津次郎

映画の感想+ブログ

穏やかで強い ザ・コンサルタント (2016年製作の映画)

ザ・コンサルタント(吹替版)

5.0
ベンアフレックは監督としても成功したが役者として味があるひとだ。と思う。

美男でタフガイだがフェロモンは希薄。デカいのに威圧感はなく、優しそうで、すこし間抜けな印象もある。案外いそうで、全然いない。

グッドウィルハンティング(1997)の鷹揚なアニキの気配をけっこう明瞭に覚えているし、酷評されたジーリ(2003)でのスカした感じも似合っていた。
(ちなみにアフレックとロペスはジーリからの交際だそうだ。20年間お互いに色んな人を試して今年(2022)ようやく結婚に至った。とのこと。)

192cmの長身だが、颯爽とはしていない。バットマンも似合っていたが軽快or俊敏なムードはなく“どっこらしょ”という感じ。柔和、温厚、ジェームズスチュアートっぽい。

Pros側にHollywoodlandやGONE GIRLがあるかと思えば、Cons側にJersey Girlやgigliがあって毀誉褒貶だが、俳優ベンアフレックが記憶に残っている映画は少なくない。

この映画The Accountant(邦題はなぜか「ザ・コンサルタント」)のアフレックも、記憶に残っている。

自閉症の過去がある癖っぽいヒーロー。感情をあらわさない会計士にして殺し屋。一般人な経理係(ケンドリック)と帳簿について話すときだけ素地が出る。
長身から繰り出されるアクションはすごい迫力。だけど激さない。あくまで静かに、会計監査をしているときと同じ大人しさで、敵をぱたぱたやっつけちまう。痛快。

脚本もよく練られている。
ストーリーのなかで弟と妹が巧妙に配置され、感心した。

ケンドリックは華奢な才媛だけれど、ちょっとモテ過ぎかな、とは思う。

音楽もよかった。
開けてびっくりの餞別(ポロック)と、キャンピングトレーラーが走り去るラストで流れるヴァンモリソンみたいな声の曲、深い余韻があった。(Sean Rowe - "To Leave Something Behind")

ところで昔ジャクソンポロックを描いたことがある。学生時代に一人暮らしのアパートに壁絵が欲しくて自分で描いた。じぶんにはアートの才能も造詣もないがポロックなら、それ風のものが描ける(ような気がした)。

ポーカーする犬だってクーリッジの真作なら破けるようなもんじゃないが、ポロックにはかなわない。

なんか好きな映画だな。すごくいいと思う。