津次郎

映画の感想+ブログ

甘党ツー スイート・トゥース:鹿の角を持つ少年 シーズン2 (2023年製作のドラマ)

スイート・トゥース:鹿の角を持つ少年 シーズン2

3.4

悪戦苦闘にもたれる。
こんなに戦わなくていい。
ただガスとビックマンとベアとウェンディで、アポカリプス後の荒野を、まったり旅してくれるだけでよかった。

このシリーズはいい顔に支えられている。
Nonso Anozie、Christian Convery、Stefania LaVie Owen。
(七福神の)布袋尊みたいなビックマン、垂れ目で鹿角の美少年ガス、魅惑のそばかすベア、やみくもに羨望をかきたてるいい顔ぞろい。かれらがダラダラと雑談をしながら、森林をてくてく歩いていくだけで、楽しい絵になるのは間違いなかった。

だから憎悪とアクションとメロドラマを盛り込んだ方向性に気疲れした。
ガスやビックマンが酷い目に遭うのは胸が痛かったし胃ももたれた。
──と感じるのもキャラクターへの感情移入があるからだろう。
この上なく魅力的な登場人物たちだと思う。

──

ドラマや映画にアポカリプス世界が氾濫したこんにちではアポカリプス世界は楽しい場所に他ならない。

誰もいない街。
スーパーマーケットでモノを漁って、どこでも自由に出入りして。
どのみち世界は終わっちまったんだから、のんびり生きればいい。

このとき生き残った者に凸凹を付与すると映える。
ラストオブアスのペドロパスカルとベララムジーみたいに。

ガスとビックマンはもっと映えた。
ふたりが並んで歩いているだけでほんわかした気分になった。
この安堵感は、Tiktokなどで大きめの犬とちっちゃい子供が仲睦まじくやっている動画に感じる安堵感に似ている。

ビックマンがガスをからかっているところへベアがちょいちょい茶茶を入れる──という構図だけで何話でも乗り越えられる気がした。

そうは言っても続き物のセオリーにおいて2は1よりも過激でなくてはならない。
だから話が進むほどにそれぞれの運命が狭窄していくのは仕方がないのだろう。
3ではさらに強大な敵に遭遇するのだろうか・・・。
望むらくはスピンオフまで遷延し、ただたんにビックマンとガスとベアで珍道中やってほしいかな。

あと衣装賞だと思う。キャラクターをつかんだ被服とダメージの表現力につくづく感心した。