津次郎

映画の感想+ブログ

ザ・ソサエティ(2019年製作のドラマ)

ザ・ソサエティ

5.0
小さな町の学園の生徒を残して、世界が消える。
家族がいなくなった。それどころか国家がなくなった。
町の周りはどこまでも森、通信も交通も遮断される。

その設定において、エンタメとリアリティを折衷しつつ、学生たちだけで、社会が形成される様子を描いたドラマ。

首長を決め、食事を分け合い、役割を分担する。謎や事件もあるが、物語がまさにソサエティ。というより、もはやヒューマンカインド。
選挙があり、自警団がつくられ、裁判があり、外世界への探検隊が組まれ、女性が虐げられ、不満分子がクーデターをおこし、愛と恐怖と欺瞞と裏切りと疑心と脅迫と懐柔と、まさに人間社会がそこで繰り広げられる。ほんとに感心した。

おりしも米軍が撤退したアフガニスタンでタリバンが権力を掌握した(2021/08)が、新政権が広報したものの、じっさいどう国家運営をするのか、まったく解らない。なんならその首長は臣民の権利をすべて剥奪することができる──どころか気に入らない者を自在に隷属させたり屠ることができる。無秩序とはそういうものだ。
シーズン1はタリバンの政権掌握を彷彿させる物騒な兆しで終わった。(たまたま見た時期が被っていたのでそう思った。)

ところでFreaky(2020邦題ザスイッチ)のレビューに、Kathryn Newtonについて、こう書いた。『落ち着いたおもむきが20代ではなくFreakyの配役が完全に理解できた。ふつうに殺し屋ができそうな眼光の据わり方はむしろ異常。』
やっぱKathryn Newtonの目の据わりがすごい。