津次郎

映画の感想+ブログ

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ドニーイェンの圧巻アクション ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (2016年製作の映画)

5.0SWには、くわしくないが、かえりみてローグワンはたしかに傑作だった。と思う。外伝だったこともあるのだろうが、話がとても簡潔だった。 デススターの設計図を奪取する──ただそれだけのために、よろこんで命を投げ出すレジスタンスたちだった。目的を果…

読まれなかった小説(2018年製作の映画)

4.5ヌリビルゲジェイラン監督の作品はレビューがしづらい。なんていうか、人生の深淵を見つめる感覚が、半端なさ過ぎる。 その目線/洞察力にくらべたら、わたしたちの世界は、なんと甘ったるいものであろうか──と思ってしまい、萎縮してしまう。 ロシアのア…

チャンイーモウの映画にマットデイモン? グレートウォール (2016年製作の映画)

4.0当時、チャンイーモウの新作で主人公がマットデイモンと知った時点で「?」になった。この「?」はものすごいキュリオシティだった。 映画は公開されたが、評価はかんばしくなかった。imdbやtomatoesもぜんぜん伸びていない。 だけど個人的にすごくいい。…

Fukushima 50(2019年製作の映画)

3.0インターネットが普及して以来、ホームページとかブログとかSNSとか、始めては辞める──を繰り返してきた。 始めるのは、なんか言いたいことがあるからだ。 辞めるのは、なぜだったろう? ──と、思い返してみると、辞めるのは、恥ずかしくなった──からであ…

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.2人は群衆のとき、やはり烏合ではないか──と思う。烏合となれば、先導者の思想が反映されない。 個人的には、そこに浅はかさを感じる。国は非倫理な戦争をやっていたし、若者が平和を愛する気持ちはわかる──けれど、国を相手にして、混乱なく集会ができる…

ライアンジョンソン監督のサスペンス作品 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 (2019年製作の映画)

5.0ナイフは複数形になったとき、FがVになる。あたまに発音しないKがある。──とは、むかし英語の授業で習った。だから何──。というか、それだけなんだが。 まったく、しつこいスターウォーズファンどもには、飽き飽きだね──と言ったかどうか知らないが、SW監…

レベッカ(2020年製作の映画)

2.5映画が好きでヒッチコックがきらいというひとはいません。サイコ裏窓ダイヤルM北北西めまいロープ・・・ぜんぶいいです。が、さて、どんな映画だったかと言われてみると、ストーリーを思い出せるものは、ほとんどありません。知りすぎていた男は、男が知…

FPSとGUIの関係 ハードコア (2015年製作の映画)

3.2Hardcore Henry(2015)を見たとき、その評釈でFPSということばを覚えた。First Person Shooterは一人称視点のゲームを指す。 きょうび、インターネットでは、多数の書き手が、英語の頭文字をつかった略号を「完全に周知の略号」という体裁で、書いている…

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

4.02016年にBBCが、世界の批評家177人の選んだ21世紀の映画ベスト100──を発表した。 ふつうだと、このての公的セレクトは、わかりきったタイトルがならんで、おもしろくもなんともないが、この選定は、2000年以降という縛り、且つ、確固たるリテラシーを持っ…

PC画面を通じてつながる恐怖の物語 アンフレンデッド (2015年製作の映画)

2.8PC画面だけで構成されるスリラーのUnfriended(2014)はCyberbullyの復讐劇として小ヒットし、新しい手法のPOVとしても受け容れられた。 PC画面とはいえスカイプのようなビデオ通話が常時つながっていて、つねに1人~マルチな通話者の顔を見ることができ…

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

3.3ジェシカチャステインはふしぎな感じがある。首から下をみただけでは、男性な物言いをすると、ソソる。が、きれいだが強面なのである。下から見ていく男たちは、顔で弾かれる。 白人のなかでもひときわ白い。ルージュをさしているとさらに怖い。ツン顔で…

人種問題をカリカチュア ゲット・アウト (2017年製作の映画)

5.0ブラックスプロイテーションではなくても黒人ばかりが出てくる映画がある。 たぶん、おおくの人が、白人しか出てこない映画を見ていて「この映画には白人しか出てこないなあ」とは、感じないだろう──と思う。 だが、ゲットアウトやアスを見ていて、──黒人…

マジック・イン・ムーンライト(2014年製作の映画)

3.0マジックインムーンライトのプロモーションスチールには、見えない何かに触れるように両手をさしだして、神妙に虚空を見つめるエマストーンがつかわれている。映画中でも登場してすぐ「まって今きてるの」と、このポーズを見せる。 ソフィは霊力をもって…

竹内結子の最高傑作 サイドカーに犬 (2007年製作の映画)

3.5根岸吉太郎には、滝田洋二郎とおなじで、ポルノ出身者で、まっとうな映画をつくった監督──という認識がある。日本映画風のギラつきがなく、さわやかだった。 ヨーコの来歴には男女間の混濁がある。もしそれを描写してしまうなら、たんなる「日本映画」だ…

つくった哀しさ 君が世界のはじまり (2020年製作の映画)

1.0外国映画と日本映画のあいだに格差を感じること、がよくあります。それがなぜなのか、ぜんぜん知らないわけじゃない──と思っています。 それは、一般的な日本人は、ダイバーシティに欠けた衛生無害な生活環境のなかで成長するので、創造性がコンパクトに…