津次郎

映画の感想+ブログ

クールかウォームか シムソンズ (2006年製作の映画)

4.0

2026年2月22日のニュースに『ミラノ・コルティナ五輪のカーリング男子決勝が21日(日本時間22日)に行われ、カナダが英国に9-6で勝利し、3大会ぶりに金メダルを獲得した。“不正投球”疑惑に揺れたなかでの栄冠に選手たちは歓喜したが、表彰式で見られた異様な光景に海外ファンからはブーイングが飛び交っている。』というのがあり、そこに笑顔で手をふっているカナダチームの両サイドで、ニコリともせず手を前で重ね項垂れているイギリスチームとスイスチームをとらえた写真が貼ってあった。象徴的な画像だった。

今回の冬季オリンピックで持ち上がったカーリングの一連の不正疑惑騒動を見ていて、やにわに映画シムソンズ(2006)のことを思い出した。
女子カーリングチームの成長を描く所謂ガールズ・スポ魂ドラマだが、実在するチームシムソンズがモデルになっている。
チームのコーチを大泉洋が演じており、かれはかつて常呂のカーリングチームに所属していたが、大事な試合でファールを自己申告したことからチームは敗北し、結果かれは常呂のカーリング仲間から、裏切り者扱いされていた。

この一介の漁師(本業は漁師で臨時でカーリングコーチをやっている)大宮平太(大泉洋の役名)はカーリングのなにを教えてくれただろう、と考えた。
それはおそらく誰に責められようと、どんなに不名誉であろうと、ファールをしたら自己申告しなければいけないというカーリングの紳士協定だったと思う。そんな心がまえのことを「スポーツマンシップ」と呼ぶのではなかったか。言いかえれば、スポーツマンシップとは、ファールを自己申告したことによって、メディアや観衆から非難されようと、仲間からバカ扱いされようと、たとえカーリング生命を絶たれようともスポーツのルールに従うことをなによりもたいせつにすることだ。
そのスポーツマンシップに照らして考えるならカナダに金はなかった。ビデオも画像も出ているのに、相手チームの抗議に対してFワードをつかって罵った。紳士のスポーツであるカーリング選手の風上にもおけない人たちではなかろうか。

個人的に映画シムソンズで大泉洋と藤井美菜を初めて見た。
大泉洋を知らなかったから、この人やけに大役だな~と思った。藤井美菜についてはこんなきれいな人はじめて見た、という感じだった。
加藤ローサも藤井美菜も星井七瀬も岩井堂聖子(高橋真唯)も映画の中でしっかりと輝いており、シムソンズにはがんばっていきまっしょいに似たカルト値があったと思う。

ホワイトエンジェルズというクールで強いチームの、クールなコーチ役として丸山智己が出ていて、大泉洋をいじめる謂わば憎まれ役だった。
映画シムソンズのポイントはクールとウォームの対比だった。
丸山智己はクールで、元ホワイトエンジェルズの藤井美菜もクールだった。対して大泉洋はウォームで、加藤ローサも星井七瀬も岩井堂聖子もウォームだった。やがて感化され藤井美菜もウォームになっていく。

ミラノコルティナオリンピック中、カーリングニュースのヤフコメ欄を見ると、みんなロコロコ言い通しだった。
クールなフォルティウスが負け越していたせいで、だれもかれもがロコソラーレのまったりとウォームな試合運びを求め、ほとんどコメントが両者を比較考量していた。
ロコソラーレのように、雑談みたいに戦略を交わしそだねーと相槌しながら試合をするのがいいのかわるいのかは分からないが、今回のオリンピックで多数の人々があのウォームな雰囲気を懐かしがっていたのは確かだった。

同じ対比が映画シムソンズのポイントになっていて、謂わばウォームを正義に見せることで映画は熱いスポ魂ドラマになっていた。
チームの雰囲気づくりは、それぞれのチームがやることであって、それがクールだろうとウォームだろうと、端が口出しすることじゃない。どちらが良い悪いという話でもない。
ただしシムソンズやミラノコルティナオリンピックではウォームのほうが良さげに見えた、という話である。