津次郎

映画の感想+ブログ

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

無ケーカクの命中男/ノックトアップ(2007年製作の映画)

3.5キャサリンハイグルは見ばえも肉感もあり00年代後半から10年代前半はすごく人気者だったが、なんとなく見なくなった。 ロマンティックコメディが本領だが、はばひろい役ができるタイプではなかった。顔立ちやフェミニンな雰囲気がシリアスドラマに適合し…

変化する思い出 スタンド・バイ・ミー (1986年製作の映画)

5.0なんびゃくも映画レビューを書いていると、たとえば昔かいたやつを読み返したときに、こんなこと書いたっけとか、ぜんぜん映画読み違えているぞとか、いまはそんな風に感じないなあとか、いいかげんなことかいてやがるなあとか──をかんじることがある。 …

今際の国のアリス(2020年製作のドラマ)

商業作家をめざしている人に朗報なんだが、アガサクリスティのそして誰もいなくなったを現代に翻案すると、夢の印税生活が送れるぞ。 わたしの、とほうもない、かんちがいなだけ、なのかもしれないが、 1無作為の男女が、謎の主催者に、どこか一カ所に、集め…

ザ・コール(2020年製作の映画)

3.8バーニングにチョンジョンソという女優が出ていた。おっかない、目をひく女優だった。そのイチャンドンの映画が、役者としてはじめてのしごとだったそうだ。逸材だった。 この映画のトレーラーを見たとき、そこにパクシネとチョンジョンゾがいた。 お、パ…

ジャッジの思わぬ判断 モリーズ・ゲーム (2017年製作の映画)

3.6シカゴ7裁判を見て感心したが、監督がアーロンソーキンと知って、なるほどと思った。このモリーズゲームがいい映画だったからだ。 すでに風格があるが、長く脚本家をやってきたひとで2017年のこの映画が初監督作だった。 ジェシカチャステインの演技も称…

アナベル 死霊博物館 (2019年製作の映画)

3.0ジャンプスケアにはタイミングがある。ホラーを何本も見れば、だれでもそのタイミングを、だいたい予測できるものだ。 たとえば主人公が鏡に向かって歯を磨いている。とする。 口をゆすいで吐き出すとき、前屈みに伏せるが、そのときは鏡には、なにも映ら…

リリーのすべて(2015年製作の映画)

3.0いまの社会では、しばしばLGBTがとりざたされます。LGBTとは、男の気持ちの女、女の気持ちの男、男がすきな男、女がすきな女などなどの人たちのことです。だと思います。 LGBTがとりざたされていると、わたしはよく思います。男に生まれたけれど女です。…

なごみモードのジャームッシュ デッド・ドント・ダイ (2019年製作の映画)

3.0ジャームッシュは、オフビートをあつかってきた作家で、ダウンしているテンション──はっちゃけたり盛り上がってしまわない抑揚のままで、コメディおよびペーソスを体現してきた映画監督──と認識している。 オフビートのコメディとは、わかりやすく言えば…

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

5.0な、なんなんだ。このエネルギーは。冒頭から、なぐられたみたいな楽しさ。 監督がOlivia Wildeとなっている。Olivia Wildeって誰だっけ。わたしには「リアムニーソンの映画で素っぱだかになったひと」くらいな、男性的な記憶しかない。 ひとことで言えば…

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.0MarvelやDCComicsはそれぞれ主力商品だが、新参でも光るものがあると、新作をまかせてしまう。と思う。かなり大胆に大作をまかせる──ところに、クリエイティビティに賭ける意匠が感じられる。女性監督の起用も目立つ。 ほとんどインディーだったAnna Bode…

楽しいホリデーコメディ ラスト・クリスマス (2019年製作の映画)

5.0まもなく12月になる。またジングルベルかジョージマイケルか山下達郎をまいにち聴くにちがいない。 『ハリウッド・ブールヴァードの商店街はすでに高い値につけかえたクリスマスのがらくたをならべていたし、毎日の新聞はクリスマスの買物を早くすませな…

いとこ同志(1959年製作の映画)

5.0いとこ同志についての個人的な解釈です。 ふつう、ものがたりは勧善懲悪をもっている、と思う。露骨にそうでなくても、悪いことをしたひとは窮地へおちいり、良いことをしたひとは報われる、という帰着点があるはずである。 いとこ同志が新しかった理由は…

不協和音と鬼才感 ポップスター (2018年製作の映画)

2.9ブラディコーベットは長く俳優だったが、2015年にシークレットオブモンスターという映画をつくった。変わった映画で、賛否ではあったが、批評家筋からウケた。うまく言えないが、神経を逆なでする不協和音が、独特だった。ブラディコーベットは鬼才だった…

不幸・クズ・底辺へ走る日本映画 MOTHER マザー (2020年製作の映画)

1.0日本映画で、不幸やクズが描かれるのは、話に事件を設置することのほかに、作った人が鬼才の称号をもらえるから──というのがある。 ヒロイックなヒーローを描いても鬼才の称号はもらえないが、不幸やクズをぎらぎらした筆致でえがくと、鬼才としてもては…

武人と家庭人 コンフィデンシャル/共助 (2017年製作の映画)

3.5ユヘジンといえば、顎前突、厚い唇、はれぼったい薄い目、四角い顔面、低身長、五頭身。民族の標本のような外見で、まず忘れない。なまえを知らなくても、誰でも見たことがある韓国俳優だと思う。ちなみに韓国にはそんなおじさんバイプレーヤーが何十人と…

ザ・サークル(2017年製作の映画)

2.3ネットワークの先鋭にたいする警笛になり得ているような感じだが、話は強引。社会派の映画ではなく、SF映画だと思う。演出も不安定で、スターに釣られた後感はあった。 ところで、この映画でメイ(エマワトソン)が面接を受けるシーンがある。面接者の質…

人間の時間(2018年製作の映画)

2.0少年が、小動物に紐をゆわえつけて、動きに難儀しているのを見て、嘲笑している。残酷だが、幼さでもある。だが、かれはその枷を背負って生きる…… 春夏秋冬~は忘れられない映画だ。うまく言えないが、人の業(ごう)、輪廻が象徴的に描かれていた。 魚と…

二大スター共演 悪の偶像 (2017年製作の映画)

3.5韓国映画/ドラマを支えているのはスピードだと思う。 オンデマンドで、面白そうなドラマをみつける。1話レンタルが200円だとする。まあ、いいか、と思って見始める。2話ばかり見たところで、下へブラウジングしてみる。 なんと、ドラマは150話まである。…

ANNA/アナ(2019年製作の映画)

3.3主人公をつとめる女優が、薄い気がする。モデルとしては、なんの文句もない、しなやかな銀髪美女だが、ひっかかるところがない。端正だけれど目を離すとすぐに顔を忘れる。 Sasha Lussのせいではないけれど、そのミスキャスト感をひきずられた。雑感に過…

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

4.0変わった人たちをあつめてショーをやった──とは、現代のポリティカルコレクトネスをふまえた言い方であり、これをバーナムの時代に即して、ダイレクトに言えば、畸形をあつめて見世物をやった、のであって、トッドブラウニングのフリークス(1932)とグレ…