津次郎

映画の感想+ブログ

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

強迫観念とその末路 BUG/バグ (2007年製作の映画)

3.8ウィリアムフリードキン監督は偉大だった。いまでもあの印象的な街灯に照らされる神父の黒影のポスターをみるとまた見ようかなという気になる。ほとんど50年経たいまでさえエクソシストネタはホラー映画の主潮流である。 偉大な映画監督は興味の矛先が常…

ふつうにあり得る話 イングリッド ネットストーカーの女 (2017年製作の映画)

3.3テラハを見ていたとき、山ちゃんの扱き下ろしに、いっしょになって笑っていた。そうでないひとがいるなら、高潔といっていい。たいしたもんだ。 じぶんは低俗な番組を好きな低俗なにんげんである。 さらに、ネット上の批判に、ヤラセを見て喜んでいるバカ…

別人メイクに驚き スキャンダル (2019年製作の映画)

3.4エンタメニュースには「あれ、こんな顔だったっけ」枠がある。ポータルにはまいにち他愛ないエンタメニュースが挙がってくる。顕著なのは、芸能人の誰某がSNSを更新し、その態様または発言が好評あるいは炎上──というものである。 そんななかに、写真系SN…

海上だけど密室劇 救命艇 (1944年製作の映画)

5.0誰もが聞いたことのあるボートのジョークがある。大海にボート。5人の遭難者が乗っていて、それぞれ国籍がちがう。5人は多寡が臨機である。4人くらいがつくりやすい。 かれらは、その国柄に基づいた行動をとる。思い出せないので適当だが、アメリカ人は保…

ロシア製SF アビゲイル クローズド・ワールド (2019年製作の映画)

2.0わたしのこどものころは、かわいいとは、小さいこどもやおもちゃや動物にあてた形容だった。それが、いつのまにか汎用になった。きょうび好ましい見た目をもつ総てにかわいいが使われる。 で、わたしをふくめ日本人は、まいにちまいにち、ばかのひとつ覚…

その怪物から逃げるほうが主役 その怪物 (2014年製作の映画)

3.0動作そのものは知っていたが、それが気になる人が他にもいることを、さいきん知った動作なのだが、若い女性の経口揺動というものがある。ちなみに経口揺動なんて言葉はなく、いまつけた。 死語だが「ぶりっ子」を露呈してしまう動きである。何かを食べる…

ふつうの低品質ホラー 地獄少女 (2019年製作の映画)

1.510年ほど前なのだろうか。何気なく見たアニメだった。タイトルは地獄少女。雅びな和服少女の処刑人の出てくるホラー風味の幻譚だが内容は覚えていない。 ただ主題歌にひきつけられた。曲名は逆さまの蝶。いつか光に向かう逆さまの蝶という歌い出し。一聴…

元ネタはチャップリンの街の灯 ただ君だけ (2011年製作の映画)

4.5薄幸が鼻につくことがある。湯を沸かす~は薄幸キャラクター総出で押しまくる。個人的には臭すぎて無理だった。 魚とおなじで、その臭み耐性には個人差がある。魚ダメな人は、魚介ソーセージでも無理である。 が、調理には巧いのと拙いのがある。拙いから…

たくましい時代 プーサン (1953年製作の映画)

4.0日本映画をけなすことが、けっこうある。ぜんたいとして嫌いと言えるかもしれない。 わたしならずとも、人様のベストムービーをざくっと見渡して、日本映画を挙げている人なんて、数えるほどしかいない。だから、単純に見積もって、日本映画は日本人に好…

ユヘジンの初主演作 LUCK-KEY/ラッキー (2016年製作の映画)

3.8バイプレーヤーのヘビーローテーションを感じるときがある。なまじっかスター俳優よりもよく見るからだ。とりわけ日本や韓国では頻用と汎用の度合いが大きい。おそらく他の国も、そうなのであろう──と思う。日本ならば遠藤憲一や光石研や山本浩司etcとい…

ふぞろいな眉 恋のときめき乱気流 (2012年製作の映画)

3.0リュディヴィーヌサニエはブレイクライブリーにも似ているが、とくべつなチャームポイントは右眉がつり上がっているところ。ほとんどひと目でわかる。左眉は一文字なのに右眉だけがへの字。この右眉が、笑ったり困ったりで破顔すると、とりわけピクンと上…

小品にして傑作 エイプリルの七面鳥 (2003年製作の映画)

5.0映画の思い出を入れておく引出しには忘れない小品の一区画がある。こんにち、そのてを繰り出してくる、もっとも信用のおける機構となっているのがサンダンス映画祭だと思う。SearchingやTullyやエイスグレードetcに、大作に負けない良心を見る。そういう…

邦題がいい希有な映画 眠れぬ夜のために (1984年製作の映画)

4.0行きずりの女を助けたばかりに、国家間の争いに巻き込まれる不眠症の男のサスペンスコメディ。国際的な組織に追われるジェフゴールドブラムとミシェルファイファー。なんとか逃げ延びて、途上でダイナーに立ち寄る。そこでアイスな、クリームな感じのスイ…

絵にモデルをたてる意味 ジャコメッティ 最後の肖像 (2017年製作の映画)

3.5アルベルトジャコメッティはフランスで活躍した彫刻家・画家・版画家。最晩年のモデルとなった男性の視点から、破天荒な天才との交流が描かれていた。 肖像画は完成するが、もともと写実的な作風ではないこともあり、似ても似つかない抽象絵が完成する。 …