津次郎

映画の感想+ブログ

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

現実的 PLAN 75 (2022年製作の映画)

4.0 先日(2023/04/27)ネットに“日本人口50年後8700万人”というニュースがあがっていた。「将来推計人口」の試算によるものだそうだ。 外国人の入国者が増加し、2070年の平均寿命は、男性は85.89歳に、女性は91.94歳に伸び、高齢者の人口は38.7%に上昇する…

いつもながらのあざとさ マイ・ブロークン・マリコ (2022年製作の映画)

1.5 自殺、ブラック企業、毒親からの虐待、彼氏からのDV。現代的病弊をならべたあざと日本映画。 マリコ(奈緒)が自死したというテレビ報道を見た幼馴染みのシイノトモヨ(永野芽郁)。回想をまじえながら、ふたりの交流をさかのぼる。 マリコはトモヨをシ…

チャッキーの妹 アネット (2021年製作の映画)

── RottenTomatoesが71%と76%、IMDBは6.3だった。RottenTomatoesやIMDBをよく見るじぶんとしては逡巡を感じる点だった。つまり、なんかどっちつかずで迷っている点だと思った。 なぜそうなるのかというと批評家には素直なタイプとそうでないタイプがいて、と…

骨まで愛して ボーンズ アンド オール (2022年製作の映画)

3.5 RAW少女のめざめ(2018)やぼくのエリ(2008)を思わせる。世間から隠れ、人と違う体質に葛藤している。人食はしたいが非道はしたくない。 とてもそういうものを描いているとは思えない語り口でもっていく。同情しにくいが人食をとったら自分探しのロー…

めめしさ ハッピー・オールド・イヤー (2019年製作の映画)

3.0 片付けをしているときなつかしいものを見つけ、しばらく手をとめて思い出にふけることがある。とりわけ実家の片付けをしているとき、遠い過去からいろいろな記憶がざくざくでてきて片付けが停滞しがち──なものだ。 この映画はだいたいそんなことを描いて…

海辺の町 エンパイア・オブ・ライト (2022年製作の映画)

3.0 撮影がよかった。コールマンの演技もよかった。雰囲気もよかったが本題が転がって違うところへ落ちた。立派なプロダクトだがつまづいていると思った。 Rotten Tomatoesを見たら多数の批評家がディーキンスの撮影をほめていた。コールマンとMicheal Ward…

#MeToo運動の起点 SHE SAID/シー・セッド その名を暴け (2022年製作の映画)

4.0 #MeToo運動のきっかけになったニューヨークタイムズ紙によるワインスタインの告発を描いている。 記者に課せられたのは実名付きの証言あつめ。だが、関係者との接触をこころみるたびに、壁にぶち当たる。女優らは権力と人気の失墜に怯え、ミラマックス職…

あいつを怒らせんなよ キャッシュトラック (2021年製作の映画)

4.0 警備会社FORTICOに採用された男H(ステイサム)。現金輸送車を襲った強盗らを眉一つ動かさず百発百中八面六臂でやっつける。そこからHの来歴を倒叙し、息子の仇である強盗団の来歴も倒叙される。脚本はガイオリッチーほか3名の共著になっていて震えるほ…

どっちらけ ハンガー:飽くなき食への道 (2023年製作の映画)

1.5 中華鍋のあおりだけは上手な屋台飯屋の子が高級の洗礼をうける話。 克己主義の料理長から「ダメだ!やりなおし!」てなぐあいにド根性論できたえられる陳套な展開。 映画/ドラマにでてくる厨房でかならず星一徹と飛雄馬が罵り合いをやっているのはそこが…

泣けたによってつたわること

お題「邦画でも洋画でもアニメでも、泣けた!というレベルではなく、号泣した映画を教えてください。」 号泣したのはプライベートライアンだと思う。 が、映画を見る人が大人になると他人様とじぶんの感じ方の違いに諦観をおぼえるようになる。その分岐点と…

般若 スマイル (2022年製作の映画)

4.5 また新たにホラーの異才があらわれたという感じ。 ニンマリで固まると怖い──をみごとに映像化していた。かえりみるとニンマリで固まると怖い──は誰もが認知している不気味さなのに、それがモチーフになった映画をはじめて見た。気がする。 空気に味があ…

お隣と音鳴り おと・な・り (2009年製作の映画)

4.0 よかった気がする。 ちかくに居て、なんとなく好き合っているのに、ぜんぜん会えない男女を描いた映画だった。Wikipediaによるとキャッチコピーは『初めて好きになったのは、あなたが生きている音でした。』だそうだ。 だけど現実的に考えると、うすい壁…

ロシアの花嫁 バースデイ・ガール (2002年製作の映画)

3.0 コミカルにはじまるけれどスリラー領域へ変化するサムシングワイルドのような展開のロマンチックコメディ。さいしょはThe 40 Year Old Virginみたいな感じ。口べたで奥手なジョン(ベンチャップリン)。ロシアの花嫁紹介サービスによるとナディア(キッ…

どこでもアデルらしいファイブ・デビルズ (2021年製作の映画)

4.3 アデルがでてたので見た。母親の遍歴をユニークな方法で可視化する娘視点の奇譚。SFにはモノにさわると来歴が見えるサイコメトラーという能力があるが、ヴィッキーは対象の人物に関連した匂いをかぐと過去へリープする。無類の独創性だった。 主人公ジョ…

暗殺者養成所 キル・ボクスン (2023年製作の映画)

3.1 殺人請負会社MKにつとめるベテランの暗殺者。表向きはシングルマザー。殺人と子育て。矛盾するふたつを両立させようと奮闘するボクスン(チョンドヨン)。 MKはランク別の暗殺者を擁し若手の育成もやっている。受注した依頼は作品と呼ばれ、一見したとこ…

ロンドンじゃない ボストン・キラー:消えた絞殺魔 (2023年製作の映画)

3.2 着衣や街並みや車など時代考証が精妙だった。記者の葛藤や逡巡が描かれ、スポットライトやゾディアックを思わせた。話題になっているShe saidもそうだがこの分野(記者目線の事件簿)は秀作が多い。本作も手堅いつくりだった。が、おとなしい印象。こぢ…