津次郎

映画の感想+ブログ

ケミカル・ハーツ(2020年製作の映画)

ケミカル・ハーツ

3.1
リバーデイルにでてる人だ──と思った。あごのラインがいい。(あごの)先端にそこはかとないくぼみ。端正な顔立ち。ブリタニーマーフィにやや似。ふとっていないが肉感がある。アッシュなブロンドをいつもひっつめにしている。

グレイス(リリラインハート)は転校生。事故で最愛のひとをなくしていて、自身も足を引きずっている。絶望と無気力がかのじょを支配している。ひっつめ髪はじぶんの身だしなみに対する無頓着を意味している。が、映画としては、おろしたらくるやつでもある。

ヘンリー(Austin Abrams)はおだやかで弱腰。金継ぎ(割れた陶器を漆で接着し金で装飾する日本の修復技法)が趣味。経験がなく彼女もいないが、いい仲間に囲まれている。

新聞の編集作業をつうじてグレイスにきょうみをもつ。飾りっ気のない服装。脱力した態度が気になる。ふたりはやや近づく。秘密の場所は廃工場で、水たまりに錦鯉が泳いでいる。すこしずつ解り合えそうな気配になる。

好ましい人物像、魅力ある設定、傷ついた者の表現、おだやかな雰囲気──もっといいところへ行ける映画だったと思う。スペキュタキュラーナウとかLoveサイモンやブックスマートや僕とアールや明日への地図を探して・・・とか、学園映画の佳品になれる映画だったと思う。が、なんかスルりと抜けてしまった。悪くないけれど「もっと行けた感」がとても残った。

学園映画では気の置けない仲間と2、3番目あたりにポジションする女の子がとても重要だと思う。
「いつもいっしょにいるまぶダチ」と「なんか気になる子」に確かな人材を充てるだけで、なんとなく学園もののカタチになる。それらは(学園ものをひきしめる)落合モトキみたいなもんだ。

おそらくコメディスケッチで世界一の再生回数(2億回超)──と思われるKey&PeeleのSubstitute Teacher。いまでも週一くらいで見るが、同じとこで、はじめて見たように笑える。

生徒役でDeniseって子がいる。Garvey先生の発音だとディーナイス。
Shelby Feroという女優が演じている。白くてややむっちり。ほか(映画/ドラマ)で見たことがない人だが、Substitute Teacherのスケッチが見たいのはShelby Feroを見るためでもある。「なんか気になる子」なわけ。

この映画だとドレッド髪の黒人とラテンのゲイカップルがいいかんじ。ディテールもとてもいいのにいまひとつ抜けきれなかったAmazonOriginal映画だった。