津次郎

映画の感想+ブログ

眉毛と生命力の相関性 ブリーズ 〜息を止めないで〜 (2022年製作のドラマ)

2.6

未開地に墜落してサバイバル。

The Forestというゲームをやったことがある。
飛行機が食人鬼が潜むジャングルに落ちてクラフトしながら掠われた息子をさがす──オープンワールドのホラーゲームだった。

ドラマでもゲームでもサバイバルしなければならない主人公に対峙したとき、ふと、じぶんは生き残ることができるか、能力をかえりみることがある。ないだろうか。

沈没して漂流するとか、大災害に遭うとか、事故に巻き込まれるとか、あるいは過去(たとえば戦国時代)に行ってしまうとか、などなどの危機の際、ヒーロー/ヒロインは、機知をはたらかせ、また身体能力を発揮し、難所を切り抜けていく。

ドラマ/映画/ゲームでは切り抜けていかないと話が進行しないので、それはわかる。が、能力がない、体力もない人間が危機に遭ったときどうするかについて、ふと考えてしまう。もちろんそれは自分を想定している。

危機では頭の良さや体力が彼/彼女を生かしめる。──とはいえゲーム内のように雑草で服をつくるとか木と石で手斧をつくるとか丸太で家を組み立てるとか、そんなことはできない。とうぜんドラマ/映画/バラエティのようにもできないが、せめて火をおこすとか、水を蒸留するとか、最低限のことをじぶんはできるんだろうか──と考え、いつか実践してみようと思いつつ、やったことがない。

──

主人公リヴを演じるのはMelissa Barrera。濃い。
ウィキペディアにShe is of Aztec and Spanish heritage.(アステカとスペイン(の血)を受け継ぐ。)とあった。顔立ちにレガシーがある。

内容はサバイバルそのものより、サバイバルを通じてリヴがじぶんをかえりみるドラマになっている。

かつて癌を克服したことがあるわたしの同窓は、かえりみてそれを「じぶんを見つめ直す長期休暇だった」と評した。人生では危機が塞翁が馬になっていることがある。

リヴは父母との間に確執をかかえ、仕事第一で同僚や情人をないがしろにして生きてきた。妊娠したことを秘匿してもいる。
墜落してサバイバルしているあいだじゅうそれらの過去を振り返り、慚愧にさいなまれる。──普遍的なプロットと言える気がする。

正直なところ面白いドラマじゃないが演出も話も嫌味がなく(←なんだかんだでいちばん大事)、Melissa Barreraにみりょくがあり、一編一編が短く、さくっと一気見できた。

──

事故や災害に遭った際、心理学的に人は“自分は生き延びる”と考えるらしい。誰も真っ先に氏ぬなんて考えない。

が、現実的にみてどうだろう。
サバイバル技術を習得するより、いつ氏んでもいいようにしておくのが重要なんじゃね。──とじぶんの内なる声は言っている。