津次郎

映画の感想+ブログ

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ガンドルフィーニの遺作 クライム・ヒート (2014年製作の映画)

5.0映画を見ていると、登場人物の行動又は言動と、自分の願望や理想や希望的観測との間に差を感じることが、あります。 それが重なると、差がどんどん開いていきます。開きすぎると、鑑賞をやめることもあります。 あまり差が開かないのが好きな映画だと思い…

ジュブナイル、頭の中編 インサイド・ヘッド (2015年製作の映画)

5.0Pollyannaというアメリカの児童向け小説がある。大昔「少女パレアナ」という村岡花子訳の文庫を読んだことがあるが、日本では世界名作劇場のアニメ作品「愛少女ポリアンナ物語」として知られている。 Pollyannaは、本作で言うと、ライリーではなくヨロコ…

さわやかな悲劇 ぼくとアールと彼女のさよなら (2015年製作の映画)

5.0少女が死んでいく、となれば、悲しいけれど、人間なんだから、悲しさの表現には、いろいろある。という映画。 グレッグと、幼馴染みアール、癌で露命となったレイチェルの、お話。全編に、グレッグとアールが趣味で製作するショートムービーが出てくる。…

夢とその儚さ ラ・ラ・ランド (2016年製作の映画)

5.0それはふつう舞台でやるから、ミュージカルというものは中産階級以上の都市生活者が観る──ものだと思う。 わたしは舞台を観たことがない。舞台を誰が観るのか、知らない。映画は好きだから、主要古典ミュージカルはおさえている、と思う。オズやサンドオ…

懐かしい80年代の思い出と英米ロック・ポップの魅力 シング・ストリート 未来へのうた (2016年製作の映画)

5.080年代、ヒット曲は何週も連続した。見慣れてしまったプロモーションビデオが、これでもかというくらいローテされていた。テレビを点ければ、ウッドベースをつま弾きながらスティングがEvery Breath You Takeと歌っていた。ジョージマイケルがケアレスウ…

スカトロジーと人種差別を立体化するための繋ぎ合わせ ムカデ人間 (2009年製作の映画)

2.8残虐描写には耐性が高いのだがパスカルロジェのマーターズとこれは長らくトラウマが抜けなかった。しかしYouTubeにあったTheHumanCentipedeのキャストインタビューを見て、完全に呑み込むことができた。 インタビューは三連につながる白人女性二人と日本…

さながらお気に入りのMVのロングVer. はじまりのうた (2013年製作の映画)

5.0NYのクラブで、グレタ(キーラナイトレイ)の演奏を、ダン(マークラファロ)が偶然耳にするのが、この映画で、いちばん魅力的なシーンでした。 グレタは男にフラれたばかり。意欲もプライドもボロボロ。ミュージシャンとしての前途も白紙。ルームメイト…

意図していなかった不条理 モンスターズ/新種襲来 (2014年製作の映画)

1.0ゴジラ(2014)のギャレスエドワーズが2010年にMonsters を監督している。邦題はモンスターズ/地球外生命体。話はほとんどつながっていないが、エドワーズがこの映画の製作総指揮にいるので、いちおうMonstersの続編といえる。Monstersの特徴は、巨大モン…

熱い物語性 祭りの準備 (1975年製作の映画)

5.0MeTooは世の潮流だが、若い対等な男女間には、セクハラが成立しない。発端となったワインスタインしかり。いま(2020)フランスで拡がるポランスキーの件もそうだ。その行為を首謀するのは権勢や年長である。 監督と女優。上司と部下、首長と市民、警察官…

真面目さと粘り強さ 午後8時の訪問者 (2016年製作の映画)

5.0海外の報道でPortrait de la jeune fille en feu(2019)が絶賛されている。英語タイトルがPortrait of a Lady on Fireとなっている。rottentomatoesが98%、imdbが8.2。いちばん見たい映画だが、順当にこっちへ来てくれるか解らない。 フランスのアカデミ…

秋天的童話 誰かがあなたを愛してる (1987年製作の映画)

5.0見かけなくなった有名人が、いまどうしてるか、知りたくなることがある。エイリアン2に出演しリプリーに守られる少女を演じたCarrie Hennは後に教師になった。なおサインをせがまれることがあるとwikiに書かれていた。 とても印象的な作品のなかにいて、…

胸にせまる慟哭 なごり雪 (2002年製作の映画)

5.0地方人の感慨として、東京へ出た同期が、まぶしい──というのがある。男は栄進し、女はきれいになる。知らない人であれば、きれいとは思わないかもしれない。でも、知っている人だと──都会へ出て、洗練に浴して、変わった=きれいになったと、すごく感じる…

育ちの良し悪しがもたらす陰陽 サラブレッド (2017年製作の映画)

5.0サラブレッドとは血統です。一般庶民の感慨として、世の中には、通らなければならない労苦をさらりとかわして、富や名声を得ている──と思える人がいます。もちろん、じっさいには、そんなことは解りません。ひとかたならぬ努力を隠しているかもしれません…

触手は邦題です 触手 (2016年製作の映画)

3.380年代に日本で触手というエロジャンルが発明された。輸出されるとTentacleとなって浸透し、hentaiカテゴリの一枠を確立した。触手はもともと宇宙企画や前田俊夫のアニメだったが、AVへ移行すると実写版になった。 ただし、実写になってしまうと、とうぜ…

演者に興味なければ悲惨 RE:BORN (2015年製作の映画)

1.0カラダをはったアクションシーンという言い方があります。 さいしょから勘違いしているのですが、カラダを鍛えて訓練し、すごいアクションシーンを撮ることは、映画のダイナミズムに直結しません。 映画の根本技術はカラダをはらなくても、躍動的なアクシ…

封建的ではない珍しい戦争映画 この世界の片隅に (2016年製作の映画)

4.0女性主人公の戦争映画なので気が滅入るのを想像していた。貧しく、つましく、境遇に虐げられ、大切なひとが亡くなって、かわいそうで・・・それらを想像していた。 が、悲哀はあるけれど、ユーモアがある。日本の戦争映画で、脱力と滑稽さと自嘲のパーソ…

あきれるほどの情報量 シン・ゴジラ (2016年製作の映画)

4.1ゴジラの歴史を知りません。またエヴァンゲリオンのことはぜんぜん知りません。 初動に、現実に怪獣が現れたらどうなるかという制作意図があるはずだと思った。現実に怪獣があらわれた場合の官邸の行動が、呆れ返るほど子細に表現されている。それゆえ、…

やれば文芸になるのか 火口のふたり (2019年製作の映画)

1.0白石一文の作品としてでなく、荒井晴彦の作品として、感想を述べています。日本映画界の重鎮がポルノ出身者であることに気づくことがあります。素人なので網羅性はありませんが、若松孝二、瀬々敬久、石井隆、荒井晴彦。 もともとポルノを撮っていたひと…

のんが監督することに価値 おちをつけなんせ (2019年製作の映画)

1.2昔、テレビで、つんくがモーニング娘。の本舞台までの、練習風景、葛藤、競争心などをドキュメントして、それが共感や親近感を呼び、アイドル演出の定番の方法論となったように、この映画=本舞台も、製作の過程映像EP1~EP10がなく、のんのファンでもな…

面白い映画という黒澤明の発明品 用心棒 (1961年製作の映画)

5.0いまは黒澤明をオンデマンド各所で見ることができる。 80代の父が、パラサイトを見た。感心したと話したが、好きな映画ではなかったようだ。前後して、黒澤明を見て、昔の映画っていいな、やっぱり三船敏郎はいい役者だな、かっこいいんだよ、と話した。 …

掘り出し物 狼チャイルド (2017年製作の映画)

4.0演出も撮影も俳優も巧い。国籍とホラーな邦題にあなどって見たら、完全に予想を外れた。長い映画で、二部構成とも言える。前半はまるでアブデラティフケシシュのように官能的で、後半はジョンランディスの楽しさがあった。総じて長すぎるものの、センスが…

FOLLOWERS(2020年製作のドラマ)

1.0蜷川実花の写真を見たことがある。花を極彩にコラージュした写真でどれもそんな感じ。商業写真だと言われたら安心だが芸術だと言われたら困る。 ドラマはエキセントリックな人物像を気取っていて、生きている気配がない。じっさいにこんな人たちは存在し…