津次郎

映画の感想+ブログ

あざとい ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル シーズン2 (2022年製作のドラマ)

2.7

ゴールデングローブ(80回、2023/01)で2冠との報道がありました。
作品賞と助演女優賞(ジェニファー・クーリッジ)だそうです。
他のアワードも多数とっていました。

見始めましたが、あざとかったです。
キャラクター設定と出来事がオーバーだと個人的には感じました。

ですが批評家の評価は著しくいいです。
Rotten Tomatoes94%と69%。
wikiからの拾い読みですがRogerEbert.comもほめており主要紙The New York Times、Rolling Stone、TV Guideもほめていました。

ところで、この「あざとい」という言葉の意味について、じぶんの見解を言っておきたいです。あざといって人それぞれちがう意味で使っているばあいがあるので。

プリミティブという言葉をよくつかう人がいたんですがなんか聞いてるとそれを原始的という意味ではなくかわいいという意味でつかっていたのですw。
じぶんも外来語や小難しい言い回しをつかったりするのでとりあえず「あざとい」をどういう意味でつかっているのかを言っておきたかったのです。

わたしがつかう「あざとい」の意味は「奇をてらっている気配がだだ漏れしている」です。日本映画の「鬼才」に当て嵌まる形容ですが、そこまで顕著でなくても使えます。

ここに出てくるキャラクターは思い切ったカリカチュアで「金持ちの奇行や性癖」を表現しています。また次から次へと修羅場orプチ修羅場があり、その都度awkwardの落とし穴にはまります。
が、それらが過剰なのでむしろ平板な見ばえになっています。つまり盛りすぎて、盛っていることのほうが目立ってしまっているのです。

例えば今は巨大パフェが客寄せでけっこうどこにでもあります。で、複数人で食べてみるわけですが、それがぜんぜんふつうな、むしろあまり美味しくないパフェだったばあい、落胆の度合いは大きいわけです。ぜんぜんふつうのパフェ出すんだったら巨大パフェにして釣るのはやめてよ──と思うわけです。

(ちなみに巨大パフェから連想されるような女子会的なノリの中で食べたのではなくおっさんであるわたしと年老いた父母と姪の四人で食べたのですが)

派手な皮相をもっていながらじつは味がない。これは園子温の暴力性や蜷川実花の極彩色に、いささかも心動かされないのと同じ現象です。

これを「あざとい」といいます。けっこう強めな否定だと思います。アメリカの批評家がホワイトロータスのあざといキャラクタライズを受け容れていたのは意外でした。

ですが見たのはシーズン2でしたので、シーズン1はちがう印象なのかもしれません。

見たきっかけはヘイリールーリチャードソンがいたからですが脇役なのはざんねんでした。オーブリープラザはシリアスな演技派への脱皮をはかっている印象がありました。さまざまな映画で見かけるジェニファークーリッジが巧いのは解りきったことなので女優賞は妥当でしたが、率直に言ってこのシリーズには批評家受け狙いのヴァイヴを濃厚に感じました。げんじつにゴールデングローブ賞やエミー賞や協会賞や批評家賞になったわけでその意味の「あざとさ」もありました。

そう「あざとい」の最大の意味は「媚び」です。

批評家筋へかなり明瞭に媚びているドラマだと個人的には思いました。