津次郎

映画の感想+ブログ

ゲームのCinematic Trailerみたいな ラブ、デス&ロボット シーズン1 (2019年製作のアニメ)

ラブ、デス&ロボット シーズン1

3.0

一個見てエグいクオリティにおどろいてWikipediaをしらべた。

『カナダのアニメ映画『ヘビーメタル』のリブート作品として2008年に企画が立ち上がり・・・』とあった。なるほど。

2019年にシーズン1がNetflixで公開された──とのことだが、今(2022年)までぜんぜん気づかなかった。(ヘライザー総統の紹介ではじめて知った。)
Netflixのポータルって、機能しているんだろうか。

ヘビーメタルからインスパイアされたアニメもしくはパートアニメの短編集。(──という理解で大丈夫なのかな。)
クリエイターは世界各国にまたがっていて、いわゆる“オムニバス”だが、視聴者的にはむしろ“コンペティション”。どれがいちばん面白いか比べ見るのが楽しい。なので、10点制で並べてみた。

①ロボットトリオ:人類が全滅してネコ星になったぞ。5点

②わし座領域のかなた:宇宙航海時代は航行中に何年も眠る。睡眠中は何が起こっているか解らないので覚醒したときの虚実に焦点すると話を飛躍できる──というSFの手法を用いて不実体かもしれない女とやる話。5点

③氷河時代:実写でパートアニメ。藤子不二雄の「うちの石炭紀」。7点

④ソニーの切り札:未来のBreaking Downでは、じっさい戦うのは制御中枢をリンクしたモンスター。コントローラーと巨大生命体orロボット。ドラマよりゲームでいけそう。6点

⑤ヨーグルトの世界征服:たぶん日本人がもっとも苦手とする種類のユーモア。4点

⑥秘密戦争:強すぎる。多すぎる。そして速すぎる。スターシップトゥルーパーズのクモ、スタークラフトのZerg。命知らずとロシアの気配がマッチ。7点

⑦魂をむさぼる魔物:ネコ強し。5点。

⑧目撃者:GHOST IN THE SHELLみたいな街並み。もっとも高度な技術を感じた作品だったが、最初のシークエンスで輪廻するのがわかった。6点

⑨スーツ:カントリーライフの牧歌性とモビルスーツのアンバランス。モンスターはZergのZergling風。初期ラッシュになんどやられたことか。6点

⑩グッド・ハンティング:うってかわってアジア。もっとも淫靡で非情。パク・チャヌク風。7点

⑪ゴミ捨て場:堆積したゴミがモンスターになり、じぶんでどこかへ行ってくれるなら、全国のゴミ屋敷問題解決だね。4点

⑫シェイプ・シフター:軍にいる狼男。人間よりずっと役立つのに、なんで差別されてんのか解らず。5点

⑬フィッシュ・ナイト:舞い泳ぐ魚たちをアニメにしたかったという感じ。正直それがどうしたという話。3点。

⑭救いの手:慣性の法則の話。空気のない宇宙では押されて動き始めると、初動の速度のまま、まっすぐ同じ方向へ永久に進む。──ので手を使う。いやそうじゃなく、文字通り“手”をつかって慣性に抗う。ラジカルだがワンシチュエーションすぎる。5点

⑮歴史改変:面白くはなかったがアプリMultiversityは欲しい。4点

⑯ラッキー・サーティーン:黒人パイロットの顔がいい。空中戦するけれど、こっちは輸送機だぜ。短い尺でがっちり心を掴む。いちばん良かった。8点

⑰ブラインド・スポット:ハンサムとセクシーとマッチョと新人。定番キャラクターの荒くれ窃盗団。5点

⑱ジーマ・ブルー:世紀の芸術家は、プールのお掃除ロボットだった。彼がテーマとしてきた矩形の青にしても毎日磨いていたプールをメモリが記憶していただけかも。哲学的。唯物論的。7点

──

Blizzard Entertainmentというゲームメーカーがある。
スタークラフトやディアブロをつくったゆうめいなゲームメーカーだが、昔のスタークラフトやディアブロの節間に挿入されていたCinematic動画は、ものすごく良かった。
(スタークラフトで)アドミラルがバトルシップにいてマリーンが孤立しているところへZergが襲ってくるやつとか(ディアブロで)バールが開門をせまる場面とか、あのころ、ゲームと併せて最高に興奮したものだった。

かえりみて「ラブ、デス&ロボット」はどの作品も謂わばゲームの節間動画と言っていい。トリビュートヘヴィーメタルというよりゲームとの近親性を感じた。

シーズン3まで全部見たら1、2、3通したベスト5もしくは10をやりたい。