津次郎

映画の感想+ブログ

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アデュー(2019年製作の映画)

5.0動画配信サービスのなかには、ショートフィルムが交じっている。ことがある。 フルサイズの映画とショートフィルム。 その関係や位相について、よくわからないが、多くの映画監督が、その履歴のはじめに、ショートフィルムをつくっている。 小説における…

傷心からの再生 ラースと、その彼女 (2007年製作の映画)

3.6ラーズ(ライアンゴズリング)は信心深い好青年だが、人付き合いをしない。兄夫婦も町の人たちも気にしているが、心を開かない。 そんなあるときラーズの住む小屋に大きな荷物が届く。その晩、ラーズは兄夫婦に「女性」を紹介する。それは等身大のいわゆ…

君が描く光/ケチュンばあちゃん(2016年製作の映画)

3.3韓国にはひとえがスターダムを得る地盤がある。代表てきなのは、パラサイトのパクソダム、これのキムゴウン、演技派のハンイェリといったところ──かと思う。ぜんぜん見ないが、個人的な記憶のなかには子猫をお願いのオクチヨンがいる。長身で、いつもポケ…

0点 君と世界が終わる日に Season1 (2021年製作のドラマ)

1.0ツッコみたくても、ぜんぜんツッコまないのが、社会の美徳であると思う。 世の中、なにも言わないに、こしたことはない。 しかし、ロメロがナイトオブザリビングデッドを作ったのは1968年である。 今は2021年。 50年のあいだに、いくつものゾンビドラマ/…

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.3ショーンコネリーがカツラをかぶって一時的に復帰したネバーセイネバーアゲイン(1983)という007作品がある。 イオンの正規品じゃないが、わたしをふくめ、たいていのロートルは、ジェームズボンドといったらショーンコネリーでしょ──なので、ネバーセイ…

人狼(2018年製作の映画)

3.0原作は押井守のアニメーション人狼JIN-ROH(2000)。 かえりみて、この話は悲劇的宿命の主題がじつに韓国好みだった。 押井守のアニメを原作としているのに、むしろ韓国ノワールのように見えてしまう特質を持っていた。 この逆輸入に触れた結果、元のアニ…

思い、思われ、ふり、ふられ (2020年製作の映画)

1.5すきなユーチューバーができまして、なぜすきなのか考えてみたのですが、おそらくYouTube上の番組で見せる姿と、わたしたちが知らない彼らの日常に、あまり差がない──ということだと思ったのです。 もちろん、かれらの日常は知らないことなんで、はんぶん…

映画研究者の映画 リトル・チルドレン (2006年製作の映画)

3.0しばしばレビューで「よくある」を使うのだが、じっさい、どんだけ「よくある」のか、羅列しようとすると、それができない。 しろうとの感想だし、それでもいいが、よくあると言っておきながら、ひとつも思い浮かばないのはマズいとおもったりする。 いく…

reunionに期待 ラブ・アクチュアリー (2003年製作の映画)

5.0映画を愛するとは、けっこう、いいかげんな表現だと思います。 なにかのタイトル(映画、ドラマなど)を見て、救われたとか、立ち直ったとか、映画監督または俳優を志したとか、一念発起したとか──作品が人生の重大なきっかけになったことを、著名人が述…

魔女の地下王国からの脱出 サスペリア・テルザ 最後の魔女 (2007年製作の映画)

2.0イタリアのホラーの代表格というとダリオアルジェントだが、ダリオアルジェントに、感心したことがない。 サスペリアをリアルタイムではないが、たしか小または中学校のタイミングで見ているが、幼いわたしですら、なんじゃこりゃみたいな印象をもった。…

透明人間(2019年製作の映画)

4.5素人なりの感覚で、例証や包括的なことを言ったりすることがある。 たとえばアメリカのホラー映画でもっともHotな新鋭はAとBとCの三人の監督です。とか。Dは、もっとも嘱望されている映画監督のひとりである。とか。 そういった発言は、じぶんの僅かな映…

ありふれた奇跡(2009年製作のドラマ)

5.0翔太(加瀬亮)の実家が、左官屋で男所帯でした。父が風間杜夫、祖父が井川比佐志です。 家にいるとき、なにかの拍子に翔太が「あ~」と言います。炒め物をつくっている時なんかにやります。目を固く閉じて、仰向きながら言います。この「あ」には濁点が…

顔でホラーを表現 ヘレディタリー/継承 (2018年製作の映画)

4.5アリアスターは、よくわからない。すごい映画だと感心し、圧倒されるが、なんでこうなるのかが、わからない。 『(~中略)ところで、シオドア・スタージョンはよくわからない作家だ。話そのものはよくわかる。文体が凝っているということでもない。結局…

私というパズル(2020年製作の映画)

3.5個人的には、出産シーンに露悪を感じた。赤裸々な描写が、見る者を釣っている──ように感じてしまった。妊婦の絶叫って、すごく効果的なアイキャッチになる──と思いませんか?出産と死に目って、抗えませんよね? 出産はたいへんなことにちがいない。その…

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.0映画に喫煙の描写がある、ことがある。 わたしはいまは(やっと)やめられたが、それまで四半世紀におよんで、ヘビースモーカーだったので、ひとの喫煙にたいして、大らかである。 だが現代社会、喫煙者は、肩身が狭い。 まだ、喫煙していたころ、都市へ…

韓国版 カンナさん大成功です! (2006年製作の映画)

3.5原作のことは知らない。また日本版の映画もあるが、見たことがない。カンナさん大成功です!と言ったばあい、おそらくこの韓国版の映画がもっともポピュラーではないかと思われる。 ストリーミングサービス=Netflixもあり、日常的に韓国のエンターテイン…

コロンバス(2017年製作の映画)

5.0imdbを見たのだが、Kogonadaなる監督の履歴には、映画研究のショートフィルムがずらりとならんでいた。 巨匠の名前がタイトルのいちぶになっているから、わかりやすいのだが、ozuというのがあった。さらに、KubrickもBresson もHitchcockもAronofskyもWes…

優しさとホスピタリティ パブリック 図書館の奇跡 (2018年製作の映画)

3.5エミリオエステベスというとブレックファーストクラブのいんしょうがずっとある。レポマンの若い彼も、うっすら記憶はある。カルトとして紹介されていたのをVHSで見たのだが、どんな映画だったかよくおぼえていない。ただSaturday Night Live!Monday Nig…

Sweet Home -俺と世界の絶望-(2020年製作のドラマ)

4.0ひとことで言うとずっと一緒に戦ってきた者が死ぬことの恐怖と悲しみが主役。 ここで繰り広げられているポストアポカリプスorディストピアが、とても新しい、わけではないし、市民(非戦闘員)の闘争が描かれているだけで、ストーリーに起伏があるわけで…

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

2.7サタデーナイトライブの動画等でクリスティンウィグが演じる、やりすぎな人物像を、見る。楽しい。この映画内のバーバラ=クリスティンウィグを見ると、あれを、いくらかソフトにやると、リアルな人物像になることが、よくわかる。 初段階の、おどおどし…

続編の法則に埋もれる 新感染半島 ファイナル・ステージ (2020年製作の映画)

2.7釜山行きの続編だが、舞台となるのは感染者だらけの廃都市である。前段で、そこへ行くことになる経緯を描き、主人公(カンドンウォン)がやってくる。 『ヨン・サンホ監督によると、『ランド・オブ・ザ・デッド』、『ザ・ロード』、『マッドマックス』、…

後出しジャンケン コンフィデンスマンJP プリンセス編 (2020年製作の映画)

3.5映画はざっくり、ブロックバスター型とアートハウス型に二分される。と思う。この映画を見ながら、ふと、日本映画のブロックバスターな娯楽作って、なんか少ないな──と思ってしまった。 わたしの、個人的感慨なだけ──かもしれないが、近年、日本映画って…