津次郎

映画の感想+ブログ

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

名演 ファーザー (2020年製作の映画)

5.0アンソニーの脳内の錯綜(アルツハイマー)が説明されずに絵になっているので、サスペンスのようにも見える。つまり、かれのまわりの人たちが結託して、アンソニーを欺そうとしているように(も)見える。その見え方が、アルツに侵された老人の懐疑心や孤…

親愛なる白人様 シーズン1(2017年製作のドラマ)

3.0平生、だれも一言も漏らさないが、日本人は、すさまじいまでの白人コンプレックスを抱えている。テレビはハーフタレントだらけ。ハーフとはいえ片方はゲルマンかスラヴ、混成だとしてもムラートではなく見た目が白人な人しか好まれない。いっぱんに整形手…

反権力の象徴 コカコーラ・キッド (1985年製作の映画)

5.0エリックロバーツというと妹ジュリアは大女優だし娘エマも売れっ子若手女優だが、当人はB級沼にはまったまま出てこれなくなった。 だがエリックロバーツにはコカコーラキッドがある。それだけでじゅうぶんな一作品だと思う。 監督が亡くなった2019年1月、…

ハッピー・デス・デイのジェシカ・ローテ主演 オール・マイ・ライフ (2020年製作の映画)

2.7HappyDeathDayでJessica Rotheをはじめて見た。にほんご表記だとロースかローテになっているのだが、あっちの動画をみているとスよりもテよりもサにちかく、舌をつかうやつのような聞こえをする。こういうくそなまいきなことを言う人はえーごに詳しいはず…

ソフィアコッポラ幼少期の思い出 SOMEWHERE (2010年製作の映画)

4.0いちばん好きな映画が答えにくいのは、ひとつに決めにくいから、でもあるし、ひとつに決めてしまうと、じぶんというパーソナリティに多様性が失われる、ような気がするからでもある。 それが最良のもの──としてしまうのは、なんか怖い。おれは他の映画も…

ザ・ソサエティ(2019年製作のドラマ)

5.0小さな町の学園の生徒を残して、世界が消える。家族がいなくなった。それどころか国家がなくなった。町の周りはどこまでも森、通信も交通も遮断される。 その設定において、エンタメとリアリティを折衷しつつ、学生たちだけで、社会が形成される様子を描…

男たちの挽歌(1986年製作の映画)

5.0チョウユンファってひとはパッと見、あきれるほどウソくさい。映画の序盤はホーとマークの絶頂期だが「オフコース」とか言っちゃうマークの軽さ。上機嫌がフラグとはいえ軽薄すぎる。 が、出所後堅気なタクシー運転手として頑張っているホーがぐうぜんマ…

クルエラ(2021年製作の映画)

3.7クルエラの物語を知らず、もっと若年層向けの話だと思って見たが、コメディ気配に包まれているものの、愛憎の寓話だった。途中に大きな岐点があり、印象が変わる。 白い顔に隈取りなので、ヒール値をもったヒロインだと思うが、じっさいの彼女は優しく人…

ゴージャスな女優による陳腐なドラマ ずっとお城で暮らしてる (2018年製作の映画)

2.4おそらく誰もが見たことがある真珠の耳飾りの少女というフェルメールのゆうめいな絵がありスカーレットヨハンソンで映画になっている。ヨハンソンはすてきだが真珠の耳飾りの少女には似ていなかった。タイッサファーミガを見たとき真珠の耳飾りの少女を思…

ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.3マンガでも映画でも小説でもいいが作品が作品世界を展開している。そこへ突如、天の声(作者の脚注)が出てくるような仕組みのことを「メタ」と冠することがある。(よくわかっていないが、たぶん。) 日本にはメタの構造をもっているマンガやアニメが多…

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.7ふと、振り返ってみると、よく原作の映画を見るのに、たぶんスティーブンキングを一冊も読んだことがない。 ドクタースリープのタイトルの由来(これから死ぬ人がかれをそう呼ぶ)となるシーンに感銘をうけた。恐怖や悲しみをかかえた絶命のまぎわに「眠…

ペイルライダー(1985年製作の映画)

5.0シェーン(1953)のアレンジ+リメイクで傑出した映画が東西にある。東は遙かなる山の呼び声(1980)で西は本作だと思う。わたしはこれをダビングしたVHSで繰り返し見た。亭主が荒っぽい奴を拾ってきたと思ったらクレリック襟なのでプリーチャーと呼ばれ…

レッド・ハンター(2018年製作の映画)

2.0たくましいジーナカラーノに好ましさを持っていたが、SNSの発言で炎上し、マンダロリアンを降板したのが、日本でもけっこう知られている。それ以外でもけっこうファンキーな発言を繰り返していて、イメージが変わった。こじんてきに、左系文化人とか急進…

群がり(2020年製作の映画)

2.5田舎でいなごをよく食べた。多様な調理法があるかもしれないが、わたしの知ってるのは甘露煮にしたやつ。食べたのはむかしで、畦でつかまえたのを母の実家のおばあさんが煮詰めた。 わるくないが、すごくおいしい──ほどでもない。昔から、やがて昆虫食が…

かわいそうで釣る 沈まない三つの家 (2013年製作の映画)

1.0この監督はしぬしぬで日本中を熱狂させた湯を沸かすほどの熱い愛のひと。しぬしぬドラマの構造はシンプルでありながら、日本国民を入れ食いにできる。構造つっても露命を主役に置くだけなんだが。釣れる釣れる。とはいえ、日本人にしかウケないので日本に…

むかつく女 本気のしるし (2019年製作のドラマ)

2.5このドラマの不条理は、深田監督によるものではなく、星里もちる氏のまんがに依存しているところが大きい。のでは?監督は自分の作風に近似した原作に絶妙なほどうまく乗っかっている。 個人的な見識だが、淵に立つは、わかったようなわかんないような話…

愛しい人から最後の手紙(2021年製作の映画)

3.4むかしと現代を行き来する映画で、60sでは上流階級をえがく必要上wardrobeや様式へのつよいこだわりが感じられた。それに比べて現代はざっくりと普通っぽい。 さいしょからキャスティングが気になった。60sは事故に遭った貞淑で金持ちの妻のパート──だが…

色つきが新鮮 ももいろそらを カラー版 (2020年製作の映画)

4.0日本映画をザ日本映画と称して貶すことがありますが、ときどきじぶんの見識が具体性に欠けていると思うことがあります。(もちろん素人が勝手なことを言っているだけなので、どうでもよろしいことですが・・・。) 「ザ日本映画」にいくらかの具体性を付…