津次郎

映画の感想+ブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

カラフルですね Diner ダイナー (2019年製作の映画)

1.0写真のことは知りませんが、監督は写真家を兼業しています。スタジオで被写体を据えて撮る写真家で、ストリートや自然や報道などの写真は見たことがありません。すべてが人物や花などをコラージュした写真です。極彩色に盛りますが、独自性はなく、この人…

クリスマス・クロニクル(2018年製作の映画)

3.3わたしは陰きゃなのでクリスマスに電飾やKFCの渋滞やクリスマス的雰囲気を見たりすると「けっ」とか思うのだが、昔はクリスマスに追従しようと頑張ったこともあった。 だいたい陰きゃとは卑怯なスタンスをとるものであって、たとえばハロウィーンの渋谷の…

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.3カラフルな文字で彩られたタイトルロールはわくわくさせた。切り替わりの速いカットで滑り出しがいい。とんとん拍子で進み気分もあがる。 が、じょじょにたわごと感が増していく。コメディなのはわかるけれど、笑いの質がアイロニカル。描写も狂騒的でエ…

LITをもういちど オン・ザ・ロック (2020年製作の映画)

3.2日本映画にはないが性愛や恋愛ではない男女関係は映画的だと思う。ソフィアコッポラもそう思っている。(と思う。) ぜったいに発展しない男女はとても軽やかだ。親密にならず、きらいにもならず、くっついたりはなれたりする展開からも解放されている男…

検索すると違うものが・・・ スワン・ソング (2021年製作の映画)

3.3未来の設定なら未来感をださなきゃいけない。よく見るのが虚空にあらわれるGUIでそれを手指で操作する表現。 ようするにスマホ画面が任意のばしょに出現しそこからto doするわけだが、それをもって未来ですからね──と言っている映画はとても多いので、わ…

妙味 偶然と想像 (2021年製作の映画)

3.5日本映画に「海外で大絶賛!」というキャッチコピーがあっても、具体性やプライズの内訳がないばあい、それはフォックスやワーナーやUIP(など)の海外映画部のアジア担当のバイヤーさんがとっても気に入ってくれた──ていどの話だと思われます。(憶測で…

ナポリの青春 The Hand of God (2021年製作の映画)

4.5マラドーナに夢中だったファビエット少年はPaolo Sorrentino監督自身の分身です。 『ソレンティーノは1970年にナポリのアレネーラ地区に生まれ、16歳のときに両親を失い孤児となる。』(Paolo Sorrentinoのwikiより) 『ソレンティーノの2021年の長編映画…

ピンキー PASSING -白い黒人- (2021年製作の映画)

3.3レベッカホールが監督をやったのは意外で刺激的だった。海外では俳優が監督業をやるのはよくあることだがネットフリックスで唐突に知ったこともあって「へえ、監督やるのか」という感じでちょっと驚いた。 それでインタビューをさがした。女優として好ま…

ばかでない正直者 オペラハット (1936年製作の映画)

5.0ディーズに人々が群がったのはかれが大金持ちになったからだが、つけこんだのは、無欲で正直だったからだ。ひとは、無欲すぎるひと、正直すぎるひとをばかだと思う。億万長者になってさえ、富者らしい驕慢がみえないなら、ばかに見えてしまう。ばかと見な…

♪名曲をテープにふきこんで ミックステープ 伝えられずにいたこと (2021年製作の映画)

3.3ビバリーは遺児でおばあさんに育てられている。見落としかもしれないが、両親をうしなった経緯が、えがかれていなかった。1999年の話だがレトロに主題はなく、父母がつくったミックステープをもとに、少女がじぶんのルーツをさぐろうとする。父母は生き急…

監督賞 パワー・オブ・ザ・ドッグ (2021年製作の映画)

3.4(批評家がまったく解っていないので概説しておきます。因みにわたしはじぶんだけが解っていると思っている勘違い男です。) 荒々しさを信条にしてる人っていませんか。 (たとえば)職場の厳しさを教えたい上司や先輩。仕事が厳しいのは正論だし、それを…

人生が好転する!? 天使のくれた時間 (2000年製作の映画)

4.0The Family Man(2000)は天使のくれた時間の邦題で日本では語り草の名画になっています。わたしもいい映画だと思います。(以下ネタバレがあります。) が、imdbは6.8をつけています。6.8は悪くない値ですが、日本では名画枠なので、もっと高い数値でも…

ニコラスケイジ主演の新感覚コメディ カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇 (2019年製作の映画)

3.0ニコラスケイジの出演歴を(imdbで)つらつらながめていたのだが、くるもの拒まずで、選んでない感じ。近年はPig(2021)が7点こえていたほかは、ほぼ凡作orローバジェット。その中には、わが「日本を代表する」映画監督のPrisoners of the Ghostland(20…

広大な DUNE/デューン 砂の惑星 (2020年製作の映画)

4.0とらえきれないほど広い映画。と同時に、世界観の奇想と、その奇に呑まれない完成度。リンチ版のときでさえ思ったがDuneは世の「映画化不可能と言われた」を笑い飛ばすことができる。 『6年間の調査と執筆の末、『デューン 砂の惑星』は1965年に完成した…

“おばか”とは何か タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら (2010年製作の映画)

3.7エンタメにはおばか枠という領域ががあり、映画でいえばエドウッドやトロマなど、低予算・B級と呼ばれる映画群で、概してアメリカ産の印象がつよい。(これはカナダ映画だけど。) もともと日本人は、アメリカ人にたいして、細かいことにこだわらず、おお…

“嗅ぎ分ける” ボーダー 二つの世界 (2018年製作の映画)

3.0ゆるめのニュース系ユーチューバーでよく見ている人がいるんだが、あるときかれが言うには、なんかモノを紹介しようとして、対象をカメラにちかづけると(カメラに近づけたとき手がアップになるので)手指についての見た目をコメントするやつがかならずい…

激やせ マシニスト (2004年製作の映画)

4.0だいたい40過ぎるとなんとなく気づくが「食べない」に勝る健康法はない。それまでずーっとなにがよくてなにがわるくて、ああだのこうだの、やってきたりしたが健康法でもダイエットでも「食べない」に勝るもんはない。 それに気づいちゃいるんだが、いろ…

全年齢向け ジャングル・クルーズ (2020年製作の映画)

3.3昔ヴェルナーヘルツォークを履修しようとしてそのたび挫折した。フィツカラルドを見て何年後かにカスパーハウザーを見てつぎはアギーレ神の怒りを見る番だったが、頓挫したままになっている。これをみて再び「アギーレ神の怒り見なきゃ」という気になった…

Be Boundless RUN/ラン (2020年製作の映画)

5.0なんびゃくと映画の感想を書いてきたので、じぶんなりの経験則があるのだが、作法のひとつ、としていることに「ものすごく面白かった映画はすぐにレビューを書かない」というのがある。(読者がいない素人レビュアーなので、作法とか言っちゃうのは、こっ…

運命の女(2002年製作の映画)

3.4ものごとには程度があって、たとえば不倫にしても、なんとなく許せるのと、えげつないやつ──があるが、こじんてきに不倫にたいして、世間様ほどには発憤しない。 ところで「ネットの声」は狭い見識ではなかろうか。いわゆる世間様と「ネットの声」はおな…

ハワイとは何か 50回目のファーストキス (2018年製作の映画)

3.5福田雄一はどちらかといえば放送作家/劇作家だ(と思う)が、映画監督にいたる来歴が、日本の大多数のいわゆる映画監督とはことなるので、日本映画の系譜につらなっていない。個人的に「日本映画の系譜につらなっていない」には価値と意義がある。 大洗~…

白人様が出てこない シャン・チー/テン・リングスの伝説 (2021年製作の映画)

4.0中国映画だったらシムリウとオークワフィナに文句は出ないが、マーベルスタジオの新作映画なので、濃厚な中華度に面食らった──の気配がレビュー全般にあらわれた。 結果、多くのレビューがふたりの容姿にふれていた。シムリウはおっさんとか言われている…

きほんてきにすべて東京&業界 ボクたちはみんな大人になれなかった (2021年製作の映画)

1.5 挫折というか平和すぎて挫折らしい挫折もできなかった。という話。深刻ぶってみるけれど、かれらが乗り越えなければならなかった壁は足下にあって、ひょいとまたげた。まして今とちがってバブルを生きた人たち。コロナもコンプライアンスもなかった。恋…

D.O.が演じる島の少年 純情 (2016年製作の映画)

3.0ニューシネマパラダイスのように、さいしょに現在の大人がでてきて、回想へ入っていく話。幼少期のサルヴァトーレを演じたSalvatore Cascioは壮年期のジャックペランにぜんぜん似ていなかった。が、ニューシネマパラダイスを見てそこを指摘するひとはいな…

監視者たち(2013年製作の映画)

5.0たびたび韓国映画に衝撃をうけてきた(いま思いつく限りだが)ペパーミント~オアシス春夏秋冬~子猫をお願いクムジャさん猟奇的な彼女甘い人生チェイサー哀しき獣復讐者に~オールドボーイグエムルオクジャパラサイト釜山行きはちどり・・・。韓国はエン…

リトル・シングス(2021年製作の映画)

2.8The Blind Side(2009年、邦題:しあわせの隠れ場所)やThe Founder(2016)やWalt Disney's Promise(2013)のJohn Lee Hancockが監督。デンゼル、ラミマレック、ジャレットレト──キャストも渋いので見た。 映画内の役をつうじてデンゼルワシントンを知…

マーサ、あるいはマーシー・メイ(2011年製作の映画)

3.6ことし(2021)のはじめタニアロバーツの訃報があったときミラクルマスターのワンシーンを思い出した。 外国映画では、野山やキャンプ地に湖池があったばあい、すっぱだかで泳ぐシーンが挿入される。──ことがあるが、タニアロバーツのは出色で、ミラクル…

商魂の産物 不都合な真実 (2006年製作の映画)

3.0(個人的に)地球は温暖化してない──と思っている。いちおう理由はある。(ばかっぽいので注意してください。)地球の歴史は46億年ある。人間の一生は100年。短命な人間から見ると地球は4,600万倍生きている。 100年しか生きられない人間、200万年しかな…

愛しのべス・クーパー(2009年製作の映画)

3.5映画をけなすことがよくある。 映画があり、映画批評があるなら、毀誉褒貶があるのはとうぜんだが、人様がいっしょうけんめいつくったものに、好き勝手なことを言っているじぶんは、ひきょう者だと、ときどき思ったりする。 匿名性に守られて、好き放題な…

あの夏 深呼吸の必要 (2004年製作の映画)

4.0おそらくだれもが、映画やドラマの出演者や配役をみて「なんでこのひとが」と疑問になる。ことがある(ひとがいる)にちがいない。 「なんでこのひとが」を身も蓋もなく具体的に言ってしまうと「なんでちっとも魅力のないかれ/かのじょが(またしても)こ…