津次郎

映画の感想+ブログ

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

強欲と復讐 ブラッド・アンド・ゴールド ~黄金の血戦場~ (2023年製作の映画)

2.8 SS親衛隊と脱走兵と農家の娘が金塊のからむ西部劇風な復讐劇をくりひろげます。タイトルどおり血糊も多く、ひともばんばんしにます。非英語圏のNetflix作品らしい過剰さでした。 導入は(大げさに言うと)イングロリアスバスターズのようにひきつけます…

ふしぎな津軽そば 津軽百年食堂 (2011年製作の映画)

3.3 そばといえばどこですか。 そばは食道楽にとって定義されやすい食べ物です。 そば通の数だけ一家言があるでしょう。 それゆえ見識を述べると「ちがうぞ、なに言ってやがるんだ」とおこられてしまうかもしれませんが、個人的な認識ではそばは戸隠だろうと…

スピルバーグのつくりかた フェイブルマンズ (2022年製作の映画)

4.0 スピルバーグ自身が描く、いわば“スピルバーグのつくりかた”。 原案はスピルバーグの妹のアンスピルバーグによって書かれたもので2000年よりも以前から構想されていたそうだ。ただし逸話には両親に対する批判的な視点が含まれていたため、それによって両…

Devoured 貪る。 (2012年製作の映画)

3.0 vodで見つけたローバジェット映画。 マシニストのような妄想落ちホラー映画。 ローデス(Marta Milans)はエルサルバドルから米国へきた移民。難病にかかっている息子の治療代をかせぐためレストランで雑用係として働いている。が、サディスティックな女…

いい人 オットーという男 (2022年製作の映画)

3.9 トムハンクス出演作がほとんど高クオリティ作品なのはどういう仕組みなんだろうか。自身のマネジメントによって常にいい作品へ出るようがんばっているにしてもすごい打率だと思う。 たとえばジュリアロバーツのお兄さんのエリックロバーツはすべてB~Z級…

お父さんきつねががんばる ファンタスティック Mr.FOX (2009年製作の映画)

3.5 今(2023/05)TikTokでWesAndersonインスパイアの動画が頻りにでてくる。 パターンがあって、シンメトリカルな(シンメトリカルでなくてもいいがバランスのとれた)背景で人を直立させたり横移動させたりする。過発色させて画を暖色方向へVividにするこ…

郷愁 おばあちゃんの家 (2002年製作の映画)

4.0 韓国では強い創作動機がキャリアをこえて映画を高品質にすることがある。たとえば子猫をお願いやおばあちゃんの家やはちどり。女性で寡作で初監督で、もう撮らないかもしれないが記憶に残っている。 日本では「映画監督になりたい」が動機なのでパッショ…

つづくってよ キングダム2 遥かなる大地へ (2022年製作の映画)

2.0 登場人物の名前に中国史的見地から監修された情趣がない。三国志が好きな中学生がつけたような、当て字とそれっぽい響きの名前になっており、主役格はさらに呼びやすく簡素化されている。 三国志といっても吉川英治のではなくコーエーの三国志で、中学生…

等身大 少女は卒業しない (2023年製作の映画)

3.5 答辞を結びにしているが、それぞれの卒業模様を等価に描いていく。いずれも過不足のない共感しやすい話で、JKに必要以上の価値を与えていないのはよかった。(日本映画ではJKに必要以上の価値を与えてシンボライズしようとすることがよくある。少女や卒…

さわやか 浅田家! (2020年製作の映画)

3.8 湯を沸かす~をけなしたので恥ずかしいが良かった。じめじめしないし弁解がましくない。一貫して陽性で、その陽性ムードを二宮和也が下支えしていた。震災も涙腺素材として扱っていなかったし、愁嘆しても爽やかな二宮和也がどんよりへ落ちるのを跳ね返…

なんかありそうだけど ある男 (2022年製作の映画)

2.8 原作は読んでいないので映画としての印象になるが、石川慶とプロモーション用の装丁から愚行録や吉田修一や李相日のようなものを予測&期待して見た。が、登場人物が入り乱れ、追えなくなっていく。リアルなタッチだが話や人物はメルヘン。罪悪感と在日…

孤独な戦い あのこと (2021年製作の映画)

3.8 1950年代のフランス。妊娠した女学生が堕胎のために奔走する様子がたんたんと描かれる。 当時中絶が重罪だったことで医者から見放され、アンヌ(Anamaria Vartolomei)は誰にも打ち明けず、ひとりで向き合って苦しみぬく。その意味で、17歳の瞳に映る世…

半ドラマ半ドキュメンタリー アメリカン・アニマルズ (2018年製作の映画)

3.6 先日(2023/05/08)、白昼の銀座で高級腕時計強盗があった。実行犯はアノニマスのお面をかぶった高校生を含む10代4、5人。すぐ捕まったが盗品は黒幕に渡った後だった。状況から見てかれらは捨て駒で、さしあたっての目標は達成された模様。 闇バイトを勧…

甘党ツー スイート・トゥース:鹿の角を持つ少年 シーズン2 (2023年製作のドラマ)

3.4 悪戦苦闘にもたれる。こんなに戦わなくていい。ただガスとビックマンとベアとウェンディで、アポカリプス後の荒野を、まったり旅してくれるだけでよかった。 このシリーズはいい顔に支えられている。Nonso Anozie、Christian Convery、Stefania LaVie Ow…

人生賛歌 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス (2022年製作の映画)

4.3 なんの取り柄もないエヴリン。つぶれかけたコインランドリーを経営する華僑。 そんな彼女のところへ並行世界の優位次元から使者がやってくる。使者は唐突にあなたこそユニバースの救世主だと説いて戦いがはじまる。 スパイダーマンノーウェイホームみた…

妙な哀愁 ディック・ロングはなぜ死んだのか? (2019年製作の映画)

3.5 とある事件をファーゴ風に語っていく。 あきらかにおかしいのに、つくっている人も演じている人も笑わず笑わせようともしない──を徹底すると、コメディになりえる。たとえばジャームッシュやジャーヴェイスのThe Officeみたいな感じ。 ポイントは「笑わ…