津次郎

映画の感想+ブログ

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

オムジョンファの魅力 ミス・ワイフ (2015年製作の映画)

4.0オムジョンファは長いキャリアの女優で、ヒット曲をもつ歌手でもあったことから、本国では世代それぞれのオムジョンファ体験があるようだ。日本でいえば松田聖子みたいな感じだろうか。90年代、韓国映画を見はじめたころからいたひとだった。が、まだガガ…

キャッツ(2019年製作の映画)

1.0うろおぼえだが、90年代キャッツが街にあふれた。誰もが見たことがある、あの目の看板が──あふれた。のである。 それは、とんでもなくおおがかりなマーケティングだった。舞台なんぞ、見たこともない人が、キャッツを見に出かけた。 わたしの老齢の父は、…

金字塔 悪人 (2010年製作の映画)

5.0むかしスカウスを知ったとき、これはルー入れるまえのカレーだなとおもいながら、よくつくって食べた。その認識が正しいか間違っているか、どっちでもいいが、料理は、なにかをつくろうとしている行程から、いろいろなものに化ける。 近年の日本映画に、…

天才少年 ザ・ブック・オブ・ヘンリー (2017年製作の映画)

2.8ヘンリーは所謂ギフテッド。頭脳明晰、株式売買で不労所得があります。頭がいいだけでなく、博愛精神の先覚者でもあります。学校のMy Legacyの発表「生きている間にベストを尽くして幸運を人々と分かち合いたい」と述べます。街で見かけた乱暴されている…

ラストレター(2020年製作の映画)

4.0岩井俊二は主要作を見ていますがとくに思い入れはありません。が、岩井俊二にかかってくる形容詞がわからないわけではありません。 姉の同窓会に勘違いされたまま出席する──があります。この設定が、まったく呑めず、骨がつっかえたまま進む映画でした。 …

ゴーストマスター(2018年製作の映画)

1.0コピーが、究極の映画愛、全シーン全カット命がけ──となっている。三大映画祭を制覇したとのことで、トレイラーも、ものすごくつまんなそうだった。これは、だめな日本映画のフラグを満たしている。 すなわち、1がんばったを強調する=根性論。2ローカル…

スタイルを感じるホラー ロッジ 白い惨劇 (2019年製作の映画)

3.5モダニズム建築。カメラは構図と長回しを持っていて、そこにドラマがかさなる。スタイリッシュ。 カット毎に、写真のように決まるうつくしい内装と外装。そのカタログのような絵に、ベルイマンのような心象風景が描かれる──と言ってもいいのでは。 シンメ…

女子が男子に化ける学園コメディ 彼女はハイスクール・ボーイ (1985年製作の映画)

3.6バックトゥザフューチャーがモンスターヒットした年である。この映画が記憶に残っている理由は後述するが、映画は女子が男子に化ける学園コメディである。Just One of the Guys=おとこのひとりになるのはJoyce Hyserという女優で、この映画以外ではたぶ…

盲目の少女 至福のとき (2002年製作の映画)

5.0うつくしい盲目の少女。お金もなく身よりもない。 しょうじきなところ、そこにドラマを想像するなら、かのじょが身も心も男に略取される悲劇である。日本映画がもっとも好きなやつだ。 そんな想像をすることが、低俗であるなら、日本の映画監督たちは、ほ…

帰ってきたムッソリーニ(2018年製作の映画)

3.0毎度ながら韓国や中国との関係が悪くなっている。それとは真逆に、個人的に、とりわけ韓国の映画を誉めることが多くなっている。後ろ髪を引っ張られている感じがある。何となく。 そんなとき、ばくぜんと、言い訳を考える。 たとえ親が犯罪者だとしても、…

狂気と演技 欲望という名の電車 (1951年製作の映画)

5.0人気タレントのドラマでのキレた演技が話題になっている。狂気すぎるとか天才とか完全に壊れたなどの絶賛があがっていた。去年奪い愛というドラマでも別の女優の怪演が持ち上げられていた。Abemaは「狂気」に味を占めたようだ。そういう品評を見ると、い…

トランストリップ(2013年製作の映画)

3.5なぜ、こんなことになるのかが、よくわからないが、ジュノーテンプルがうまいので、成り立っていると思う。 強烈に拡がりつづける齟齬の映画。 立地も携帯がつながらない異界だが、ことばも分からず。ことば以上に、人がわからない。すべてが裏目に出て、…

社会の不安定さと映画のダイナミズム エリザのために (2016年製作の映画)

4.5外国での生活が長かった人、帰国子女の来歴をもつ人が、しばしば、日本人の習俗を、揶揄するのを見たり聞いたりすることがある。 論調はほぼ一律で、平和ボケで、のほほんと生きていることを、あざけっている。 耳に痛い反面、よけいなお世話だとも思う。…

Red(2020年製作の映画)

1.0しあわせのパンとぶどうのなみだを見たことがあります。劣悪な荻上系でした。思い出すだけでも反吐がでます。作風が、幼な子われらに生まれでシリアスに変わりました。パンやワインでは監督としての箔がつきません。どっちにしても下手でした。下手ですが…