津次郎

映画の感想+ブログ

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

むしろホラー イニシェリン島の精霊 (2022年製作の映画)

4.3 (部分ネタバレ) 民話の宝庫アイルランド。想像力が豊かなケルト人。マーティンマクドナー監督の映画を見るとそれが納得できる。 劇作家だったが映画業へ乗り出すと寡作ながら高品質で注目されスリービルボードで時の人になった。不条理なブラックユー…

おおらかすぎる フロッキング (2015年製作の映画)

3.3 14歳の少女がレイプされたと告白するのに誰にも信じてもらえないばかりか村八分に遭いすべてを失う──という話。 トマス・ヴィンターベア監督、マッツ・ミケルセン主演で偽りなき者という映画があった。性虐待の嫌疑をかけられた主人公が村八分に遭いすべ…

格好悪いふられ方 モテキ (2011年製作の映画)

3.5 昔、大江千里をださいなあと思っていた。洋楽に傾倒していたから余計にそう思っていた。十人十色という曲があってサビが思いっきり十人十色なんだわ。大江千里といえば巻き舌(HOUNDDOGの大友康平みたいなやつ)とは違い日本語をはっきりくっきり、大口…

超ヘビーな泥仕合 離婚弁護士シン・ソンハン (2023年製作のドラマ)

4.0 扱う離婚ケースがひとつひとつ重すぎてすごいストレスです。わら シンソンハンは垂涎のオーディオシステムをもってますが聞くのはトロットです。じぶんとしてはこれはあるあるで(たとえば)金持ちの叔父が居間に超高額な輸入オーディオを保有しているの…

むしろメルヘン 山の焚火 (1985年製作の映画)

3.7 むかしのじぶんにとって山の焚火はパゾリーニのアポロンの地獄を見るのと同じだった。禁忌を描写しちゃっているぞという扇情的な触れ込みが若いわたしのあたまの中ですごい絵にふくらんでいた。しかし思えば若い頃エロを期待して見たものがエロだったこ…

ドラマのドヨン イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜 (2023年製作のドラマ)

4.0 陰謀論が好きな友人がよくする話題に3S政策というのがあった。民衆をスクリーンとセックスとスポーツに夢中にさせて公への反抗心を削ぐというもので、今の日本における韓国エンタメに似ている。 婦や工の話題を聞いてもまた韓国かと思うだけで特別な怒り…

大時代 ウェディング・プランナー (2001年製作の映画)

2.6 昭和の結婚式はほとんどが神式だったが教会式が輸入されると瞬く間に定着した。非キリスト教徒にもかかわらずチャペル式が定番化したのは花嫁の憧憬を具体化していたからだ。教会を備えた結婚式場が乱立しオルガン奏者や英語なまりを操る白人役者ににわ…

うっせえわ 魔法少女まどか☆マギカ (2011年製作のアニメ)

1.0 お好きな方は読まないで下さい。メジャーどころの映画は見ますが基本アニメを見ない人です。 魔法少女まどか☆マギカは有名なのでタイトル及び評価が高いこと鬱アニメとか胸糞アニメなどと呼ばれていることは知っていました。が、見たのははじめて。 言う…

ボーイソプラノ 太陽の帝国 (1987年製作の映画)

5.0 スピルバーグでどれがいいと言えば個人的には一番がプライベートライアンで二番がこれ。世評とは異なるかもしれないが、じぶんの思い出としてこの二作品は大きい。 当時、若いわたしは太陽の帝国を見て凄く感動したのだが、世評はそれほどでもなかった。…

疑心暗鬼 BODIES BODIES BODIES/ ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ (2022年製作の映画)

3.4 人の惚れた腫れたをのぞき見するリアリティー番組は通俗の見本のような世界だ。よってそんなものが好きなのは卑しさのあらわれにちがいない──そう考えて例のリアリティー番組が好きなことは黙っていた。が、毎回欠かさず山チャンネルまで見ていた。 映画…

ゆるいコンプラ キューティ・バニー (2008年製作の映画)

2.7 ロストイントランスレーション(LIT)がお気にで20年の間たびたび見るのだがLITのアンナファリスの楽しさは多くの映画ファンにご同意いただけると思う。映画のプロモーションで日本に来ているB級感の甚だしい俳優で、パリピまるだしな雰囲気でシーンをか…

ごっことささやき 秘密の森の、その向こう (2021年製作の映画)

3.6 オタキング氏の発言だが「映画は面白いかどうかを見るものであって、これをわかるかどうかって言い出すとアート系になっちゃうんですね。で、わかるかどうかで言い出すとすっごい作り手は楽なんですよ。」というのがある。 これは園子温を語る回から出て…

あんがい拍子抜け ほの蒼き瞳 (2022年製作の映画)

3.0 前作Antlersは好きでした。が、スコットクーパーは手堅いけれど生真面目すぎます。概して“優等生で食い足りない”という印象があります。この映画The Pale Blue Eyeもまさにそうでした。興味深い原作で、お金をかけ役者もそろえロバートデュバルまで引っ…

ローカルな気配 旅立ちの島唄 ~十五の春~ (2013年製作の映画)

3.5 YouTubeの登録が130くらいあるんだがそのなかに是枝三姉妹がいる。沖縄音楽のトリオで更新頻度は低いけれど上手だしピュアな感じがいい。おそらく沖縄には夏川りみや上間綾乃やネーネーズやKiroroややなわらばーのような、あるいはそこまでの知名度では…

ぎゅっとなる きみの友だち (2008年製作の映画)

3.5 むかし見たんだけど、よく覚えている。石橋杏奈はしとやかで、北浦愛が素朴で、吉高由里子は真新しかった。柄本時生はすでに持ち味があって、みんな瑞々しかった。フレッシュなのに石橋杏奈にはすでに巧さと達観があった。 廣木隆一はすきじゃないがこれ…