津次郎

映画の感想+ブログ

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

家族への憧憬 ベイビー・ブローカー (2022年製作の映画)

4.0 とても見たかった。 ゆるいしあまい。リアリティは置いてメルヘンをとりにいった感じ。 登場人物全員の素性がふわふわしている。生活の気配がない。ふたりの刑事なんか、ほとんど買い食いしているだけw。 でもいい。絵がとてもキマる。どのカットも是枝…

父ウィルスミス ドリームプラン (2021年製作の映画)

4.0アカデミー賞でウィルスミスがクリスロックをビンタした件で、クリスロック支持の米に対し日本人はウィルスミス支持が多数派だった。 日本ではウィルスミスの行動に、か弱い女を守った男らしさ──男気を感じた人が多かったからだ。 ひろゆきがこの現象を解…

Strange meets Evil Dead ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス (2022年製作の映画)

3.7スカーレットウィッチつええ。それに比べてイルミナティの弱いこと弱いこと。陰謀論者の大好物、最凶の「イルミナティ」がマーベルコミックの中じゃへなへなの最弱ヒーロー集団だった。 ていうか(スカーレットウィッチが)無双すぎてバランスの崩壊すら…

有色男3vs未成年白人女 友情にSOS (2022年製作の映画)

3.2いいかんじだったが、びみょうでもあった。 差別やBLM(ブラックライブズマター)をあつかう映画は、黒人の監督だと白人が悪いという告発的な映画になる。が、白人がつくると両成敗要素がもたらされ、わりと公平になる。(雑感として。) 黒人の監督のば…

レイリオッタ出世作 グッドフェローズ (1990年製作の映画)

5.0 もともと悪いやつが活躍する映画がすきではなかった。ゴットファーザーにしてもスカーフェイスにしても深作の映画にしても、感心はするけど、すきにはなれない。 さいきんの悪いやつがあばれる日本映画なんかなおさら。日本映画はちんぴらや不良を好んで…

実話の凄み 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。 (2021年製作の映画)

3.6英語圏だけだがShudderというVODがある。(2022年現在、米/英/カナダ/アイルランド/オーストラリア/ニュージーランド)簡単に言うとホラー/スリラー専門のNetflix。 2020年、Anything for JacksonというShudderオリジナル映画が公開された。その映画のロ…

うつぶせ寝推奨 スパイダーヘッド (2022年製作の映画)

2.5離島の刑務所。囚人にいろんな感情制御剤を投与して実験する話。おとなしく協力していたけれど、なんかおかしいぞ──になって反旗をひるがえす被験者がマイルズ・テラー。刑務所の形式を借りて違法な人体実験をするマッドサイエンティストがクリス・ヘムズ…

常套句「映画化不可能と言われた」を嘲笑する フリー・ガイ (2021年製作の映画)

4.0トゥルーマン・ショーという1998年の映画に似た興奮を感じた。構造から何からぜんぜん違うが「これを実写映画にしちまうのかよ」という驚きがおなじだった。 ゲーム内のNPCが自我をもってしまった──という話。 NPC(ノンプレイヤーキャラクター)は、謂わ…

共通言語としての家族 真実 (2019年製作の映画)

3.4わたしのように過疎な状態のままネットに文を書いていると、ある誤解/希望的観測をすることがある。 売れない人が売れない理由を「才能が突出しすぎているから」と理由付けして、じぶんを慰めることがあるが、それに似て、あまり衆目をかき寄せることがで…

セキュリティ設定しましょうってはなし アオラレ (2020年製作の映画)

3.0激突のようにぜんぶオンロードだと思っていたがOn/Offで粘着してくる。肉付マシマシなラッセルクロウの安定したキレ芸もよかったし、レイチェルを演じたCaren Pistoriusも艶っぽかった。(チョン・ウンチェに似ている気がする) ところで本作はアオラレと…

命がけの登校 世界の果ての通学路 (2012年製作の映画)

4.0せかい各地の僻地の子供が学校へ行く話。4地域4組の子供らが出てくる。 「学校へ行く」と言ってもその道のりは遠く険しい。 ケニアの兄妹は象の群れや危険を避けながらサバンナを15キロ歩く。モロッコの女の子三人は22キロ。山道を歩き途中の村で行きずり…

産むのか逃げんのか、どっちかにしてほしかった マザー/アンドロイド (2021年製作の映画)

2.0クロエ・グレース・モレッツをつかってなにしてんの──とShadow in the Cloud(2020)をみたとき思ったが、これでも思った。 超低予算でつくられた終末世界。そこでは文明の停滞とアンドロイドの暴走がおきている。 人間はEMPでアンドロイドたちを抑止して…

Just Like Heaven 恋人はゴースト (2005年製作の映画)

3.0キュアはポストパンクから出発した(1978~)ミニマルなロックバンドだったが80年代に独自なポップ展開をして人気をあつめた。(2022現在も)現役である。 ジョンカーニー監督のシングストリートでコナー君たちが演奏する楽曲は、いずれも彼が誰から影響…

ストーカー? レイトオータム (2010年製作の映画)

3.0カンヌ国際映画祭(2022/05)のすこし前からパク・チャヌク監督のDecision to Leave(別れる決心)のトレイラーが公開されていた。 パク・ヘイルとタン・ウェイが出ていた。韓国と香港。呉越同舟の感ある、とてもそそるトレイラーだった。 賞レースの結果…

映画と音楽が織りなす懐かしさ ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド (2021年製作の映画)

2.0むかし(80年代半ば)イギリスにスミスというオルタナ系のバンドがいて、ものすごい人気があった。 わたしもスミスを愛聴していた。 今の若い人が(たとえば)中島みゆきを歌ったりすると、おっさんが「おれたちの時代を歌ってくれてありがとう」とか言っ…

未来環境でのハードボイルド探偵物語 レミニセンス (2021年製作の映画)

2.6舞台が未来環境になっているハードボイルド。主人公バニスター(ジャックマン)はさながらフィリップマーロウだが仕事は探偵ではなく時間遡行の案内人。とはいえ美しい依頼人と謎が絡んでくる。オリジナルのようだがチャンドラーの翻案みたいな話になって…