津次郎

映画の感想+ブログ

ほんとはいいやつ ゴースト・オブ・マーズ (2001年製作の映画)

3.0
マーク・ウォルバーグといえば眉を“への字”につりあげる威嚇の表情がいわばキメ顔になっている。

アイス・キューブにもおなじことが言えるが、tedみたいにキャラクターを演じ分けられるウォルバーグにくらべると、アイス・キューブのばあい、怒り眉が貼り付いてしまっている印象がある。

いつでもどこでも、あのキメ顔をしていて、なんか疲れそうな男だが、その印象がいくらか変化した動画がYouTubeにある。

アメリカのゆうめいな司会者でコナンオブライエンという人がいる。
動画は番組内企画の体(てい)でコナンとアイス・キューブとケヴィン・ハートが、アジア人女性に運転教習をするという顛末。

“Ice Cube, Kevin Hart And Conan Help A Student Driver | CONAN on TBS”

むちゃくちゃな運転マナーを教えマリファナをやってチキンをたべる。カオスな展開と“Student”のダイアナが魅力的。視聴回数1億弱はTVの企画ものとしては異例だろう。なんどみてもたのしい。

動画でアイス・キューブはコナンとケヴィン・ハートというオフェンシブなふたりのコメディアンを相手に、遜色のない押し出しの強さをみせる。

いつも怒っているような輩、いわゆる“thug”の気配を持っている男が陽気に笑ったりすると妙に惹かれてしまうことがあるが、アイス・キューブにもその魔法があると言える。

──

興行も批評もコケているが“自傷するハードロッカー”の造形やキャストのおもしろさで印象に残っている映画。

同監督のニューヨーク1997に似て凶悪犯を檻から解放してミッションへ任用する。
カーペンター監督の描く凶悪犯は男臭くてストイック。だらしなさがない。アイス・キューブ演じる“Desolation Williams”はvoluptuousなヘンストリッジに目もくれなかった。

反して今や男臭さの代表選手ともいえるジェイソン・ステイサムがここでは格下で女にだらしない傭兵を演じていた。また、パム・グリアやジョアンナ・キャシディなんて懐かしい名前も出ていた。

imdb4.9、Rotten Tomatoes23%と24%。
ボロボロだが個人的には“愛すべきキッチュ感”を感じた映画。

とりわけラスト。ヘンストリッジをアイス・キューブが起こしに来る場面。

Come on.Tide is up.Time to stay alive.
さあ生き残るための時間だ──とかクサすぎることを言ってウィンクしピッカピカの銀色銃を渡す。

アイス:あの世に生きたくなかったら悪党になるんだな
ヘンストリッジ:あんたは警官になんのよ
ふたり:Nah
アイス:やっつけようぜ
ヘンストリッジ:やったるわよ

映画には出来が悪くてもクサさやバカっぽさゆえに憶えている──ってことがあるがじぶんにとってゴースト・オブ・マーズはそれだった。