津次郎

映画の感想+ブログ

韓国映画

脱北者の苦悩 ロ・ギワン (2024年製作の映画)

3.0 ソン・ジュンギといえば私のオオカミ少年(2012)が思い出される端正な顔立ちの韓国人俳優だが、来歴によると、少年時代はショートトラックスピードスケート選手で全国大会への出場経験があり、名門の成均館大学校を最終学歴とし、イケメン俳優なのにし…

白兵戦が熱い バッドランド・ハンターズ (2024年製作の映画)

3.2 地震をおこして能書きそこそこでさくっとディストピア設定をつくる。衣装はボロでいいし舞台は廃墟でいい。ヒロインとマ・ドンソクをもってきたらとっとと憎まれ役をだしてマッドサイエンティストを絡ませて全面戦争やって懲悪してめでたしで一丁あがり…

生き別れた“父娘” ブレイブ・ロード~名もなき英雄~ (2017年製作の映画)

3.7 朝鮮戦争下でのトルコ国連支援兵と戦災孤児のふれ合いを描く。 トルコと韓国の合作で、実話をもとにしているが、短絡しながらサクサクと進む。すこぶる演出がうまく、絵も明解で人も景色もきれいで、暗くせず明るく描いてある。 映画に先立つ2010年、韓…

高校生の過労死 あしたの少女 (2022年製作の映画)

4.0 コールセンター研修での過労から自死する高校生ソヒ(キム・シウン)と、その捜査にあたる刑事ユジン(ペ・ドゥナ)の2者視点で構成されている。実話からインスピレーションを得て書かれたそうだ。2022年カンヌで上映されて以来、各所で賞をとった。 社…

清純派が汚れ役に 毒戦 BELIEVER 2 (2023年製作の映画)

3.2 日本映画で暴力的なシーンを見ると無理してるなという感じを受ける。 ことはありませんか。 わたしたち日本人は平生、穏やかな日常をおくっている。映画のキャストやスタッフもそうであろう。日々、誰かをぶん殴ったり、拷問したり、やにわに襲いかかっ…

ノーコンテスト ナックルガール (2023年製作の映画)

2.9 おそらく漫画を和訳したものがそのままセリフになり、そのセリフに日本側監修が入っていない──という感じだった。 キャラクターもストーリーも世界観もノワールをAIがランダム抽出したかのように類型的かつ質感に欠け食玩のようにちゃちだった。 たとえ…

復讐の鬼と化す バレリーナ (2020年製作の映画)

3.2 イ・チャンドン監督のバーニング(2018)でチョン・ジョンソをはじめて見たとき、こう書いた。 『後からチョンジョンソが初出演だと知って驚きをおぼえた。どこにも出た経験がないらしい。が、堂々としている。カラーも出している。なにをしても牛刀を隠…

巨匠の遊び心 別れる決心 (2022年製作の映画)

3.8 パクヘイルのおっとりしたぼっちゃん顔に油断する。が印象に反してギラギラしている。グエムル漢江の怪物の霊前のシーン覚えていませんか。娘が怪物にさらわれて、まだ生きているのだが行方不明なので葬儀をやっている。そこに叔母のドゥナと叔父のヘイ…

カルト 4人の食卓 (2003年製作の映画)

3.8 知らなかったのでぐぐったが明瞭な評価を見つけられなかった。A Table for Fourだと見つからないしThe Uninvitedだと箪笥のリメイクが出てくる。 imdb5.7、トマトメーターは付いておらずオーディエンスが54%だった。他の海外評価サイトでも旗色は良くな…

生きづらさ おひとりさま族 (2021年製作の映画)

4.0 マイオンリーラブソングという2017年の韓国ドラマにコン・スンヨンが出ていてネットフリックスの“マイリスト”に入れて何度か見た。コン・スンヨンは瑕疵のないAI顔をしている。純白の肌質感で、寄ってもそのままだった。 マイオンリーラブソングを見て以…

ホームレスワールドカップ ドリーム 狙え、人生逆転ゴール! (2023年製作の映画)

3.3 ホームレスワールドカップを知らなかった。ウィキやオフィシャルサイトをのぞいたがまともなイベントだった。それ自体がドラマチックなのでホームレス状態からフィールドを駆けるところまでのドキュメンタリーがいくつか作られている。とうぜん映画にも…

郷愁 おばあちゃんの家 (2002年製作の映画)

4.0 韓国では強い創作動機がキャリアをこえて映画を高品質にすることがある。たとえば子猫をお願いやおばあちゃんの家やはちどり。女性で寡作で初監督で、もう撮らないかもしれないが記憶に残っている。 日本では「映画監督になりたい」が動機なのでパッショ…

暗殺者養成所 キル・ボクスン (2023年製作の映画)

3.1 殺人請負会社MKにつとめるベテランの暗殺者。表向きはシングルマザー。殺人と子育て。矛盾するふたつを両立させようと奮闘するボクスン(チョンドヨン)。 MKはランク別の暗殺者を擁し若手の育成もやっている。受注した依頼は作品と呼ばれ、一見したとこ…

韓国ノワール風レディプレイヤー1 操作された都市 (2017年製作の映画)

3.5ゲーム中は熱くなるので“ゲーム実況中の暴言”が後を絶たない。先日も、炎上とは無縁とされてきた老舗YouTuberがゲーム実況中の暴言によって炎上した。 いまやゲーマーは認知された職業だが庶民的とは言えない。これは“古くさい考え”などではなく、お父さ…

女性監督、長編デビュー作 声もなく (2020年製作の映画)

3.3軽トラで卵を売っている父子らしきふたりの男。組織の屍体処理を副業にしている。主収入はそっちだが、つましく生きている。 反社と田舎と底辺と暗愚。韓国映画が得意とする描写だと思う。 在方とそこにいる教養のない人、かれらが依拠する闇の世界──を描…

家族への憧憬 ベイビー・ブローカー (2022年製作の映画)

4.0 とても見たかった。 ゆるいしあまい。リアリティは置いてメルヘンをとりにいった感じ。 登場人物全員の素性がふわふわしている。生活の気配がない。ふたりの刑事なんか、ほとんど買い食いしているだけw。 でもいい。絵がとてもキマる。どのカットも是枝…

パイレーツ:失われた王家の秘宝(2022年製作の映画)

3.0ネトフリで見つけたハン・ヒョジュのひさびさの冠映画!いつものおしとやかな印象とは打って変わった鉄火肌の姉御、荒くれ男達をしたがえ、いつになく精悍でした。美白も褐色にしていたのでクレジットを見ていなければヒョジュと解らなかったかもしれませ…

露命の扱い方 世界で一番いとしい君へ (2014年製作の映画)

3.5カンドンウォンて彼女を信じないでくださいの時からPeninsulaまでぜんぜん変わんない。どうなってんだろうか。 かわいそうな話だがいたずらにお涙ちょうだいせず、爽やかにつくられている。見るのがすごく楽だった。 いっぱんに死のまわりでは、それに対…

D.O.が演じる島の少年 純情 (2016年製作の映画)

3.0ニューシネマパラダイスのように、さいしょに現在の大人がでてきて、回想へ入っていく話。幼少期のサルヴァトーレを演じたSalvatore Cascioは壮年期のジャックペランにぜんぜん似ていなかった。が、ニューシネマパラダイスを見てそこを指摘するひとはいな…

監視者たち(2013年製作の映画)

5.0たびたび韓国映画に衝撃をうけてきた(いま思いつく限りだが)ペパーミント~オアシス春夏秋冬~子猫をお願いクムジャさん猟奇的な彼女甘い人生チェイサー哀しき獣復讐者に~オールドボーイグエムルオクジャパラサイト釜山行きはちどり・・・。韓国はエン…

血と糞と味噌にまみれたおしんの殺戮劇 ビー・デビル (2010年製作の映画)

4.5日本の映画監督は、女性が虐げられる映画を、好んで撮ってきました。 だもんで、女性が虐げられるような封建的な作風が「日本人が好む映画」と誤解されてしまった──わけです。 じっさいには、わたしたち日本人は、そんな作風を、好きじゃない。と思います…

第8日の夜(2021年製作の映画)

2.5ホラーや時代もののリアリティには、さまざまな要素が必要だが、まず庶民らしさが前提になる。と思う。 中田秀夫や清水崇といったホラーの「巨匠」が、毎度、目も当てられないモノを積み重ねている(だけど仕事はひっきりなしの怪異)が、たとえばかれら…

映画チーズ・イン・ザ・トラップ(2018年製作の映画)

2.0主人公の男優(パクヘジン)の鼻梁(びりょう)がすごい。びりょうのりょうはハリと読む。梁とは、柱の上で横に渡して天井を支える木のこと。まったくのところ、かれのびりょうは、梁だった。渡している──としか言いようがなかった。 西洋人の顔は、額か…

日本進出直前のウンギョン ときめき♡プリンセス婚活記 (2018年製作の映画)

2.4新聞記者に出ている韓国の女優さんが出ていた。サニーや少女は悪魔などしばしば見たが怪しいのシムウンギョンが印象にのこっている。多様な役を演じるけれど、その役の裏側にストイックな気配を感じる女優。──努力家な感じがする。 新聞記者での役はふつ…

ワーニング その映画を観るな(2019年製作の映画)

3.0映画中の述懐で「ホラー映画に救われた」という回想が出てくる。それによると彼は「高校時代にイジめられ、先輩に殴られて、まいにち死にたくて、病院通いで学校に行けなかった。ある日テレビでエクソシストを見た。~。目が釘付けになっていて、手が震え…

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

5.0ほったんは人気あるバレーボール選手だったが、そこから、ゆうめい人の学校暴力告発が相次いだ。知らないゆうめい人ばかりで、実感が湧かなかったがパク・ヘスも告発があがり、ドラマなどの放映が無期延期となった。パク・ヘスといえばスウィングキッズに…

セヲル号の遺族 君の誕生日 (2018年製作の映画)

4.1セヲル号の件ではずさんさを感じた。船長がまっさきに逃げるなんて、どんな国・民なんだろう。と思った。聖水大橋や三豊デパートの崩壊についても、事故そのものより、国や人のずさんさを思った。だが時間がたち解明されたことを見たりすると、それらが社…

君が描く光/ケチュンばあちゃん(2016年製作の映画)

3.3韓国にはひとえがスターダムを得る地盤がある。代表てきなのは、パラサイトのパクソダム、これのキムゴウン、演技派のハンイェリといったところ──かと思う。ぜんぜん見ないが、個人的な記憶のなかには子猫をお願いのオクチヨンがいる。長身で、いつもポケ…

人狼(2018年製作の映画)

3.0原作は押井守のアニメーション人狼JIN-ROH(2000)。 かえりみて、この話は悲劇的宿命の主題がじつに韓国好みだった。 押井守のアニメを原作としているのに、むしろ韓国ノワールのように見えてしまう特質を持っていた。 この逆輸入に触れた結果、元のアニ…

韓国版 カンナさん大成功です! (2006年製作の映画)

3.5原作のことは知らない。また日本版の映画もあるが、見たことがない。カンナさん大成功です!と言ったばあい、おそらくこの韓国版の映画がもっともポピュラーではないかと思われる。 ストリーミングサービス=Netflixもあり、日常的に韓国のエンターテイン…