津次郎

映画の感想+ブログ

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

俳優を声優にする もののけ姫 (1997年製作の映画)

5.0昔もののけ姫のメイキングを見たことがあります。今もたぶんネットにあると思います。そこにレコーディングの様子がかなり詳しく撮ってあります。宮崎駿が配役者にいろいろ注文をつけながら声を吹き込む、とても興味深い映像です。おそらくご覧になった方…

怖くなるほどむかつくくんちゃん 未来のミライ (2018年製作の映画)

2.5くんちゃんは、おそらく普通の子です。が、だんだん彼のわがままに嫌気がさしてきます。 かれのわがままの原因は、新しく家庭の一員となった赤ん坊に母父が付きっきりになったことにたいするジェラシーです。 しかし、弟または妹に、兄または姉が嫉妬する…

故郷を愛する者の世界観 レディ・バード (2017年製作の映画)

3.8この映画の骨子は母親への愛情と郷愁だと思います。母子の基調となる物語はガラスの動物園や蜜の味などに通じる普遍性がありました。いわば、いつの時代にもあった、思春期から大人への成長のドラマです。グザヴィエドランの描く母親にも重なります。ただ…

3作目の3作目的運命 ピッチ・パーフェクト ラストステージ (2017年製作の映画)

3.0マイレージマイライフで初めてアナケンドリックを見たとき、とても新鮮でした。はっきりした目鼻立ち、利発で聡明で、純白で、庇いたくなる小ささ。役柄も手伝ってフレッシュさに好感をもったのです。CupsのPVも素敵でした。女優に留まらない非凡な才能を…

いちど疑われたらお終い 偽りなき者 (2012年製作の映画)

4.5ウディアレンの最盛期、ハンナとその姉妹あたりまでは、オシャレな映画監督の代表格で、文化人がよくその魅力を語っていたものです。 私は昔からウディアレンが苦手で、映画そのものにも感興できませんでしたが、とりわけ映画にまとわりつく山の手なスノ…

身体も雰囲気も重いホアキン ビューティフル・デイ (2017年製作の映画)

4.0ジョーはトラウマを負っています。そのフラッシュバックが、いつの何であるか、明確に描写されませんが、子供のころ体験した親からの虐待だということは、なんとなく解ります。そのカットシーンが効果的なので、ジョーの暗さと身を置く世界の闇が、すんな…

いじめっ子の贖罪を描く 映画 聲の形 (2016年製作の映画)

4.2私はアニメを好んで見ることがなく、せいぜい宮崎駿や新海誠を見るくらいです。ゆえに、まずテレビでは観ませんので、観るとすれば「映画」という単位です。京都アニメーションを覚えていたのは、これを観たからでした。 自分がゆるせない主人公石田くん…

瞠目のアイデアと完成度 search/サーチ (2018年製作の映画)

4.5PC画面だけで構成されるスリラーのUnfriended(2014)はCyberbullyの復讐劇としてヒットし、新しい手法のPOVとしても受け容れられました。PC画面とはいえスカイプのようなビデオ通話が常時つながっていて、つねに1人~マルチな通話者の顔を見ることができ…

見ごたえのある双頭 検察側の罪人 (2018年製作の映画)

4.4原田監督の映画は情報量が多いです。すなわち登場人物の言動/行動が速くて頻りなのです。ときに同時多発も起こります。加えて全員が饒舌なうえ、ダイナミックレンジが広いため、セリフを聞き逃すことがあります。さらに、回さないで寸断する編集が、目ま…

えせなジェンダー問題提起 彼らが本気で編むときは、 (2017年製作の映画)

1.0映画のなかの世界は現実よりもリンコやLGBTに対して無理解です。とうぜん、観衆のシンパシーを稼ぐためにそうなっているわけですが、それがあまり巧くないので白々しいです。 映画の世間には好ましい人たちと恐ろしい人たちがいて、勧善懲悪のように単純…

なにがしたいのやら 殺人鬼を飼う女 (2019年製作の映画)

1.5スクリーンに宿る黒が独特です。屋内でも屋外でも、鬱蒼として禍々しさを秘めた黒が置かれます。それは監督のどの映画にも有り、雰囲気のある好ましい黒ですが、いつもながら演出はいまひとつでした。濡れ場も退屈です。このエロが誰を感興させられるのか…

アルジェントのとは別物 サスペリア (2018年製作の映画)

4.0概ね40から上の人たちはサスペリアのテレビコマーシャルをおぼえているはずです。 「決してひとりでは見ないで下さい」 とても有名になったコピーです。むろん現在、ダリオアルジェントの映画を見ても、怖くはありません。独自のスタイル/美学はあります…

あっけらかん バスターのバラード (2018年製作の映画)

4.0「あっけらかん」という日本語の意味を調べてみたら、次のように書かれていました。 『常識的、道徳的に考えれば当然あるはずの屈託、ためらい、恥じらいといった感情がなく、平然としているさまを表わす語。』 この映画にピッタリくる言葉です。 どの章…

異世界と非恋愛 ロスト・イン・トランスレーション (2003年製作の映画)

5.0テラスハウスTokyo2019-2020は疲れずに見ていられます。駆け引きはありますが許容範囲内なので安心できるのです。なんとなく人選に省察が感じられます。過去回でスゴい子が紛れ込んでしまったので、選り出しにチェック機能を設けた──ような気がします。若…

居場所を探し痛みを知る エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ (2018年製作の映画)

5.0「いじましい」とは「取り越し苦労」の意味もありますが「みっともない」の意味もあります。むしろ、みっともないの意味のほうが強いと思います。たとえば私はFlimarksにレビューを書きますが、ときどき手直しすることがあります。これは、おもわずエッチ…