津次郎

映画の感想+ブログ

役者が揃っていて、みんないい 世界にひとつのプレイブック (2012年製作の映画)


4.0
ジェニファーローレンスには素が感じられない。
じぶんを演出しちゃうタイプで顕示欲が強そう。
貞淑でなくスラッティー。
芯が太く、気が強く、上昇志向がある。
優柔不断ではないが、素直さに欠ける。

オスカーを獲ったのは、おそらくティファニーがジェニファーローレンスそのもの、だったからだろう。
パットを好きになっているのに、ニッキーとの復縁に協力する勝気さ。
ローレンスは、のびのびと自分自身を演じている──ように見えた。

男からすると、面倒くさそう。
でもラブリーな女性。
フェロモンを押し出してくるタイプ。
使えるものは使う。
NY州の標語は自身のモットーのようだ。

若くしてオスカー女優となった重圧が想像されるが、流出やワインスタインを乗り越え、うまく泳いでいる。賢いひとでもある。オスカーの階段でコケたのも打算かもしれない──なんて思った。

まったくもってティファニーはジェニファーローレンスそのものだった。

クライマックスを盛り上げるのがパーレイ法(連勝を前提にした倍賭け)。
ダンスコンテストでスコア半分なのに大絶叫するのがやたら痛快。
ラストはティファニーをパットが追いかけ、めでたく大団円。
邦題も珍しくナイスだと思う。

見どころが盛り沢山で、スター競演が楽しくて、かっちりハッピーエンドの脚本。
ハリウッドの浩々たる懐が見える、かなわない系の映画。

デニーロも素敵だったけれど、いろんな映画で見るJacki Weaver(母親役)がすごく上手だった。さらに、個人的にはティファニー姉の旦那ロニー役のJohn Ortizに男優賞。The Dropの刑事役同様、とても光るバイプレーヤーだと思う。