津次郎

映画の感想+ブログ

地獄まで行こうぜ ザ・グローリー ~輝かしき復讐~ (2022年製作のドラマ)

5.0

むかし朝鮮通信使というのがあった。
使団に参加していた人の手記がのこっている。

さっきねっとでしらべたことに過ぎないし、社会派でもないから深掘りしないが、手記は日本を褒めちぎりながら悔しがっている。都の街並みの見事さに驚愕し、女人の美しさに感嘆しながら、倭王に礼したり拝したりするのを嫌がっている。

なんか逆転していないだろうか。

つまり韓国エンタメに対する日本人の憧憬が、通信使の日本感に似ている。

韓国は(OECD加盟国で)自殺者がもっとも多い。経済的にも破綻している。
だけどエンタメはいい。国は壊乱しているけれど、糊塗したり装飾したり巧く見せるので消費者は憧れてしまう。紅白歌合戦でもいちばんよかったのはTWICEだったそうだw。

国策として反日を是としている国に、日本人が憧れてしまうのは皮肉な話だが、じっさいそうなっているのは、どうしたもんだろうか。

また通信使は手記で女人の美しさにしきり感嘆しているのだが、雑感だが近年の日本女性にきれいさを感じないのに反して他国の女性がきれいだと感じる度合いが大きくなっていくのはなんでだろうか。(個人の見解です)

隣の芝生現象なだけだろうか。かつてさんざん貶していた人造値をむしろ日本女性に感じるのは気のせいだろうか。いやいじってもいいけど、いじったぞって盛り上がるところなんだろうか。

というわけで韓国エンタメは面白いし韓国人女性は美しいと思うのは結構だが術中にはまっていることは自覚しようねという話でした。

──

ザグローリー輝かしき復讐。

凄まじいいじめに遭った少女の長期計画的復讐劇。この題材で韓ドラの右に出るものはなく、水を得た魚というかんじの王道ドラマだった。

助走でこれでもかってくらいにいじめっこの悪辣といじめられっこの可哀想を強調する。観衆はいじめっこにたいする処罰感情がめらめらに燃え、いじめられっこにたいするシンパシーは最大値に寄り添い、アドレナリンががっつり分泌され、そりゃもうすごかった。(まだ4話目だが)

じぶんはかつて名画ペパーミント・キャンディーのレビューにこう書いた。

『やはり学校暴力告発は「怨」を尊重する韓国の国民性・特殊性がある。
日本では、恨みをたずさえて生きていくのが、不穏当なこととされている。まっとうな大人ならば、忘れて、離れて、別の世界で向日して生きたほうが健全だと説くし、またワルいやつは必ずその報いを受けるものと信じられてもいる。
それとちがって韓国では、なにか/だれかを根に持って生きる生き方が、あるていど肯定されている──ような気がする。
むろん実際の韓国人の性情は知らないが、韓国映画を見ていると、過去を引きずり、恩讐の彼方に生きているキャラクタライズがいっぱいある。

多くの映画ファンに衝撃を与えた、ペパーミントキャンディは、なんというか「怨」のダイナミズムだと思う。暗くて非情で、禍々しい負の欲心に満ちていながら、それがひたすら圧倒的で打たれる。まちがいなく見たことのない他のどこにもない世界だった。ソルギョングだったからこそでもある。映画と同時に、見たあとの放心状態をまざまざと記憶している。』

要は復讐が肯定される世界がつくっている復讐ドラマだから面白いのだろう。と思った次第。
キャラクターのクズ値と善人値が明白でしっかり嫌感or好感できる。日本だったら悪役の偏差値を落とすところだが、いじめっこもしっかりきれいなのが韓ドラ。しっかりきれいでしっかり憎たらしい。また韓ドラの王道設定では金持ちが悪、貧乏が善とされ、貧富をからませることによってパワーが倍増する。自堕落な金持ちのいじめっこと、感情を殺して復讐に生きるヒロイン。怨で地獄までいく感じがまさに韓国だった。

もちろんドラマは現実とはちがうが、現実世界でも復讐をおすすめしたい。なぜかというと強い復讐心をもって努力し、月日が経ち経済的にも社会的にもいじめっこを凌駕してしまうと復讐心が転化しているから。恨みが消えるのではなく(たいがいのばあい)成長したいじめっこがもはや仕返しを必要としないほどの底辺でうごめいていて、ちょうど蓮池のほとりから下にいるカンダタをごらんになったお釈迦様──の位置関係。そうなっていなくても負けじと努力すれば若かった時代のことを寛恕できるほどに成熟してしまう。なんてね。

(ソンヘギョがいい。少女時代を演じたチョンジソもいい。情報によると2023/02/10に謗法運命を変える方法を映画化したみたいな感じの呪呪呪/死者をあやつるものが公開されるそうだ。)

(ヒロインを演じたソンヘギョのウィキに『2019年1月2日、徐敬徳とともに「韓国の歴史」というウェブサイトを開設。4月には徐と共同で中国・上海にある尹奉吉記念館に浮彫作品を寄贈した。』とあった。徐敬徳も尹奉吉も過激な反日活動家。だけどドンウン(ヘギョの役名)の悲しみ寄り添ってうっとりしながら見てしまったわたしですw)