津次郎

映画の感想+ブログ

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

露命の扱い方 世界で一番いとしい君へ (2014年製作の映画)

3.5カンドンウォンて彼女を信じないでくださいの時からPeninsulaまでぜんぜん変わんない。どうなってんだろうか。 かわいそうな話だがいたずらにお涙ちょうだいせず、爽やかにつくられている。見るのがすごく楽だった。 いっぱんに死のまわりでは、それに対…

保留地の貧困 アントラーズ (2021年製作の映画)

4.0リザベーション(インディアン保留区)が舞台になっている映画は暗い。スコットクーパーやテイラーシェリダンの雰囲気。 『ほとんどすべての保留地は産業を持てず、貧困にあえいでいる。また、保留地で生活する限り、そのインディアンにはわずかながら条…

呪われた老人の館(2021年製作の映画)

2.7呪われた老人の館って失敬な邦題だなあ。 バーバラハーシーにひかれて見た。バーバラハーシーは近年だとブラックスワン(2010)の厳格な母親役だろうか。来歴を見ると1969年から出演作があるが、80年代に中・高校生だったわたしにとってはハンナとその姉…

背中にダイオウグソクムシ マリグナント 狂暴な悪夢 (2021年製作の映画)

3.2やっぱりアイデアだよね──と思った。かんたんに言ってしまえば「背中のスゲえやつ」ってだけ。ことばで話されたらそれがどうしたと言うにちがいない話。なのに、この楽しさ。加えて主演のAnnabelle Wallisがきれいに撮れている。ホラーなのに思いのほかき…

ねずみが最強 ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結 (2021年製作の映画)

4.0スーサイドスクワッドが感動に昇華されるとは思わなかった。──が正直な感想。 エンタメが観衆にあたえる印象はそれぞれ帯域幅をもっていると思う。恐怖ならホラーだが笑いを加えるとホラーコメディになれる。恐怖/笑い/エロティシズムは相互に合わせやす…

公民権運動と黒人英雄たちの意識共有 あの夜、マイアミで (2020年製作の映画)

3.5おりしも公民権運動まっただ中の1963年。マルコムXは状況に危機感を持っている。白人社会で成功した黒人の英雄たちに、啓蒙ではないが、現況の意識の共有をしようとする。 個人的にいちばん興味深かったのはサムクックとの論駁。マルコムXからサムクック…

僕を育ててくれたテンダー・バー(2021年製作の映画)

3.4いい顔の少年。豊頬で濃いまゆ。漫画みたいなまつげ。かれDaniel Ranieriだけで、五分は評点できる──そんな子役だった。母親役はお母さんを彷彿とさせた。ロートルならきっと結婚しない女に出ていた“お母さん”を思いうかべるにちがいない。 成長して作家…

ケミカル・ハーツ(2020年製作の映画)

3.1リバーデイルにでてる人だ──と思った。あごのラインがいい。(あごの)先端にそこはかとないくぼみ。端正な顔立ち。ブリタニーマーフィにやや似。ふとっていないが肉感がある。アッシュなブロンドをいつもひっつめにしている。 グレイス(リリラインハー…

トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト~(2019年製作の映画)

3.4無名レビュアーですがレビューでもコメントでも言ってはいけない──と思っている言葉があります。「かわいい」てやつ。まいにち何百回と見る言葉ですが、こじんてきに、それ発したら負けだと思っています。じぶんでじぶんに課している無価値でバカげた枷な…

コンテンツの戦略性 マクベス (2021年製作の映画)

3.6シェイクスピアをしりません。しっているのは(ハックルベリーにでてくる)王様と公爵のやりとりていど。マクベスもしりません。世の中ではシェイクスピアを元ネタにしたものは周知の話のような体になっていますが、大概の人がそれをしっている──シェイク…

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

1.0まず第一に男が全員ばかに描かれていてアンフェアです。その時点でもはやあれだけど80年代みたいな古い話だし都市の独身女の憂鬱ってそんな深刻じゃない。楽しく自由に生きている人たちを、なんかものすごく背負ってるみたいに描かないでほしいなあ。「ボ…

救われないのにコミカル プロミシング・ヤング・ウーマン (2020年製作の映画)

4.0活動家は冷静であってほしいが、環境保全や女権拡張や反捕鯨/イルカ漁や反体制や菜食主義や動物愛護のひとたちは、概してみんな過激である。 自分と違う意見をぜったいにゆるさない。とりわけフェミニズムを標榜している著名人はあたまのおかしい人ばかり…

中絶の不条理 17歳の瞳に映る世界 (2020年製作の映画)

3.8中絶したい女とそれを手助けする女の設定はクリスティアンムンジウの「4ヶ月、3週と2日」(2007)を思わせる。が、ムンジウのはチャウシェスク政権下で、違法中絶をする話。社会派なそれに比べて、こちらは少女の心情に焦点があたっている。 妊娠した少女…

エジプト綿シーツ アップタウン・ガールズ (2003年製作の映画)

3.8クルーレスや17歳のカルテのブリタニーマーフィにはカルトなファンがいるがいずれも助演だった。すべて見たわけではないが主演であげるとすれば(ブリタニーマーフィの代表作は)この映画だと思う。 わたしも多数の映画ファンも少し肥えた初期のブリタニ…

速度と車の魅力 ワイルド・スピード/ジェットブレイク (2020年製作の映画)

2.6Fast & Furious。邦題ワイルドスピード。人気のシリーズだがこじんてきにぜんぜん興味なかったw。はじめてまともに見た。 展開は大味。むかしながらのカーチェイスとドンパチ。それを考えに考え、ひときわ工夫をこらしている。「ありえねー」と言いたくな…

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

4.0この映画が何を言っているのか、わたしなりの感想を書いておきたい。 海辺の町にバカンスにやってきたレダ。48歳女性。比較文学教授。知的労働者の休暇らしい、なごやかなふんいきではじまる。が、静かなビーチを満喫できると思いきや大家族の団体がやっ…