津次郎

映画の感想+ブログ

映画研究者の映画 リトル・チルドレン (2006年製作の映画)

リトル・チルドレン(字幕版)

3.0
しばしばレビューで「よくある」を使うのだが、じっさい、どんだけ「よくある」のか、羅列しようとすると、それができない。

しろうとの感想だし、それでもいいが、よくあると言っておきながら、ひとつも思い浮かばないのはマズいとおもったりする。

いくつか例証しようとして、一個だけというのもマズい気がする。

なにしろ「よくある」と言っているわけなので、よくあるなら、幾つか挙げて見せろよと、じぶんでじぶんに思うわけである。

映画をみて「よくあるタイプだな」と思うことは多い。

しかし、その類型、前例、原点、手本、元祖などを、挙げられない。
映画研究者じゃないから、それでもいいが「よくある」と思うならば、せめて三個ほどの類似品を挙げたい──と思う。

それでなければ「よくある」と言うんじゃねえよ、とじぶんでじぶんに思う。

しかし「よくある」と思うことは多い。
しかし「よくある」と言っておきながら、挙げられないとき、じぶんのいい加減さを感じてしまう。
だからなんとか、三個はいきたいと思っている。
箇条や羅列や引例のとき、三個ないと情けない。と個人的に思う。むろんできないときもあるが。

よくある映画だと思った。のだが、これはめずらしく比較的楽に三個(以上)羅列できた。
サムメンデスのアメリカンビューティー(1999)。
ポールトーマスアンダーソンのマグノリア(1999)。
ポールハギスのクラッシュ(2005)。
──に似ている。時間をかければもっと挙げられると思う。因みにぜんぶ嫌いな映画だった。

群像劇ではないが連鎖的に人間模様が描かれる。
まず主軸となる家族または夫婦がいる。
かれらが、誰か・何かに遭うかたちで、その相手の人間模様が描かれる。

この映画もオスカーで脚本賞にノミネートされ、高い評価を受けているし、例で挙げた三作は、世評としてすべて傑作になっている。

ただし、個人的に、もっとも苦手とするタイプの映画である。
おそらく、すいすいと羅列ができたのは、世間の高い評価に対して、自分は低い評価をした、その希少性のある映画だからだろう。

わたしは、けっこう偏屈なことも言うが、自評が、世評と違うことはあまりない。tomatoesやimdb等で高評価がついていれば、そのとおりだと感じることが多い。(日本映画は除くがw)

だが、本作も含めてこの4件(マグノリアはけっこう好きだが)は、感心しなかった。映画の実力がわからないわけではない。それが高評価になる理屈はわかる。だけど好きになれなかった映画だった。

人間模様という言い方があるが、人道的な訴求をしているのだが、掘り下げず触っているだけな感じがある。皮相なヒューマニズム。

Little Childrenに関して言えば長いこと。キャラクターが好きになれないこと。偶発的なだけで解決や改心はないこと。Kate Winsletが無駄に全裸なこと。など。

この手が苦手なのはじぶんのこどもっぽさに所以している──と思ったりもする。これも引例もかんぜんに大人向けの映画だ。