモテないから。──とは真理だろう。

ボキャブラスはどうだろう。
個人的にインフルエンサーやユーチューバーに対して「なぜこれほどつまんない話に人気があつまるの?」と思うことがたびたびある。ゆえに話し言葉は「勢いのようなもの」が、かなり大事なのではなかろうか──と思った次第。

映画は、罪をおかした者が、罪を悔いて、じぶんを赦す薬があればいい──との結論へもっていく。
が、今の世を見ていると、そんな薬は要らない。

きょうびの犯罪者はじぶんの罪を悔いてないし、そもそも呵責してないから、赦すも赦さないもない。

もともと罪を犯した人の更生は、その罪の悪意や程度によって、天と地ほど印象が違う。
基本的に、過失ならじぶんを赦すは有りだが、故意で犯した罪にじぶんを赦すはない──という話。

刑務所を脱出するジェフ(テラー)とリジー(Jurnee Smollett)は、いずれも過失の罪を背負っている。
すなわち主人公は更生の主題を浮き上がらせるために、悪辣な罪(許せない印象をもった罪)を犯しておらず、けっきょくそれが御都合主義になってしまっていた。

どうでもいい余談だが、海辺のスパイダーヘッド刑務所、せり出し部分が長くて、構造柱いるんじゃなかろうか。と思った。