津次郎

映画の感想+ブログ

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

親バカ青春白書(2020年製作のドラマ)

2.0現代。個人的に不思議にかんじる現象のひとつに、芸能人/女優/女子アナ/アイドル/グラドル等々の人気者が、なんどもなんども無制限に、絶え間なく執拗に「かわいい」と賛美され続けること──がある。 それは日本の日常風景なので、これに不思議をかんじて…

クェダム:禁断の都市怪談(2020年製作のドラマ)

2020年/韓国製ドラマ/ホラー 4.0学校、深夜タクシー、エレベーター、ネット配信中、賃貸物件・・・なんでもない常套性の高いシチュエーションを使っているのに、思いがけない工夫があり、確かな演技があり、しっかり怖がらせる。 小道具が細かく、効果音がリ…

フューチャーワールド(2018年製作の映画)

1.5監督としてのジェームズフランコがやや不可解なのはディザスターアーチストのようなペーソスをもっている一方でFuture Worldも撮っていることである。 かれの監督業はディザスター以外はさえないが、とりわけFuture Worldは素材も方法も展開も80年代風に…

異色設定と活き活きしたキャラクター めちゃくちゃ恋するハンターズ (2020年製作のドラマ)

5.0意外性がある。アイデアがたくさん。女性たちがフェミニンでいきいきしている。 それらの描写に、ひけらかしがない。脚本があっとうてきにたのしい。 よく思うのだが、ネットフリックスという場に、公開処刑を感じる。こうして各国が並んでみると、日本は…

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜(2011年製作の映画)

4.5ミシシッピーのつづりにはiが四つある。アランパーカーの映画でi=eyeが四つあるのに見えない──と南部を皮肉ったセリフがあった。のをおぼえている。 アメリカの黒人差別のことを、わたしはよく解っていないと思う。日本に住む日本人がそれを把捉できると…

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.5よく知らないがコウモリはウィルスにたいする抗体をもっている。しくみは解明されていないが多数のそれを保有しながら生きられるのだそうだ。 英語圏のツイッターやreddit等でバイラルとなった路肩看板がある。Whoever said one person can't change the …

未成年(2018年製作の映画)

3.0しばしば見る俳優だがナホンジン監督のチェイサーの印象が濃い。 俳優が監督に回る──きょうびこの現象には期待がある。とりわけハリウッドのスターはいい映画をつくる。クリントイーストウッド、ポールニューマン、ウォーレンベイティ、ロバートレッドフ…

遺体 明日への十日間(2012年製作の映画)

3.0震災後にもっとも早くリリースされたメジャーな映画がこれだった──と思う。亡骸を丁寧にあつかうことを励行しているひとの話だった。なんとなく要領を得なかった。被災者ではないゆえ、無責任な発言になってしまうが、厖大な災害時には感傷よりも効率が必…

シライサン(2020年製作の映画)

1.0『最も好きな映画監督はアンドレイ・タルコフスキー。』(監督のwikiより)だそうだ。 このひとの小説業のことは知らない。プロパー外のにんげんが監督業をやる。この国じゃよくあることなんだが、板前がカーレーサーをやるようなもの。映画はかんぜんに…

生き甲斐とは 運び屋 (2018年製作の映画)

5.0今、世のなかではおっさんの蛮行が目立っている。ニュースの社会面をみると、わいせつや暴行や窃盗や自動車事故やトラブルなどは、たいていおっさんや老人の専門分野になっているし、日常、たとえば商業施設にいて、おや何か揉めごとかな──と思って騒ぎの…

ザ・ウーマン 飼育された女(2011年製作の映画)

3.5変で記憶に残っている。父親は俗物で変態、狩猟が趣味。母親はDVな夫に隷属している。長男はオタク。長女次女はまとも。 奇譚にもあるが、昔、人間の子供が野生で獣のように育ったという実話が幾つかあった。それを援用した映画だが、シリアスではない。…

Bの戦場(2018年製作の映画)

1.5ブスが笑いの対象になる話は世界ひろしといえども日本だけではあるまいか。アグリーベティだって眼鏡でブリッジの子が活躍するドラマってだけのことで顔にことさら焦点はない。民間には美醜がある。しかし公的な映画やドラマで、ブスということばを用いて…

長沙里9.15(2019年製作の映画)

2.5じぶんの国を良く描く。だいじなことだと思う。信条が据わっていない若者が、日本軍が悪さをしている戦争映画ばかり見ていると、自己批判的になる──ものだ。たんじゅんだけれど、人が強固な主義主張にいたるに際して、エンタメの影響力は大きいはずである…

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

4.5リーマンショックのことは知らない。 が、わたしは世界経済の趨勢について、誠実なひとたちが誠実に運用している──と思ったことはない。不誠実なひとたちが不誠実にやっているのだろうと思っている。新自由主義のミルトンフリードマンがノーベル賞とるく…

柳の下の泥鰌 スペシャルアクターズ (2019年製作の映画)

3.5複層にすることに、枷のようなものを感じる。 カメ止めは、観衆に見えていること、映画内で役者がやっていること、かれらが実は映画中映画をやっていること──三叉の複層構造があった。 だからおそらく、監督はそれをスタイルにしようとしている──のだと思…

さいしょはおもしろい 屍人荘の殺人 (2019年製作の映画)

2.5映画としては、設定に追い込む=紫湛荘にあつまる、までがおもしろい。原作は知らないが、推理小説なら、たぶん箱にはいってからが、正念場になる、のだろう。 ところが、映画はもっとも魅力を感じるキャラクターだった明智さんが、早々に退いてしまう。…

にせのかなしさ さよならくちびる (2019年製作の映画)

1.5個人的に思っている日本映画の一定義なんですが、日本映画はモラトリアムなにんげんを描いている。日本映画はモラトリアムな作家によってつくられている。日本映画はモラトリアムな人々に好まれる。 この定義は、おおくの日本映画に合致してしまう。と思…

激動の時代と思春期 はちどり (2018年製作の映画)

4.51994年の韓国。少女の成長の話ですがその年の聖水大橋の崩壊が映画の到達点になっています。封建的な家族の一員として14歳のウニは抑圧のなかに生きています。家族は米餅を製造販売して暮らしています。裕福とはいえず、学校では疎外され、友情も恋愛も脆…

考えすぎるガヴァシ クリミナル・タウン (2017年製作の映画)

3.0コメント等で「う~ん」という表現が、よく使われています。この意味は「今、俺様が講評してやるからな、そこに待っておれ」ということです。 「う~ん」とは考え中をあらわす保留の言葉です。ですが、口語ではなく、またWEB対話でもなく、文なので、考え…

Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!(2007年製作の映画)

4.5楽しい映画だった。ロンドンは霧の都、雨ばかり降っている。冒頭、その鬱蒼が描かれる。そこから海と陽光の南仏へ旅するビーン。しっかり起承転結する。 とりわけラストシークエンスの開放感。映画館の開いた扉、こぼれる光、ゆめのように素敵な曲La mer…

ミスエデュケーション(2018年製作の映画)

4.5キリスト教といっても、いろいろ分派がある。この映画の派閥はたぶんバプテストで、同性愛が、いかんことになっている。 知ってのとおり、社会は、性差別にたいして、ヒステリックな反応をおこす。 身近にいるときもあったが、いまは同性愛者が身近にいな…