津次郎

映画の感想+ブログ

最強のぼっちキャラ ウェンズデー (2022年製作のドラマ)

ウェンズデー

5.0
シニカルで超然として誰にもおもねらないウェンズデーは、げんじつにいじめやネグレクトに遭っている少年少女に勇気をあたえるにちがいない。

そんなしたたかな“ぼっち”キャラであるウェンズデーがファミリーを飛び出してスピンオフされたのはとうぜんであっただろう。

アイロニカルな笑いや謎解きを散りばめながら──だけど本質的にウェンズデーは心優しく弱い者の味方ですよ──という調和へもっていくのがじつに良質なジュブナイルだった。

しかも演者が全員きれいくてじょうず。お金も壮大にかかっているうえティムバートンが演出している。もはやなんの文句もなかった。じっさい気づいたら三話目を見ていた。ほんとに楽しいコンテンツは見ている最中になんにも考えない。

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ウェンズデーを演じるオルテガはメキシコ及びプエルトリコ系の両親のもとに生まれ子役からスタートしており現在(2022年)20歳。

ウィキ情報だが、彼女はトニースコット監督デンゼルワシントン主演のMan On Fire(2004)に出ていた子役のダコタファニングを見て、じぶんはプエルトリコ版の彼女のような子役になろうと思ったそうだ。

それだけ幼いときから野心をもっていたオルテガはThe Fallout(2021)やX(2022)やScream(2022)でブレイクし、ウェンズデーが決定打になった。

プエルトリコな見た目だがミシェルorジーナロドリゲスよりも多彩/器用な気配。いずれの過去出演作でも演技のうまさが賞賛されていて、じぶんもThe Falloutの彼女をよく憶えていた。

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女性キャラクターのでっぱりに比べて男性キャラクターをひかえめにしてある印象。なよ男子しか出てこない。その操作がとても効いて、学園からの恋愛に落とさない、男女臭を感じなくていい、快さのあるホラーコメディになっているのが巧い。さすがティムバートンだった。

ネバーモアの面々で気になったのは190㎝の校長Gwendoline Christie。爪しか伸びない狼族のルームメイトEmma Myers。カラコンしたセイレーンのJoy Sunday。むかしウェンズデーを演ったリッチもいた。みんなヴィヴィッドでぐいぐいと引きつける粒立感があった。

ズズっと寄って表情を舐めるバートンが使うカメラワークがあるがその寄りにオルテガのきれいな輪郭とナチュラルなまつげと据わった目が映える。いい!。

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英語あるあるかもしれないが、むかしウェンズデー=Wednesdayのつづりを覚えるために「ウェデネスデー」って覚えたよ。